後遺障害

後遺症・後遺障害認定がされない!慰謝料をより多くもらえる方法を専門家が解説

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クマ
交通事故後、後遺症が残っているのに、後遺障害認定を受ける事が出来なかったんだ。
後遺障害認定ではじかれてしまったら、諦めるしかないのかな?
シカ
後遺障害認定されないケースとしては、該当症状を立証することができていない、通院回数が少ない、資料が足りない、因果関係を証明できていないなど、様々な原因があるんだ。
今回の記事では、後遺障害認定されなかった場合の対処法について、詳しく見ていこう。

交通事故で辛い後遺症が残っても「後遺障害認定されない」ケースが少なくありません。

なぜ症状があるのに後遺障害として認められないのでしょうか?

実は後遺障害等級認定を受けるには、いくつかのポイントがあります。

万一非該当になってしまっても「異議申し立て」などで争う方法があるので押さえておきましょう。

今回は交通事故の後遺症が後遺障害認定されない理由や対処方法をお伝えします。

交通事故後、後遺症が認定されない理由

交通事故の後遺症を正式に認定して「等級」をつける制度を「後遺障害等級認定」といいます。

後遺障害等級認定を受けられたら等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益が支払われるので、受け取れる賠償金が大きくアップします。

しかし症状があっても必ずしも後遺障害認定されるとは限りません。

巷では、むち打ちなどで辛い痛みやしびれなどの症状が残っているにもかかわらず、認定されないケースがよくあります。

なぜ後遺障害認定されないのか、よくある理由をみてみましょう。

後遺障害に該当する症状を医学的に証明できない

後遺障害認定されるには、等級ごとに定められた一定の症状が認められなければなりません。

たとえばむち打ちで12級の認定を受けるには、MRIなどの画像によってヘルニア等の症状を証明する必要があります。

14級の場合でも「自覚症状に相当する症状があることを合理的に説明」できなければなりません。

該当する症状を医学的に立証(14級の場合は合理的に説明)できなければ後遺障害認定されないのです。

通院回数が極端に少ない

交通事故後の通院頻度や回数が少ないと後遺障害認定されない可能性が高まります。

あまり通院していなければ「症状が出ていない」「重症ではない」「完治した」と考えられるためです。

症状固定までの期間が短い

症状固定までの期間が半年以内の場合、後遺障害認定されにくくなります。

そもそも交通事故から半年が経過しないと後遺障害等級認定を申請できません。

またあまりに早く症状固定すると「もう少し治療を続ければ完治するのでは?」「軽傷なのでは?」と疑われてしまいます。

治療開始後6ヶ月以内に「症状固定」と診断されてしまった場合には、弁護士に相談しながら後遺障害等級認定の申請を進めましょう。

検査、資料が足りない

後遺障害認定されるには、症状を立証するための医学的な資料が必要です。

後遺障害診断書の他、症状ごとの「検査資料」が必須と考えましょう。

特に重視されるのは、MRICT、レントゲンなどの画像診断結果です。

むちうちの場合、腱反射テストやジャクソンテストなどの神経学的検査の結果も重要です。

因果関係を証明できない

後遺障害に該当する症状があっても後遺障害認定を受けられないケースがあります。

それは「症状と交通事故の因果関係を証明できない」場合です。

たとえば一定以上の年齢の方が交通事故後に「椎間板ヘルニア」となって痛みが生じた場合、「加齢による症状」と判断されるケースがよくあります。

椎間板ヘルニア以外でも、もともと持病のある方は「持病による症状であり交通事故とは関係ない」と判断されがちです。

あまりに軽い交通事故で重篤な症状が出た場合や、交通時の受傷部位と関係ない場所に症状が出た場合などにも因果関係を否定されやすい傾向があります。

交通事故の後遺症が「後遺障害」認定されなかった場合の対処方法

クマ
後遺障害認定されなかった場合、同じように書類を再提出すれば、再審査してくれるの?
シカ
全く同じ書類を添付して異議申し立てにより再審査をしても、後遺障害認定を受ける事はできないよ。
前回足りなかった書類を追加したり、医師に後遺障害診断書を書き直してもらうなどした上で、再審査を行う必要があるよ。
再審査を依頼するには、自分自身で被害者請求を行う方法もあるけれど、ADRを利用したり、裁判を起こしたりすることも可能だよ。

