めまいや頭痛が残っている場合、後遺障害認定を受ける事ってできるの?
今回の記事では、交通事故後に自律神経失調症の症状が出てしまっている場合に受け取れる慰謝料や、後遺障害等級について、詳しく見ていこう!
目次
自律神経失調症
自律神経失調症の症状とは
自律神経失調症は、交感神経と副交感神経のバランスが崩れた状況を指し示す慣用表現であり、様々な症状を引き起こします。
例えば、
- 疲れやすい
- めまい
- ふらつき
- のぼせ
- 冷え
- 頭痛
- 耳鳴
- 動悸
- 間接の痛み
- 便秘
- 下痢
- 生理不順
- 口や喉の不快感
- 頻尿
- 残尿感
- 発汗
- 肩凝り
といった症状が出て、個人差があります。
また、イライラや情緒不安定といった症状が続くこともあります。
交通事故によって自律神経失調症となることはあるのか
自律神経失調症と呼ぶかは別として、交通事故によって、自律神経失調症と同様の症状が出ることがあります。
いわゆるむち打ち症によって、頸椎に損傷を受けることによって、自律神経失調症と同様の症状が出ることがあります。
そして、同症状が出た状態をバレ・リュー症候群と呼ぶことがあります。
バレ・リュー症候群によっても、自律神経失調症と同様、疲労感や倦怠感の他、様々な症状が出るといわれています。
バレ・リュー症候群は後遺障害認定を受けられるのか
12級と14級でどの位慰謝料に違いがあるのかチェックしてみよう。
慰謝料の計算方法には、自賠責基準と弁護士基準があるんだけれど、弁護士に依頼する事で、弁護士基準で計算することができるよ。
前提
今回のケースも含めて、交通事故による後遺障害として認定されるには、
- 交通事故と症状との間に因果関係(原因と結果の関係)があること
- 医師による診断
- 医師作成の後遺障害診断書
が必要になります。
①から③が必要な趣旨は、重複しますが、大まかに言うと、専門家であり、かつ、第三者である医師が被害者の症状について、交通事故が原因であることや症状が存在していることをきちんと証明する必要があるということに尽きるかと思います。
バレ・リュー症候群で認定される可能性のある後遺障害
バレ・リュー症候群によって、認定される可能性のある後遺障害は、別表第2の第14級9号と第12級13号を挙げることができます。
第14級9号と第12級13号は、いずれも、神経症状を対象とした後遺障害で、次の内容のものです。
- 第14級9号:局部に神経症状を残すもの
- 第12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの
バレ・リュー症候群で受け取れる慰謝料
交通事故で発症したバレ・リュー症候群によって、仮に、後遺障害の第14級9号と認定された場合、自賠責保険からは、保険金として75万円を受け取ることができます。
なお、同保険金75万円のうち、慰謝料相当額は32万円です。
そして、仮に、後遺障害の第14級9号と認定された場合、弁護士基準でいえば、後遺障害慰謝料として110万円(目安)を受け取ることができます。
次に、仮に、後遺障害の第12級13と認定された場合、自賠責保険からは、保険金として224万円を受け取ることができます。
なお、同保険金224万円のうち、慰謝料相当額は94万円です。
そして、仮に、後遺障害の第12級13号と認定された場合、弁護士基準でいえば、後遺障害慰謝料として290万円(目安)を受け取ることができます。
自律神経失調症で後遺障害認定を受ける場合のポイント
14級の場合には、画像診断などの証明が必要ないから、医師が作成した後遺障害診断書が重要になってくるね。
交通事故との因果関係が争点
上記のとおり、自立神経失調症の症状は、主訴(自覚症状)であることが多く、客観的な医学的証拠を収集しづらいことが多いです。
そのため、交通事故と症状との間の因果関係が争われることが多いです。
バレ・リュー症候群は、自覚症状が多く、また、多様な症状を示すため、被害者の心の問題(心因性)と判断される可能性があります。
心因性の症状と判断された場合、交通事故と症状との間の因果関係は肯定されにくくなります。
さて、第14級9号は、医学的に説明可能か否かといったことが基準となり、必ずしもMRI等の画像資料によって根拠づけられる必要はありません。
そのため、治療状況や一貫した主訴、そして、医師の説明といったことで認定されることがあります。
そして、医師がきちんと患者の症状を説明できるためには、交通事故が発生した後、早期に通院するということが重要であると考えられます。
第12級13号は、客観的な資料が必要となると言われています。
それに対し、バレ・リュー症候群の症状は、自覚症状が多いため、第12級13号と認定される可能性は高くないかもしれません。
ただ、バレ・リュー症候群の症状は多様なものが多いため、その症状を客観的な資料によって根拠づけることができれば、後遺障害として第12級13号が認定される可能性はあります。
早期に弁護士に依頼することが大切
交通事故に遭った場合、早期に弁護士に相談、依頼することをお勧めします。
もちろん、弁護士に相談、依頼することによって、事実や症状を変えることはできません。
しかしながら、弁護士は、事実や症状を的確に捉え、交通事故の賠償に沿った形でアドバイスをすることができます。
例えば、治療の終了の時期(症状固定時期、勝手に治療を中断しない)や必要な検査の内容を相談したり、後遺障害等級認定手続についてのサポートを受けるなどすることができます。
弁護士に相談、依頼することによって、後遺障害の等級認定の可能性を高めることができるといえます。
阿部栄一郎
早稲田大学法学部、千葉大学大学院専門法務研究科(法科大学院)卒業。2006年司法試験合格、2007年東京弁護士会登録。
交通事故、不動産、離婚、相続など幅広い案件を担当するほか、顧問弁護士として企業法務も手がける。ソフトな人当たりと、的確なアドバイスで依頼者からの信頼も厚い。交通事故では、被害者加害者双方の案件の担当経験を持つ。(所属事務所プロフィールページ)
■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故の加害者・被害者には、誰でもなり得るものです。しかしながら、誰もが適切に交通事故の示談交渉をできるわけではありません。一般の人は、主婦が休業損害を貰えることや適切な慰謝料額の算定方法が分からないかもしれません。ましてや、紛争処理センターや訴訟の対応などは経験のない人の方が多いと思います。保険会社との対応が精神的に辛いとおっしゃる方もいます。
不足している知識の補充、加害者側との対応や訴訟等の対応で頼りになるのが弁護士です。相談でもいいですし、ちょっとした疑問の解消のためでもいいです。事務対応や精神的負担の軽減のためでもいいですので、交通事故に遭ったら、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。