今までも、自転車の酒酔い運転などは、赤切符が切られていたんだけれど、2026年からは、信号無視や一時不停止などの軽微な違反でも、罰則金を支払わなければならなくなったんだよ。
今回の記事では、自転車の青切符について、詳しく見ていこう。
自転車の青切符とは
2026年4月1日から自転車に関する青切符制度が始まることが決まりました。
警察庁は、道路交通法施行令の改正案を公表しており、パブリックコメント(意見公募)を2025年5月24日まで実施しています。
では、青切符制度とはどのような制度なのでしょうか。
青切符制度は通称であり、正確には、交通反則通告制度のことをいいます。
交通反則通告制度は、交通違反行為のうち、法令で定められた反則行為について、一定期間内に反則金を納めることによって、刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けないで事件が処理される制度のことです。
簡単にいうと、交通違反をしても、決められた期限内に反則金を納めれば、刑事罰を科されることはない制度ということができます。
次に、どのような行為が自転車の青切符の対象となるのでしょうか。
自転車の青切符の対象となるのは、16歳以上の者の行為のみです。
16歳未満の者が自転車の青切符の対象となる行為をしたとしても、反則金を納める必要はありません。
また、自転車の青切符の対象は113の行為があります。
代表的な違反行為としては
- 信号無視
- 一時不停止
- スマホなどのながら運転
- 逆走(右側通行)
- 歩道通行違反
- 傘さし運転
- ブレーキがきかない自転車での走行
- 遮断機が下りているのに踏切進入
などがあります。
また、赤切符の対象となっている自転車の違反行為もあります。
赤切符は、刑事事件の対象となる行為のことであり、罰金などの刑事罰が科される可能性があります。
代表的な行為としては
- 酒酔い運転
- スマホなどのながら運転
- 信号無視
などがあります。
青切符の反則金、手続
青切符は反則金仮納付書が交付されてから7日以内に銀行等で振込をすれば、手続きは完了だよ。
現時点では、まだ道路交通法施行令改正案の段階ではありますが、自転車の青切符で納めることとなる反則金は次のようになっています。
- ながら運転:1万2000円
- 遮断踏切立ち入り:7000円
- 信号無視:6000円
- 逆走(右側通行):6000円
- 歩道通行違反:6000円
- 一時不停止:5000円
- 制動装置(ブレーキ)の不良:5000円
- 傘さし運転等の都道府県公安委員会規則違反:5000円
- 無灯火:5000円
- 並進禁止違反:3000円
- 2人乗り違反:3000円
自転車の青切符における反則金のうち、最も高額なものはながら運転で1万2000円となっています。
スマホを使用しながらの自転車の運転は非常に危険、交通事故発生の危険性が高まるため、比較的高額な反則金とされるのも致し方ないでしょう。
では、反則金はどのように納めることとなるのでしょうか。
青切符は、正確には交通反則告知書と呼ばれ、交通反則告知書が交付された際に、反則金仮納付書が交付されます。
反則金仮納付書に記載された期限内(違反行為から7日以内)に、銀行等で反則金を納付すれば反則金の納付手続は完了となります。
仮に、反則金仮納付書で反則金を納付しなかった場合でも、通告センターに出頭して新たな納付書の交付を受けたり、青切符を交付されてから概ね40日後に送付される納付書によって、反則金を納付することもできます。
なお、納付書の送付を受けた場合には、反則金に加えて送付費用も合わせて負担することになります。
赤切符の罰則
多くの場合、略式裁判を経て、罰則金を支払う形になるんだ。
赤切符は、重大な違反行為や実際に交通事故を起こしてしまった場合などに交付されます。
既に説明をしていますが、刑事事件の対象となる行為であり、例えば、ながら運転で実際に危険を発生させた場合には1年以下の懲役または30万円以下の罰金が、酒気帯び運転の場合は3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
自転車のながら運転や酒気帯び運転は、2024年11月1日の道路交通法改正で刑事罰の対象に加えられることとなりました。
懲役、罰金は、いずれも科されると前科となりますので、赤切符には十分に注意しましょう。
赤切符が交付された場合、刑事事件の対象となり、
- 警察の捜査
- 検察官送致
- 検察官による起訴
- 裁判
という流れになります。
ただ、道路交通法違反の赤切符については、違反者がその事実を認めていれば、略式裁判という比較的簡易な手続で進められ、罰金が科されることとなります。
実際は、上記の警察の捜査から裁判までを1日で終えて、違反者に罰金が科されるということになります。
青切符を無視するとどうなるのか
それでも支払わなかった場合には、刑事事件となってしまうんだ。
赤切符を無視していると、逮捕されてしまうことがあるから、青切符でも赤切符でも無視をせずに適切に対応するようにしよう。
青切符を交付された際に交付される反則金仮納付書で反則金を納付しなかった場合、違反行為から概ね40日後に納付書が届きます。
この納付書を無視して、反則金を納めなかった場合はどうなるのでしょうか。
このような場合、通常の刑事事件として扱われます。
上記のとおり、
- 警察の捜査
- 検察官送致
- 検察官による起訴
- 裁判
という流れとなります。
また、この場合、違反者とされている人としては、交通違反をしたとされていることについて納得できない場合が多いと思われます。
ですので、略式裁判とはならず、正式な裁判(公判)となる可能性が高いでしょう。
もちろん、捜査の過程で、交通違反をしていない、又は、やむを得ない事情があった(緊急避難など)と判断された場合、検察官の判断で不起訴処分(刑事罰等を問われない処分)とされることもあります。
仮に、赤切符について、警察からの出頭や呼び出し等に応じなかった場合、状況によっては逮捕されるということもあり得ます。
青切符であろうと赤切符であろうと、いずれも無視などはせずに、適切に対応することが重要です。

阿部栄一郎
早稲田大学法学部、千葉大学大学院専門法務研究科(法科大学院)卒業。2006年司法試験合格、2007年東京弁護士会登録。
交通事故、不動産、離婚、相続など幅広い案件を担当するほか、顧問弁護士として企業法務も手がける。ソフトな人当たりと、的確なアドバイスで依頼者からの信頼も厚い。交通事故では、被害者加害者双方の案件の担当経験を持つ。(所属事務所プロフィールページ)
■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故の加害者・被害者には、誰でもなり得るものです。しかしながら、誰もが適切に交通事故の示談交渉をできるわけではありません。一般の人は、主婦が休業損害を貰えることや適切な慰謝料額の算定方法が分からないかもしれません。ましてや、紛争処理センターや訴訟の対応などは経験のない人の方が多いと思います。保険会社との対応が精神的に辛いとおっしゃる方もいます。
不足している知識の補充、加害者側との対応や訴訟等の対応で頼りになるのが弁護士です。相談でもいいですし、ちょっとした疑問の解消のためでもいいです。事務対応や精神的負担の軽減のためでもいいですので、交通事故に遭ったら、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。