解決までの流れ

あおり運転してきた車と事故になった!普通の事故とは違う対応とかって必要?

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あおり運転で事故が起きてしまった場合の対応

ウサギ
あおり運転が原因で事故が起きてしまったんだけれど、通常の事故対応とはどんな違いがあるの?

ミミズク
警察と救急車を呼ぶという事は通常の事故と変わらないよ。
だけど、あおり運転による事故の場合、相手が暴力をふるってくることがあるから、キーロックをかけて、警察にあおり運転による事故であることを伝えたうえで、人目のつく場所に移動しよう。
動画を撮影しておくと、安心だね。

あおり運転とは?

ここ数年、あおり運転という言葉を聞くようになりました。

そして、あおり運転が犯罪になったという話も聞いたことがあるかと思います。

ここでは、最初に、あおり運転はどのような行為なのかを確認しておきましょう。

道路交通法上、あおり運転は、「妨害運転」と呼ばれています。

令和2年6月10日に公布された道路交通法の一部改正で設けられ、同月30日に施行されました。

道路交通法117条の2の2第8号で

「他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者」

と規定されており、行為としては、下記の10個の行為が挙げられています。

代表的な行為は、急ブレーキをかける、必要以上に前の車に迫る、追い越しなどが挙げられます。

具体的な対応

では、あおり運転をされて、交通事故が発生してしまった場合、どのように対応すればよいでしょうか。

警察と救急車を呼ぶことは変わらない

一般的な交通事故の場合、交通事故が起きてしまったら、警察と救急車を呼ぶことは必須です。

このことは、あおり運転が原因で事故が起きたときも変わりません。

むしろ、早めに警察と救急車を呼んでおいた方が良いでしょう。

警察に交通事故の連絡をする際には、あおり運転によって交通事故が発生した旨を伝えておくと良いでしょう。

なお、同乗者がいる場合など、運転者以外に電話をすることができる人がいる場合、状況に応じて、あおり運転を受けた段階から警察に連絡をしても良いかもしれません。

それに加えて、どのような対応をするのが良いでしょうか。

ドアをロックする

あおり運転の加害者から暴力を振るわれる、怒鳴られるといった交通事故発生後の被害が生じるケースなどがニュース等でも報道されています。

そのような観点からは、ドアをロックし、外部から開けることができないようにしておくことが重要だと考えられます。

少なくとも、警察官が交通事故現場に来るまでの間は、不必要にあおり運転の加害者と接触しない方が良いでしょう。

人目が付く場所に移動する

あおり運転による交通事故が発生した場合、交通事故現場から近い、人目が付く場所に移動することが良いです。

上記でも述べたとおり、あおり運転の加害者から暴力等を振るわれる可能性があるため、できる限り人目のあるところに移動し、犯罪を抑止した方が良いでしょう。

例えば、高速道路であれば、近くのサービスエリアに行く、通常の道路などであれば、店舗の駐車場に移動するなどといったことが考えられます。

ただし、交通事故の当事者が怪我をしている場合において、警察や救急車への連絡もなく、遠くに逃げてしまうと、ひき逃げと判断されてしまう可能性もあります。

警察に事情をきちんと話し、救急車も呼んだうえで、対応する方が良いでしょう。

動画を撮影する

自分が体験したことを他人が確認するのに最も有効な手段は、動画の撮影でしょう。

警察官を始めとする第三者があおり運転の状況を正確に確認できることは重要なことです。

最近では、前後左右を撮影するドライブレコーダーも多いですし、動画のデータ等をクラウドで保管する商品もあります。

また、ドライブレコーダーに加えて、同乗者がいる場合などには、スマートフォンで動画撮影するというのも良いでしょう。

ドライブレコーダーは、あくまで、定位置での撮影ですので、ドライブレコーダーで撮影し切れない場所や状況などを動画で撮影しておくのも、後々の証拠として有用です。

加害者の車両を撮影する

上記とも重なりますが、あおり運転をした加害者の車両のナンバープレート、車種や色などを意識的に撮影しておくのが良いでしょう。

あおり運転の加害者は、交通事故を起こして、警察を呼んだことを知ると、逃げるかもしれません。

最終的な責任追及のためにも、あおり運転の加害者の車両をきちんと撮影しておくのが良いと考えられます。

動画撮影などが難しい場合は、ナンバープレートを覚えておく、メモをするだけでも、加害者の特定に有用ですので、意識してできると良いと思います。

あおり運転で発生した交通事故は損害保険が使えないことも

ウサギ
あおり運転での事故って保険が使えないって本当?

