慰謝料

事故で意識不明の重体に!家族が請求できる治療費や慰謝料は?専門家が解説

投稿日:2021年8月24日 更新日:

クマ
家族が交通事故に遭って意識不明の状態なんだ。
加害者への慰謝料請求は家族が代理でできるの?
ウサギ
交通事故の場合、加害者の保険会社か慰謝料が支払われるよね。
被害者本人が契約者になっていない場合には、家族の代理請求は認められないんだ。
今回の記事では、家族が交通事故に遭ってしまった時に家族が代理で賠償金請求を行うことができる、成年後見人について、詳しく見ていこう。

交通事故で家族が意識不明になってしまった場合には

保険金の代理請求制度の利用

被害者が被保険者となっている損害保険がある場合、保険契約の内容によっては、代理請求制度を利用して、被害者の親族が損害保険会社に対して、保険金を請求できる場合があります。

保険契約の内容によって多少異なりますが、代理請求制度の概要は次のとおりです。

  1. 被害者が被保険者となっており、被害者が受け取れる保険金であること
  2. 被害者が保険金を請求できない状況にあること
  3. 代理請求できる一定範囲の親族がいること

上記①に関しては、被害者が被保険者として受け取ることのできる保険金であることから、例えば、搭乗者傷害保険金や車両保険金などが挙げられます。

また、上記②に関しては、被害者が、交通事故による怪我によって意識不明の状態にあったり、精神上の障害によって意思能力を欠く状態にあるということが挙げられます。

上記③に関しては、損害保険契約の約款では、ⅰ.被保険者と同居又は生計を共にする配偶者(法律婚の配偶者)、ⅱ.被保険者と同居又は生計を共にする三親等以内の親族、ⅲ.ⅰ以外の配偶者又はⅱ以外の三親等以内の親族の順番で代理請求制度を利用できるように定めていることが多いようです。

なお、ⅰに該当する親族がいる場合にはⅰ、ⅰに該当する親族がいない場合にはⅱ、ⅱに該当する親族がいない場合にはⅲという形で優先順位が決まっています。

この保険金の代理請求制度は、被害者が意識不明になってしまった場合でも、親族が保険金を請求できるという点で非常に便利な制度ですが、上記①のとおり、被害者が被保険者となっていることが前提となりますので、加害者の付保する損害保険では利用できません。

成年後見制度の利用

成年後見制度の概要

成年後見制度の利用を説明する前に、成年後見制度の概要について説明します。

日本の法律上、成人は、原則として行為能力(有効に法律行為ができる能力のことです。例えば、一人で契約を締結することがきる人と考えていただければ良いと思います。)を有しているとされています。

しかしながら、実際には、そのような人たちばかりではありません。

交通事故によって、不幸にも意識不明の状態になったり、認知症を患ってしまって判断能力が衰えているという人もいます。

そのような人のために、代わりに法律行為等を行うのが成年後見人です。

もう少し正確にいうと、判断能力を失った程度に応じて、補助、保佐、成年後見という3つの制度が用意されています。

補助が最も軽く、保佐が中間、成年後見が最も重いものとされ、成年被後見人(成年後見を受ける人)は、法律上、事理を弁識する能力を欠く常況にある者とされ、常に判断能力がないという人が利用する制度となります。

例えば、意識不明の状態の人は、成年後見制度を利用する必要があります。

成年後見を利用するためには、一定の範囲の親族等が家庭裁判所に申立てを行う必要があり、家庭裁判所が成年後見相当であると認めれば、成年後見人が選任されます。

成年後見を受ける人を成年被後見人、成年被後見人の代わりに法律行為を行う人を成年後見人といいます。

なお、弁護士を代理人として成年後見の申立てをする場合には、一般的には、交通事故に係る弁護士費用や実費とは別に、弁護士費用や実費等がかかります。

成年後見人選任申立事件が申立てられた場合、事情に応じて家庭裁判所が成年後見人を選任しますが、親族間で特に争いがない場合には親族が、親族間で争いがある場合や特別な事情がある場合には弁護士等の法律専門家が選任されることが多いです。

事情によっては、親族と弁護士等の法律専門家が同時に成年後見人に選任されるということもあります。

成年後見人の役割

成年後見人の役割は、大きく分けて財産管理と身上監護です。

前者は、成年被後見人の財産を管理することで、交通事故の被害者の損害賠償請求もこの中に含まれます。

後者は、成年被後見人の日常生活の面倒を見るというものです。

上記のとおり、成年後見人は、成年被後見人の財産管理を行うため、被害者である成年被後見人の被った損害の賠償請求をすることができます(むしろ、成年後見人の義務ともいえます。)。

ですので、成年後見人は、成年被後見人に代わって、加害者の付保する損害保険会社との間で示談交渉をして示談を成立させたり、成年被後見人に代わって弁護士に交通事故の損害賠償請求事件を解決を依頼することができます。

また、成年後見人は、一度、選任されると、原則として成年被後見人が亡くなるまで職務を行わなければならず、交通事故の賠償金を受領した場合には、賠償金も含めて、その後も、成年被後見人の財産管理を継続することとなります。

意識不明になってしまった場合に受け取れる慰謝料

クマ
意識不明になってしまった時には、どんな慰謝料を受け取ることができるの?
ウサギ
意識不明で受け取れる慰謝料には、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料があるんだけれど、計算基準によって、金額が大幅に変わってくるんだ。
計算基準によってどのくらい慰謝料が変わってくるのか、チェックしてみよう。