交通事故後、辛い後遺症が残ったのに「後遺障害」として認定されなかったら以下のように対処しましょう。

異議申立てを行う

自賠責保険で後遺障害非該当と判断されてしまった場合「異議申立て」によって判断を変更してもらえる可能性があります。

異議申立てとは、自賠責保険へ再審査を求める方法です。

資料を揃え直したり診断書を書き直してもらったりして「1度目とは異なる方法」で異議申立てをすると、判断を変更してもらって等級認定される可能性があります。

ただし判断するのは「1度目と同じ自賠責保険」なので、同じ資料を提出して同じ主張をしても再び非該当になる可能性が濃厚です。

異議申立てを成功させるのは簡単ではないので、弁護士に依頼しましょう。

なお異議申立てに期間や回数の制限はありません。

何度でも再審査を求められますし、自賠責保険の時効が成立するまではいつでも申立ができます。

自賠責保険の時効は「症状固定後3年間」です。

時効が成立しそうになったら、自賠責に「時効更新申請書」を提出すると時効の更新に応じてくれます。

異議申立てに必要な書類とは

異議申立てに必要な書類は、基本的に「異議申立書」のみです。

判定を覆すには、以下のようなことを異議申立書に説得的に記載しなければなりません。

  • なぜ1度目の審査結果に誤りがあるといえるのか
  • どういった判断が適切なのか
  • 何級に該当すると考えられるのか

 また、実際には異議申立書1通で判断を覆すのは困難です。

以下のような資料も追加しましょう。

  • 後遺障害診断書を適切な内容に書き直してもらう
  • 追加で検査を受けて検査結果を提出する
  • 医師や弁護士による意見書を提出する

場合によっては転院が必要なケースもあります。

ADR(自賠責保険・共済紛争処理機構)へ申請する

自賠責保険や共済の判断内容に不服がある場合、「自賠責保険・共済紛争処理機構」という交通事故ADRで審査してもらえます。

自賠責保険・共済紛争処理機構は自賠責保険や共済が行った判断や保険金支給、不支給決定などについて審査する専門機関です。

機構において判断されると自賠責保険や共済はその内容に従うので、後遺障害認定される可能性があります。

自賠責保険・強制紛争処理機構へ申請できるのは1回だけなので、慎重に手続きを進めましょう。

必要書類は以下の通りです。

  • 紛争処理申請書
  • 申請書別紙(紛争処理申請書について詳しく記載した別紙)
  • 同意書
  • 交通事故証明書
  • 保険会社又は共済組合からの通知書
  • 証拠書類

申請書類はこちらからダウンロードできます。

申請書の書き方についてはこちらに案内があるので参照しましょう。

裁判を起こす

異議申立てや自賠責保険・共済紛争処理機構で判断を変更してもらえなかった場合でも「訴訟」を起こせば後遺障害認定を受けられる可能性があります。

裁判所は提出された資料や当事者の主張内容により独自に後遺障害への該当性を判断します。

自賠責保険や共済、紛争処理機構の判断内容には拘束されないので、これらの機関で非該当となった場合でも後遺障害認定を受けられる可能性があります。

ただし訴訟で適切に後遺障害への該当性を証明できなければ、かえって等級が下がってしまう可能性があります。

裁判で後遺障害認定を請求するなら、必ず事前にしっかり資料を集めて交通事故を得意とする弁護士へ依頼しましょう。

後遺障害認定を受けるためのポイント

クマ
後遺障害認定を受けやすくするにはどうしたら良いのかな?
シカ
医師としっかりコミュニケーションを取って、必要な検査を追加してもらったり、後遺障害診断書を適切に記載してもらうようにしよう。
その他にも、通院回数が少なくならないように注意したり、弁護士に依頼してサポートしてもらうことでも、後遺障害認定を受けやすくなるよ。

交通事故で後遺障害認定を受けるには、以下のようなポイントに注意してください。

医師としっかりコミュニケーションをとる

後遺障害認定において「医師」は非常に重要な存在です。

医師は「症状固定」のタイミングを判定し、後遺障害認定の手続きで非常に重視される「後遺障害診断書」を作成します。

また各種の「検査」を実施すべきか判断するのも医師ですし、検査を行って結果を残すのも医師です。

医師とのコミュニケーションがうまくいかないと、後遺障害認定を受けるのは難しくなるでしょう。

  • 自覚症状の内容をしっかり伝えて誤解が生じないように注意する
  • 必要な検査を実施するようにお願いする
  • 後遺障害診断書へ症状や検査結果を正確に記載してもらう