ミミズク
あおり運転での事故は、故意の過失となってしまい、加害者側の保険が使えないんだ。
無保険車の事故と同じ扱いになってしまうから注意しよう。

故意行為の場合に保険は使えない

自動車の運転手は、自賠責保険や任意保険などの損害保険に加入していますが、故意行為による交通事故は保険の対象にはなりません。

つまり、あおり運転の加害者が故意に交通事故を起こしたと判断された場合、加害者の保険は使えないということになります。

被害者にとっては、非常に残念なことではありますが、故意行為でも保険金が出るとなると、他の問題(わざと、交通事故を起こして保険金をもらおうとする事案)に対応ができなくなってしまいます。

あおり運転といっても、実際に、故意行為と判断されるかどうかは、その状況によると考えられますので、上記のとおり、故の状況をきちんと動画等で証拠化しておくことが重要です。

加害者に対して損害賠償請求をすることになる可能性

上記のとおり、加害者の保険が使えないとなると、加害者本人に対して、被害者の損害の全額を損害賠償請求することとなります。

しかしながら、あおり運転の加害者が、素直に賠償に応じるとは限りませんし、資力があるとも限りません。

自分の保険の見直しも選択肢に

加害者が損害賠償責任を果たしてくれない場合、どうすれば良いでしょうか。

最終的には、被害者が自分の負担で治療や車両の修理等をしなければなりません。

ただ、必ずしも、急な出費に対応できる蓄えがあるとも限りません。

そのような場合、自身の保険を使用して治療費や車両修理費を賄うことができる場合があります。

例えば、人身傷害保険は治療費や休業損害を賄ってくれますし、車両保険は車両修理費等を賄ってくれます。

いずれも、自身と損害保険会社との間の契約によって支払われる保険金ですので、保険内容を事前に確認しておくことをお勧めします。

自身の損害の全額を賄ってくれるとは限りませんので、その点は要注意。

あおり運転によって慰謝料が増額するのか

ウサギ
あおり運転の事故って慰謝料を増額できるのかな?

ミミズク
ああおり運転により怪我をしてしまった場合には慰謝料が増額できる可能性があるよ。

あおり運転のような危険な行為があった場合、被害者が加害者から受け取れる慰謝料額が増えることがあります。

なお、その他の慰謝料の増額事由としては、酒酔い運転、無免許運転、加害者の不誠実な対応等があります。

増額の幅は、事情にもよりますが、10%から30%程度でしょう。

しかしながら、慰謝料は、あくまで怪我をした際の精神的な苦痛を慰謝するものと位置付けられていますので、被害者が怪我をしていない場合、そもそも慰謝料が発生しません。

そうなると、慰謝料増額の話も出てこないことになります。

さいごに

ウサギ
あおり運転で事故を起こしてしまったら、すぐに警察に連絡して、あおり運転での事故ってことを伝えることが大切なんだね。

ミミズク
あおり運転の車と事故になってしまった場合には、動画を撮影したり、人目のつくところに移動する、そして自分の身の安全を確保することを忘れないようにしよう。

今回、あおり運転によって発生した交通事故のことを解説しました。

このような場合、次の点を意識して、気を付けてもらうと良いでしょう。

  • 交通事故後の暴力等に備える(ドアのロック、人目のあるところに行く等)
  • あおり運転の証拠化の重要性(ドライブレコーダー、動画撮影等)
  • 加害者から賠償してもらえない場合にも対応できるように自身の保険の見直し

今回の記事が参考になれば幸いです。

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阿部栄一郎

阿部栄一郎

弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所所属。

早稲田大学法学部、千葉大学大学院専門法務研究科(法科大学院)卒業。2006年司法試験合格、2007年東京弁護士会登録。
交通事故、不動産、離婚、相続など幅広い案件を担当するほか、顧問弁護士として企業法務も手がける。ソフトな人当たりと、的確なアドバイスで依頼者からの信頼も厚い。交通事故では、被害者加害者双方の案件の担当経験を持つ。(所属事務所プロフィールページ

■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故の加害者・被害者には、誰でもなり得るものです。しかしながら、誰もが適切に交通事故の示談交渉をできるわけではありません。一般の人は、主婦が休業損害を貰えることや適切な慰謝料額の算定方法が分からないかもしれません。ましてや、紛争処理センターや訴訟の対応などは経験のない人の方が多いと思います。保険会社との対応が精神的に辛いとおっしゃる方もいます。
不足している知識の補充、加害者側との対応や訴訟等の対応で頼りになるのが弁護士です。相談でもいいですし、ちょっとした疑問の解消のためでもいいです。事務対応や精神的負担の軽減のためでもいいですので、交通事故に遭ったら、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。

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