目次
運転免許の種類
そのため、人が死傷するような事故を起こしてしまうと、ゴールド免許ではなくなってしまうんだよ。
今回の記事では、ゴールド免許取得の要件や、ゴールド免許取得のメリットについて、詳しく見ていこう。
運転免許証の色
運転免許証の有効期限の帯の部分の色は、グリーン、ブルー、ゴールドの3つがあります。
免許証の帯の色が異なることで、運転免許を取ったばかりの運転者なのか、交通違反等をしたことがある運転者なのか、無事故無違反の運転者なのかが一目でわかるようになっています。
グリーンは初めて免許を取得した人の免許証で有効期間は2年以上3年です。
ゴールドは5年間無事故・無違反の人の免許証で有効期間は5年です。
ブルーは、グリーンとゴールド以外の人の免許証で有効期間は3年と5年があります。
もう少し詳しく見ていきます。
グリーン免許
グリーン免許は、初めて免許を取得した日から2年以上経過した後の誕生日(3回目の誕生日)の1か月後までの間の免許証です。
つまりは、初回更新までの免許証で、誰もが取得することになる免許証です。
免許取得後、1年間は、初心運転者標識(若葉マーク)をつける必要があります。
また、免許を取り消された後に免許を再取得した場合もグリーン免許になります。
ちなみに、再取得の場合でも、免許取得後、1年間は、初心運転者標識(若葉マーク)をつける必要があります。
ゴールド免許
ゴールド免許は、更新日までの間に5年以上免許を受けており、5年間、違反点数が加算される交通違反をしていないこと、重大違反行為の教唆幇助をしていないこと、道路外致死傷に係る法律の規定を遵守していることといった要件を満たした運転者に交付される免許証です。
違反点が問題となっていることから、違反点が加算されない交通違反は問題となりません。
例えば、交通事故でも人が怪我をしない物損のみの交通事故、泥はね運転や免許証不携帯は違反点が加算されませんので、ゴールド免許との関係では問題となりません。
重大違反行為は政令で定められており、例えば、酒気帯び運転は重大違反行為に当たります。
また、教唆は唆して犯罪行為等をする決意をさせること、幇助は様々な行為等で犯罪行為等を助けることです。
酒気帯び運転を例にとっていうと、例えば、教唆は酒を飲んでいる運転者に対して運転するように話をして、それをきっかけとして運転者が酒気帯び運転をしてしまったという場合が当たります。
幇助は、例えば、酒気帯び運転をしている運転者に対して、大丈夫などと言って心理的に酒気帯び運転を容易にしたといった場合が当たります。
道路外致死傷に係る法律の規定の遵守とは、例えば、私有地などで人が死傷する事故を起こしていないということです。
道路でなかったとしても、人が死傷する事故を起こしてしまった場合にはゴールド免許を取得することができません。
ブルー免許
ブルー免許はグリーン免許とゴールド免許以外の免許です。
グリーン免許から初回の更新で免許を受ける場合(免許を受けてから5年未満の人)、免許を受けてから5年以上の場合において交通違反などの違反行為をした人(ゴールド免許の要件を満たさない人)の免許証となります。
5年間に軽微な違反行為(違反点3点以下)が1回であること、重大違反行為の教唆幇助をしていないこと及び道路外致死傷に係る法律の規定を遵守していることの要件を満たす場合には有効期間が5年となります。
軽微な違反行為でない場合や軽微な違反行為が2回以上ある場合には有効期間が3年となります。
ゴールド免許のメリット
その他にも、任意保険加入費用が安くなるというメリットもあるよ。
ゴールド免許を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
メリットは大きく2つあり、免許更新の際の優遇と自動車保険における優遇です。
免許更新の際、ゴールド免許だと更新時の講習時間が短くなり、講習費用も他と比べると安くなります。
また、住所のある都道府県内の警察署で更新をすることができます。
自宅から離れた免許センター等に行かなくても済むわけです。
次に、自動車保険の保険料を割安で契約することができます。
損害保険会社の契約にもよりますが、ゴールド免許の場合、保険料を割り引いてもらうことができます。
ゴールド免許を失う場合
ゴールド免許は5年間無事故・無違反が前提となります。
そのため、人を死傷させる交通事故や違反点が加算される交通違反をすると、ゴールド免許を失うことになります。
ただ、交通事故や交通違反をしたら、直ちにゴールド免許を失うわけではなく、次回の更新日にブルー免許に切り替わることとなります。
ですので、例えば、ゴールド免許を取得して1年で違反点が加算される交通違反をしたとしても、残り4年間はゴールド免許を持ち続けることができます。
上記でも述べましたが、違反点が加算されない交通違反や人が死傷しない物損のみの交通事故の場合は、ゴールド免許を失うことはありません。
ただし、物損事故でも当て逃げ(物損事故を起こした後に、事故を警察に報告することなく、交通事故現場を立ち去ること)をした場合は違反点が加算されますので、ゴールド免許を失うこととなります。
また、道路ではない私有地で起こした人の死傷事故は道路外致死傷になりますので、道路外致死傷を起こした場合もゴールド免許を失うこととなります。
ゴールド免許に3か月特例の適用はあるのか
ゴールド免許の場合、3か月特例には適用していないから、違反をしてしまうと、次の更新ではブルー免許になるよ。
ここでいう3か月特例は、2年間無事故・無違反である人が軽微な交通違反(3点未満)をしたとしても、その後の3か月間無事故・無違反であれば、違反点がリセットされる制度のことをいいます。
仮に、ゴールド免許にもこの3か月特例が適用されるとすると、ゴールド免許を維持しやすくなりますが、この3か月特例はゴールド免許には適用がありません。
軽微な違反であったとしても、違反点が加算される交通違反をすると、ゴールド免許を失うこととなります。
更新遅れによる失効
ゴールド免許の更新をうっかりし忘れた場合はどうなるでしょうか。
一般的に、免許の更新をうっかり忘れてしまった場合でも6か月以内であれば、学科試験や技能試験は免除されるため、比較的スムーズに免許証の再交付を受けることができます。
しかしながら、失効してしまった場合は、再交付でゴールド免許が交付されることはなく、ゴールド免許は失われることとなります。
その際は、ブルー免許となり、有効期間も3年間となります。

阿部栄一郎
早稲田大学法学部、千葉大学大学院専門法務研究科(法科大学院)卒業。2006年司法試験合格、2007年東京弁護士会登録。
交通事故、不動産、離婚、相続など幅広い案件を担当するほか、顧問弁護士として企業法務も手がける。ソフトな人当たりと、的確なアドバイスで依頼者からの信頼も厚い。交通事故では、被害者加害者双方の案件の担当経験を持つ。(所属事務所プロフィールページ)
■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故の加害者・被害者には、誰でもなり得るものです。しかしながら、誰もが適切に交通事故の示談交渉をできるわけではありません。一般の人は、主婦が休業損害を貰えることや適切な慰謝料額の算定方法が分からないかもしれません。ましてや、紛争処理センターや訴訟の対応などは経験のない人の方が多いと思います。保険会社との対応が精神的に辛いとおっしゃる方もいます。
不足している知識の補充、加害者側との対応や訴訟等の対応で頼りになるのが弁護士です。相談でもいいですし、ちょっとした疑問の解消のためでもいいです。事務対応や精神的負担の軽減のためでもいいですので、交通事故に遭ったら、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。