今回の記事では、自転車専用通行帯やナビラインがある道路を車が走行する場合の注意点について、詳しくみていこう。
自動車が自転車専用通行帯や自転車ナビラインのある場所を通行する際には、自転車との交通事故に要注意です。
自動車が自転車道や自転車専用通行帯に侵入すると道路交通法違反になる場合もあるので、近くを通る際には侵入しないように注意しましょう。
今回は自転車専用通行帯(自転車専用レーン)や自転車ナビラインなどの近くを自動車が通行する際の注意点をお伝えします。
日頃から自動車を運転する方はぜひ参考にしてみてください。
目次
自転車専用通行帯やナビラインがある道路で車が注意すべきこと
自転車専用通行帯とは、青く塗りつぶされて「自転車専用」と書かれており、自転車が専用で走行するための道路の部分です。
「自転車専用レーン」ともよばれます。
車やバイクが入ると道路交通法違反になり、罰則が適用される可能性もあります。
自転車ナビラインとは、道路上に青い矢印が連続して示されているマークのある場所です。
道路交通整理のために自転車の進行方向を示すものであり、自転車ナビラインを逆走してはなりません。
ただしこれらのマークは道路交通法などの法律による規定ではないので、自動車やバイクが走行しても交通違反にはなりません。
以下で自動車が自転車専用通行帯や自転車ナビラインの近くを走行する場合の注意点をお伝えします。
駐停車に注意
自転車専用通行帯上には、むやみに駐停車すべきではありません。
自転車専用通行帯では、多くの場所が「駐停車禁止」になっているためです。
駐停車禁止区域以外の自転車専用通行帯や自転車ナビライン上への一時的な停車であれば、法律違反になりません。
とはいえ車が自転車専用通行帯や自転車ナビライン上に停まっていると、自転車が大きく道路にはみ出して運転しなければならず事故に遭うリスクが高まってしまうでしょう。
そういった問題を避けるため、合法的に駐停車できる場所であっても、自転車専用レーンや自転車ナビライン上の駐停車時間は極力短くすべきです。
もちろん、駐停車禁止となっている自転車専用通行帯上には一時的であっても駐車してはなりません。
左折に注意
自動車が左折する場合、自転車専用通行帯や自転車ナビライン内に一時的に入っても法律違反にはなりません。
ただし早めに左折しないと自転車の走行を妨げてしまいます。
もたもたしていると、自転車専用レーンを走ってきた自転車を巻き込んで事故を起こしてしまう可能性も高まるでしょう。
自転車専用通行帯を横切って左折する場合、後方や側方の自転車の存在に注意して、早めに曲がることが重要です。
建物の敷地内に入る時に注意
自動車が飲食店などの建物の敷地内に入る場合、一時的に自転車専用通行帯に入っても道路交通法違反にはなりません。
ただし長期間滞留すると走ってきた自転車と衝突してしまう可能性もあります。
自動車で建物の敷地内の駐車場などに入る場合でも、自転車専用レーン上では特に自転車の存在に注意しましょう。
狭い道路での走行に注意
道路幅が狭い場所での通行にも注意が必要です。
道路幅が狭くても自転車ナビラインなどがあるケースは珍しくありません。
狭い道路に自転車と自動車が両方通ると、当然接触事故が起こりやすくなってしまいます。
狭い道路に自転車ナビラインなどが設置されている場合、道路幅が狭くなる手前に「この先自転車注意」などの看板が設置されているケースもあります。
そのような道路では、自転車と接触しないよう、十分注意しながら走行しましょう。
自転車専用通行帯を走行した場合の罰則
自動車が自転車専用通行帯や自転車ナビラインを通行すると、罰則は適用されるのでしょうか?
罰則については自転車専用通行帯と自転車ナビラインとで異なります。
自転車ナビラインは自転車の走行方向をわかりやすく示しただけのものなので、法的効力はなく、罰則も適用されません。
一方、自転車専用通行帯や自転車専用道路を走行すると道路交通法違反になります。
自動車が自転車道や自転車専用通行帯を通ると罰金を払わねばならない可能性もあるので、注意が必要です。
自転車専用通行帯と自転車ナビラインの違い
自転車専用通行帯や自転車専用道路、自転車ナビラインは何が違うのでしょうか?
まず道路交通法上に規定があるかどうかが大きく異なります。
自転車専用通行帯や自転車道については道路交通法上に規定があり、自動車が勝手に入って走行してはなりません。
自動車が自転車専用通行帯に入って走行すると免許の点数が1点加算されて6000円の反則金が科されます。
自転車専用通行帯は通常「自転車専用」と記載されているか標識で標示されていたりブルーで塗られていたりするので、そういった場所にはくれぐれも侵入しないように注意しましょう。
自転車道は自転車が走行するために縁石などで囲まれていて車道とは区切られている場所です。
この部分に車が進入すると、免許の点数が2点加算されて反則金が7000円となります。
一方、自転車ナビラインは道路交通法による規制ではないので、車が入っても罰則や反則金は適用されません。
自転車は弱者だという認識を持つことが大切
自動車が自転車専用通行帯や自転車道、自転車ナビラインの近くを走るときには、「自転車は弱者」という意識を持つことが重要です。
基本的には「車>自転車>歩行者」の順番で強者→弱者となっていきます。
事故が起こると当然に強者の責任が重くなるので、自動車が自転車相手に事故を起こしてしまうと、車側の責任が重くなってしまうのが一般的です。
よほど自転車がおかしな動きをしていた場合を除くと、事故の過失割合は圧倒的に自動車側が高くなってしまうでしょう。
自転車専用通行帯などに侵入して自動車が交通事故を起こした場合、なおさら自動車側の過失割合が高まります。
日ごろから自転車の走行を妨げないように運転しましょう。
自転車の安全講習会への参加もおすすめ
自転車専用通行帯や自転車道、自転車ナビラインなど、自転車に関するマークやルールにはわかりにくいものが多数あります。
どのようなことに注意すれば事故を避けられるのか、関心を持つ方も多いでしょう。
自転車の交通ルールに対する理解を深めるには、全国各地で開催されている自転車の安全講習会に参加するのもおすすめです。
こういった講習会に参加して自転車に関する交通ルールを知っておくと、自転車相手の交通事故も未然に防業者やすくなるでしょう。
自転車相手に事故を起こしてしまったら
もしも自転車相手に交通事故を起こしてしまったら、どのように対応すれば良いのでしょうか?
