車種によって起きやすい事故ってあるのかな?
AT車の方が、操作が簡単だから、事故を起こしやすいと考えられるよ。
目次
AT車とMT車の事故率の違い
AT車の方が事故率が高い
AT車とMT車では、どちらが事故を起こす確率が高いでしょうか。
AT車の方がMT車よりも事故を起こす確率が高いと言われており、正面衝突事故を除くと、AT車が事故を起こす確率はMT車の約2倍であるとの研究結果があるようです。
なお、正面衝突事故や死亡事故が起きる確率は、AT車もMT車も同じ程度とのことです。
AT車の事故率が高い理由
上記は、鳥取環境大学の鷲野翔一教授の研究結果ということですが、同研究結果によると、AT車の事故率が高い理由は、ドライバーが運転に向ける注意の違いとのことです。
AT車はMT車に比べると、運転が簡単であるため、ドライバーが運転に向ける注意の程度が低くなり、それとともに、ドライバーが他のことに注意が向けてしまう傾向にあるようです。
そのようにドライバーが運転以外のことに注意を向けてしまうことが事故発生の原因であるとのことです。
それに対し、MT車はAT車に比べると、クラッチ操作が必要であることもあり、運転が複雑です。
そのため、ドライバーが運転に向ける注意の程度が高くなるため、事故が起こりにくくなるということです。
また、AT車とMT車の機能の違いも事故率の違いの原因の一つと考えられます。
高齢車によくあるブレーキとアクセルの踏み間違いで起こる事故などは、AT車で起こりやすいと言えます。
MT車の場合、仮に、ブレーキとアクセルを踏み間違えたとしても、クラッチ操作をしていないので、空ぶかしとなるだけで、車は急発進しません。
車種によって過失割合は変わるのか
では、車種などによって、過失割合は変わるのでしょうか。
結論としては、車種によって過失割合は変わりません。
ただ、事故類型や状況によっては、大型車と普通車とで過失割合が異なることがあります。
詳しくは、以下の記事を参照してください。
参照:オートマ車やマニュアル車、電気自動車など種類が増えてきたけど、車種によって過失割合が変わることはあるの?さらに、自動運転車はどうなるの?
色によって異なる事故率
黒い車は事故に巻き込まれやすい
では、車の色によって事故率が異なることはあるのでしょうか。
統計によると、黒い車は、他の色の車に比べて47%事故に巻き込まれやすいということです。
黒などの暗い色は、夜間には視認性が悪くなるため、事故が起こりやすくなると考えられます。
それに対し、赤やオレンジなどは、人が視認しやすく、注意をひく色であるため、事故に巻き込まれにくいと言われています。
スポーツカーや高級車は事故率が高いのか
損害保険を契約する際、スポーツカーや外車などの高級車は保険料が高く設定されています。
この保険料は、損害保険料率算出機構がメーカーや車種ごとに定めています。
保険料が高いということは、損害保険会社にとって、それだけリスクのある契約であるということがわかります。
スポーツカーや外車などの高級車は、性能が高いため、スピードを出しやすく、事故が発生しやすいというイメージもあるかもしれません。
しかしながら、保険料が高いことは、事故率が高いということと直ちに結びつくわけではありません。
スポーツカーや外車などの高級車は事故を起こした場合の修理費が高くなることも多く、そういった要素も織り込んだうえで、保険料が高くなっています。
安全な車を選ぶには
最近の車には、AIの搭載、自動ブレーキの搭載、横滑り防止装置の搭載、ハンドル自動制御の搭載など、様々な機能が付いています。
ただ、機能だけを見ても、どの車が安全なのかというのは判断しにくいと思います。
安全性を確認する一つの基準として、自動車アセスメントがあります。
自動車アセスメントは、国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が行っている事業で、新車として販売された車に対して、試験を行ったうえで安全性に関する点数をつけて、それを公表しています。
自動車アセスメントでは、衝突安全性能評価、予防安全性能評価、事故自動緊急通報装置を評価しており、安全な車を選ぶ参考になります。
車種にこだわらずに安全運転を
ここでは、事故率などを述べましたが、事故を起こすも起こさないも、結局は、運転手の心がけ次第です。
車種やAT車・MT車、色にはこだわらず、安全運転を心がけましょう。
運転は、速度を出しすぎない、無理な運転はしない(割り込みはしない。疲れた時には休憩をする等。)、周囲をよく確認するなどといった運転の基本を守ることが重要です。
判断が鈍くなった、老化による衰えを感じるなどといった場合には、運転を止めて、運転免許証を返納することも大切です。
そして、事故を起こしてしまった場合に備えて、弁護士に依頼できるように任意保険に弁護士特約を付けておくことが良いと思われます。
事故を起こしてしまった場合には、過失割合を始めとして、判断が難しい事項があります。
しかも、その判断の難しい事項が実際の損害の負担に直結することもあります。
また、事故対応などはストレスを伴うことも多く、弁護士に依頼すると、ストレスの多い事故対応の大半を任せることもできます。

阿部栄一郎
早稲田大学法学部、千葉大学大学院専門法務研究科(法科大学院)卒業。2006年司法試験合格、2007年東京弁護士会登録。
交通事故、不動産、離婚、相続など幅広い案件を担当するほか、顧問弁護士として企業法務も手がける。ソフトな人当たりと、的確なアドバイスで依頼者からの信頼も厚い。交通事故では、被害者加害者双方の案件の担当経験を持つ。(所属事務所プロフィールページ)
■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故の加害者・被害者には、誰でもなり得るものです。しかしながら、誰もが適切に交通事故の示談交渉をできるわけではありません。一般の人は、主婦が休業損害を貰えることや適切な慰謝料額の算定方法が分からないかもしれません。ましてや、紛争処理センターや訴訟の対応などは経験のない人の方が多いと思います。保険会社との対応が精神的に辛いとおっしゃる方もいます。
不足している知識の補充、加害者側との対応や訴訟等の対応で頼りになるのが弁護士です。相談でもいいですし、ちょっとした疑問の解消のためでもいいです。事務対応や精神的負担の軽減のためでもいいですので、交通事故に遭ったら、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。