慰謝料 過失割合

横断歩道で事故に遭った!ケース別に慰謝料相場を解説

投稿日:

過失割合によって異なる慰謝料

ミミズク
横断歩道で交通事故に遭ってしまった時って慰謝料はどのくらいもらえるのかな?
シカ
慰謝料は過失割合によってもらえる金額が変わってくるんだ。
歩行者や自転車側に過失が認められる事になると、その分受け取れる慰謝料は減額されてしまう事になるんだよ。
今回の記事では、横断歩道での交通事故は、どちらの過失がどのくらい高くなるのか、詳しく見ていこう。

交通事故被害者が受け取ることのできる慰謝料は、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料です。

そして、入通院慰謝料は、入通院の期間や日数によって目安が決まります。

また、後遺障害慰謝料は後遺障害の等級によって目安が決まります。

しかし、入通院慰謝料も後遺障害慰謝料も、被害者に過失があると、過失相殺といって、被害者の過失の分だけ、慰謝料が減額されます。

ちなみに、過失相殺は、慰謝料のみでなく、治療費、休業損害、逸失利益といった他の損害項目にも関わってくる(被害者の過失があると減額となります。)ため、非常に重要です。

今回は、横断歩道上の事故について解説します。

横断歩道上では、歩行者が保護されるため、歩行者の過失は小さいものと評価されますが、それでも、状況によって過失は異なります。

信号がある横断歩道での交通事故における過失割合

ミミズク
信号を守っていても過失が割り当てられることってあるの?
シカ
歩行者や自転車は、車に比べると弱者となるから、たとえ車側が青信号であっても、過失が割り当てられる事になるんだよ。
信号機の色によって、過失割合はどのように変わってくるのか、チェックしてみよう。

最初に

横断歩道は、基本的に、歩行者が横断するためのものです。

正確には、自転車は、軽車両ですので、原則として横断歩道を通行することは想定されていません。

しかし、例外もありますし、一般的には、歩行者の横断に支障がなければ、横断歩道横断しても良いように考えられているとは思います。

そのような現実も考慮して、交通事故における過失割合を考えるに当たっては、自転車が横断歩道を通行するときは、車両等が他の歩行者と同様に注意を向けてくれると信頼することが通常であると考えられています。

つまり、横断歩道を通行する自転車も車両との関係では、保護されると考えられています

なお、道路又は交差点に自転車横断帯がある場合には、自転車は、必ず自転車横断帯を渡らなければなりません。

また、以下の解説は、横断歩道の通行、信号の色、その他記載項目で記載されている事情のみを加味した過失割合を記載しており、その他の事情は加味していませんので、ご注意ください。

歩行者、自転車、自動車にそれぞれ他の過失や考慮要素がある場合、過失割合が変わることがありますので、その点は、ご注意ください。

青信号横断

歩行者が横断歩道を青信号で横断しているときに、自動車(自動車の信号は赤信号)との間で交通事故が発生した場合は、通常、歩行者の過失はないものと評価されます。

自転車が横断歩道を青信号で通行しているときに、自動車(車両の信号は赤信号)との間で交通事故が発生した場合にも、同様に、通常、自転車の過失はないものと評価されます。

黄色信号横断

歩行者が横断歩道を黄色信号で横断しているときに、自動車(自動車の信号は赤信号)との間で交通事故が発生した場合は、歩行者の基本的な過失は10%とされます。

自転車が横断歩道を黄色信号で通行しているときに、自動車(自動車の信号は赤信号)との間で交通事故が発生した場合にも、同様に、自転車の基本的な過失は10%と評価されます。

赤信号横断

歩行者が横断歩道を赤信号で横断しているときは、自動車の信号は赤信号の場合と青信号の場合とで2つに分かれます。

自動車の信号も赤信号の場合は、歩行者の基本的な過失は20%とされ、自動車の信号が青信号の場合は、歩行者の基本的な過失は70%とされます。

自転車が横断歩道を赤信号で通行しているときも、同様に、自動車の信号は赤信号の場合と青信号の場合とで2つに分かれます。

自動車の信号も赤信号の場合は、自転車の基本的な過失は20%とされ、自動車の信号が青信号の場合は、自転車の基本的な過失は70%とされます。

信号に変化がある場合

横断歩道を渡る場合に、時間の経過によって、信号が変わるということがあり得ます。

以下は、その点を加味した場合の過失割合です。

歩行者が赤信号で横断歩道を渡り始め、交通事故が発生した際の信号が青信号だった場合(自動車の信号は赤信号)、歩行者の基本的な過失は10%とされます。

自転車が赤信号で横断歩道を通行し始め、交通事故が発生した際の信号が青信号だった場合(自動車の信号は赤信号)、自転車の基本的な過失は10%とされます。

信号がない横断歩道での交通事故

ミミズク
信号がない横断歩道での事故の場合には、信号がある横断歩道と過失は違ってくるの?
シカ
信号がない横断歩道の場合には、車の過失が確実に高くなるね。
だけど、歩行者が横断歩道に寝そべっているような状況の場合、歩行者側にも比較的高い過失がつくから注意しよう。