以下で事故を起こした場合の流れをご説明します。
車を停めて車から降りる
まずは自動車を道路脇などに停めて車から降りましょう。
事故を起こしたとき、そのまま走り去ってはなりません。
必ずその場で事故対応する必要があります。
走り去るとひき逃げ(救護義務違反)などとなって重い罰則を適用される可能性が高まるので、必ずその場で車を停めましょう。
けが人を救護する
自転車相手に事故を起こすと、自転車の運転者がケガをしてしまうケースが多いでしょう。
事故を起こした車両の運転者は、交通事故の被害者を救護しなければなりません。
応急処置を行い、必要に応じて救急車を呼びましょう。
けが人の救護をしなかったら道路交通法上の救護義務違反となって、重い罰則を適用される可能性が高まります。
危険防止措置をとる
交通事故を起こしたら、危険防止措置もとらねばなりません。
危険防止措置とは、2次的な交通事故などの危険を防ぐための措置です。
たとえば三角表示板をおくなどして、後続の車両に事故の発生を知らせましょう。
警察を呼ぶ
交通事故を起こしたら、必ず警察を呼ばねばなりません。
警察を呼ぶのも車両の運転者の義務です。
警察を呼ばないと罰則が適用される可能性もあります。
急いでいても運転免許の点数加算を避けたくても相手がケガをしていなくても、警察を呼ばないで済ませてはなりません。
110番通報などして警察へ事故を報告しましょう。
実況見分に立ち会う
警察が到着したら、事故現場で実況見分が行われるのが一般的です。
事故の当事者として、実況見分に立ち会いましょう。
警察からは事故が発生した際の詳しい状況などを聞かれるので、正確に説明する必要があります。
実況見分の結果は実況見分調書に残り、事故現場で話したことは供述調書として残るので、間違った内容を伝えてしまわないように注意してください。
相手と連絡先を交換する
交通事故に遭ったら、相手の情報も必要となります。
相手が現場にいる場合、連絡先を交換しましょう。
氏名や住所、電話番号などを聞いておくと良いでしょう。
事故の状況について証拠を残す
交通事故が起こると、後に当事者同士で過失割合についての争いが発生するケースが多々あります。
その場合、どういった状況だったかが問題になります。
そこで事故現場では、自分でも事故状況の証拠を残しておくようおすすめします。
たとえば車や自転車、事故現場周辺の写真をとったり、当時何が起こったのかメモをとっておいたりすると良いでしょう。
保険会社へ連絡する
交通事故を起こしたとき、対人賠償責任保険や対物賠償責任保険に入っていたら保険会社へ対応を任せられます。
事故直後の対応が終わって落ち着いたら、早めに保険会社に連絡して事故発生を伝えましょう。
まとめ
車は自転車に十分注意しながら走行しなければいけないんだね。
自動車が自転車通行専用帯や自転車ナビラインの近くを通るときには、自転車との交通事故を起こさないようにくれぐれも注意が必要です。
駐車場に入るなどためやむを得ず通行する場合にも、すばやく動いて自転車の邪魔にならないようにしましょう。
自転車相手に事故を起こすと、自動車側の過失割合が高くなるケースが大多数です。
もしも自転車事故を起こしてしまったら、弁護士に相談してアドバイスをもらうのも良いでしょう。
交通事故に詳しい弁護士の無料相談を利用してみてください。
福谷陽子
京都大学在学中に司法試験に合格し、弁護士として約10年間活動。うち7年間は独立開業して事務所の運営を行う。
実務においては交通事故案件を多数担当し、示談交渉のみならず訴訟案件も含め、多くの事件に関与し解決。
現在はライターとして、法律関係の記事を執筆している。
■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故に遭うと、今までのように仕事を続けられなくなったり相手の保険会社の言い分に納得できなかったりして、被害者の方はさまざまなストレスを抱えておられると思います。
そんなとき、助けになるのは正確な法律知識とサポートしてくれる専門家です。まずは交通事故の賠償金計算方法や示談交渉の流れなどの基本知識を身に付けて、相手と対等に交渉できるようになりましょう。
お一人で悩んでいるとどんどん精神的にも追い詰められてしまいます。専門家に話を聞いてもらうだけで楽になることも多いので、悩んでおられるなら一度弁護士に相談してみると良いと思いますよ。