上記のような点に注意しながら医師と良い関係を作りましょう。

一貫性のある主張をする

通院時、医師に対して「一貫性のある主張」をすることも大切です。

たとえばある通院日には「右腕がしびれる」と言い、1ヶ月後には「背中が痛い、右腕は痛くない」と主張し、3ヶ月後には「肩がこる」などと言っていたら多くの場合「交通事故の後遺障害とはいえない」と判断されるでしょう。

事故によって後遺症が残ったといえるには、事故後一貫した症状を訴え続けることが大切です。

通院頻度や回数にも注意

交通事故後の通院頻度や回数も重要です。

まずは事故後「すぐに」病院へ行きましょう。

事故から間が空いてから初めて通院すると、「交通事故後別原因でケガをしたのではないか?」と疑われてしまいます。

通院回数があまりに少なかったり頻度が低かったりすると「軽傷だろう」「完治しているだろう」と思われるリスクが高まります。

交通事故後は1週間に2、3回以上の通院を目標としましょう。

被害者請求を利用する

1回目の後遺障害認定請求時に「事前認定」を利用して非該当になった場合、異議申立て段階では「被害者請求」に切り替えるのがおすすめです。

被害者請求は、相手の保険会社に任せずに被害者自身が後遺障害等級認定の手続きを進める方法です。

被害者の裁量で有利な医証を提出できますし症状の具体的な説明なども行えるので、任意保険会社に任せる事前認定より後遺障害が認められやすくなります。

ただし被害者請求にはたくさんの書類が必要で手間もかかるので弁護士に依頼するのが良いでしょう。

弁護士に依頼する

交通事故で後遺障害認定を受けたいなら、弁護士に対応を任せるべきです。

後遺障害認定の手続きでは「医学的な知識」と「法律的な知識」「専門スキル」が必要とされます。

必要書類や検査資料は後遺症の症状ごとに違いますし、医師とコミュニケーションをとって後遺障害診断書の書き方も伝えなければなりません。

被害者が一人で対応すると、どうしても不備が生じて非該当になってしまいやすいものです。

また交通事故に詳しい弁護士に依頼すると以下のようなメリットがあります。

  • 面倒な被害者請求の手続きをスムーズに進めてくれる、手間がかからない
  • 医師と連絡をとってくれる、後遺障害診断書の書き方や検査について伝えてくれる
  • 集めるべき資料や対処方法などアドバイスしてもらえる

まとめ

クマ
一度後遺障害認定されなかった場合でも、諦める必要はないんだね!
再審査を行う際のポイントについても良くわかったよ!
シカ
後遺障害認定を受けられるかどうかで、慰謝料の金額は大きく変わってくるから、後遺症が残っている場合には弁護士に依頼して手続きを進めていこう!

後遺症が残ったにもかかわらず後遺障害認定されない場合でも、あきらめる必要はありません。

まずは交通事故に積極的に取り組んでいる弁護士に相談して被害者請求やADR、裁判を駆使しながら適切な等級認定を目指しましょう。

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福谷陽子

福谷陽子

元弁護士・ライター。
京都大学在学中に司法試験に合格し、弁護士として約10年間活動。うち7年間は独立開業して事務所の運営を行う。
実務においては交通事故案件を多数担当し、示談交渉のみならず訴訟案件も含め、多くの事件に関与し解決。
現在はライターとして、法律関係の記事を執筆している。

■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故に遭うと、今までのように仕事を続けられなくなったり相手の保険会社の言い分に納得できなかったりして、被害者の方はさまざまなストレスを抱えておられると思います。
そんなとき、助けになるのは正確な法律知識とサポートしてくれる専門家です。まずは交通事故の賠償金計算方法や示談交渉の流れなどの基本知識を身に付けて、相手と対等に交渉できるようになりましょう。
お一人で悩んでいるとどんどん精神的にも追い詰められてしまいます。専門家に話を聞いてもらうだけで楽になることも多いので、悩んでおられるなら一度弁護士に相談してみると良いと思いますよ。

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