信号なしの横断歩道

歩行者が信号のない横断歩道を横断している際に、自動車との間で交通事故が発生した場合、通常、歩行者の過失はないものとされます。

自転車が信号のない横断歩道を通行している際に、自動車との間で交通事故が発生した場合、車の基本的な過失は10%とされます。

横断歩道で歩行者が寝そべっていた場合

横断歩道で歩行者が寝そべっていたとき(路上横臥者と言います。)に、自動車との間で交通事故が発生した場合、歩行者の基本的な過失は、昼間で事前の発見が容易な場合には20%、昼まで事前の発見が容易でない場合には30%、夜間の場合には50%とされます。

路上横臥者は、通常の状況とは言い難いため、横断歩道上といえども、歩行者に一定程度の過失が認められます。

過失割合の修正要素

ミミズク
横断歩道での事故は、どんな事故でも同じ過失割合になるの?
シカ
子供や高齢者と事故を起こしてしまった場合には、通常の過失割合よりも高い過失が車側につく事になるよ。
その他にも、集団で横断歩道を渡っているような場合や、ながら運転や脇見運転など、車側に著しい過失が認められる場合にも、通常の事故よりも車側の過失が高くなるんだよ。

上記で考慮した事情以外にも、過失割合の修正要素はあります。

ここでは、そのうちの一部を紹介します。

子供や高齢者

被害者が子供や高齢者である場合、歩行者の過失が減り、逆に自動車の過失が増えます。

交通事故においては、子供や高齢者は保護の対象となっている(交通弱者)ため、上記のように過失割合が修正されることとなります。

子供は12歳まで、高齢者は概ね65歳以上の者をいいます。

集団横断

歩行者が集団で道路を横断・通行することを言い、典型例は集団登下校です。

数人が同じ行動をとっていればよく、横断している者全員が意思を通じて集団横断をしているといったことまでは要求されません。

集団横断をしている場合、自動車にとっても、視認可能性も高まりますので、歩行者の過失が減り、逆に自動車の過失が増えます。

自動車の過失

自動車に交通事故発生に関する過失がある場合、当然、自動車の過失が高くなります。

そして、逆に、歩行者や自転車の過失は低くなります。

自動車の過失の例はたくさんありますが、例えば、ながら運転(携帯電話を見ながらの運転等)、脇見運転、酒酔い運転、スピード違反といったことが挙げられます。

過失の程度も様々で、その程度によって過失相殺の程度は異なりますが、著しい過失と評価されると10%、重過失と評価されると20%、自動車の過失が高くなります。

まとめ

ミミズク
横断歩道での交通事故の過失割合は、信号機の色や、修正要素によって変わってくるんだね!
シカ
過失割合によって受け取れる賠償金の金額は大きく変ってくるから、過失割合に納得できない場合には、早めに弁護士に相談して、適正な過失割合で示談交渉を進めることが大切だよ。

以上のとおり、過失割合によって、慰謝料を含む損害が減額されることとなります。

そのため、交通事故において、被害者が損害を請求する際には、事故態様や過失割合に関する検討が欠かせません。

過失割合は、重要な要素ですので、検討する際には、弁護士に相談される方が良いでしょう。

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阿部栄一郎

阿部栄一郎

弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所所属。

早稲田大学法学部、千葉大学大学院専門法務研究科(法科大学院)卒業。2006年司法試験合格、2007年東京弁護士会登録。
交通事故、不動産、離婚、相続など幅広い案件を担当するほか、顧問弁護士として企業法務も手がける。ソフトな人当たりと、的確なアドバイスで依頼者からの信頼も厚い。交通事故では、被害者加害者双方の案件の担当経験を持つ。(所属事務所プロフィールページ

■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故の加害者・被害者には、誰でもなり得るものです。しかしながら、誰もが適切に交通事故の示談交渉をできるわけではありません。一般の人は、主婦が休業損害を貰えることや適切な慰謝料額の算定方法が分からないかもしれません。ましてや、紛争処理センターや訴訟の対応などは経験のない人の方が多いと思います。保険会社との対応が精神的に辛いとおっしゃる方もいます。
不足している知識の補充、加害者側との対応や訴訟等の対応で頼りになるのが弁護士です。相談でもいいですし、ちょっとした疑問の解消のためでもいいです。事務対応や精神的負担の軽減のためでもいいですので、交通事故に遭ったら、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。

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