入通院慰謝料

3つの基準

事故に遭った被害者の入通院慰謝料を決める基準には、3つの基準があるといわれています。

1つ目が自賠責基準、2つ目が任意保険基準、3つ目が弁護士基準(裁判基準、赤い本基準などともいいます。)です。

多くは、自賠責基準が最も低額で、弁護士基準が最も高額となります。

自賠責基準の入通院慰謝料は、日額4,300円とされており、総通院期間と実通院期間の2倍の日数とを比較して短期間の方の日数に日額4,300円を乗じた金額となります。

弁護士基準については、赤い本に入通院慰謝料に関する表があり、他覚的所見のある傷害の場合には別表Ⅰを用い、むちうち等の傷害の場合には別表Ⅱを用います。

別表Ⅰの方が別表Ⅱよりも高額となっています。

また、自賠責基準と同様、総通院期間と実通院期間(事情によりますが、長期に亘る通院の場合、別表Ⅰの場合には実通院期間の3.5倍、別表Ⅱの場合には実通院期間の3倍)との比較をして算出するということがあります。

任意保険基準は、公表されていないため、詳細を記載することはできないのですが、概ね、弁護士基準の70%程度の金額になるといわれています。

具体的な金額の計算

例えば、交通事故によって、意識不明の状態に陥り、3か月の入院、その後に1年間の通院をした場合において、赤本別表Ⅰで入通院慰謝料を算出してみますと、入通院慰謝料の目安は236万円となります。

ただし、実際の通院頻度や怪我の程度等によって、状況が変わることがありますので、上記金額は、あくまで目安として捉えておいてください。

後遺障害慰謝料

交通事故によって、意識障害が発生した場合、最終的に後遺障害が残存する可能性があります。

そして、交通事故によって脳を損傷した場合、いわゆる高次脳機能障害(人の生存に不可欠な能力を失うのではなく、記憶や認知能力、計画や段取りの能力といった機能の障害が生じるものとお考え下さい。)が障害として残存することがあります。

高次脳機能障害は、一見するだけでは分かりにくく、他の能力は備わっているにもかかわらず、ある一定の能力がすっぽりと落ちているという状況になることがあります。

自賠責保険においては、高次脳機能障害について、次のとおりの等級を用意しています。

  • 1級1号(要介護)
    「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」
  • 2級1号(要介護)
    「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」
  • 3級3号
    「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、就寝労務に服することができないもの」
  • 5級2号
    「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
  • 7級4号
    「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
  • 9級10号
    「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」

また、後遺障害の等級に応じた弁護士基準による後遺障害慰謝料は、次のとおりです。

なお、自賠責保険から支払われる保険金は、後遺障害慰謝料や逸失利益等を合算した金額とされていますので、純粋な慰謝料のみではありません。

等級

弁護士基準

1級

2800万円

2級

2370万円

3級

1990万円

5級

1400万円

7級

1000万円

9級

690万円

慰謝料以外に賠償してもらえる損害金は

治療費

加害者の付保する損害保険会社から、交通事故による被害者の怪我の治療のために要した治療費が支払われます。

被害者が意識不明の状態となり、その生命の維持に特別な器具等が必要な場合、症状固定の後の将来医療費も損害賠償の対象として認められることがあります。

また、治療費に準じて、車いす代、必要な器具(義手、義足、義眼等)の費用も認められます。

付添費

被害者の年齢、怪我の程度、被害者自身の状況等によって、親族等が通院その他に付き添うことがあります。

その場合、付添費用が損害として認められます。

付添費用は、入院付添費、通院付添費、自宅付添費とがあり、入院付添費は自賠責基準では一日当たり4,200円、それに対して弁護士基準では6,500円程度、通院付添費は自賠責基準では一日当たり2,100円、それに対して弁護士基準では3,300円程度、自宅付添費は自賠責基準では一日当たり2,100円、それに対して弁護士基準では3,000円程度(見守り、助言程度)から6,500円以上(常時介護が必要な場合。職業介護人に依頼をした場合には実費が認定されることもあります。また、収入のある親族がやむを得ず、付添のために休業した場合には、休業損害額相当として認定されることもあります。)とされることが多いと思われます。

ただし、入院施設のある病院は、完全看護体制を敷いているため、親族が入院している被害者の付添をしたというだけでは、当然に、入院付添費が認められるとは限りません。

入院している被害者に関して、医師が付添いの必要性を肯定したり、被害者の状況によって(重篤な状態となった場合等)入院付添がやむを得ないといった状況の場合に認められます。

また、通院付添や自宅付添についても、被害者の状況によって、通院付添が必要であるか否か、自宅付添が必要であるか否か、自宅付添が必要であるとしてその程度はどの程度かといったことを考慮したうえで、付添費用が算定されます。

逸失利益、ライプニッツ係数

交通事故によって、被害者に後遺障害が残存した場合、それによって、将来的に得ることができたであろう所得が失われます。

この失われた所得に対する損害賠償に関する項目が逸失利益と呼ばれるものです。

逸失利益は、基礎収入×労働能力喪失期間×労働能力喪失率によって算出されます。

基礎収入は、多くの場合、交通事故の前年の収入を基に算出され、労働能力喪失率は後遺障害の等級に応じて目安が定められています。

例えば、被害者に1級に該当する後遺障害が残存した場合、労働能力喪失率は100%で、完全に労働能力を喪失します。

労働能力喪失期間は、被害者の症状固定時の年齢から67歳までの期間又は症状固定時の年齢から平均余命までの期間の半分の期間として算出されます。

しかしながら、将来の所得を現時点で賠償してもらうため、中間利息の控除が行われます(将来の金員を現時点の価値に引き直す必要があります。)。そ

して、中間利息の控除の計算のために用いられる係数がライプニッツ係数と呼ばれています。

ライブニッツ係数は、赤い本の表などにまとまっていますので、労働能力喪失期間が分かれば、当該年数に該当するライプニッツ係数を使えば逸失利益を算出することができます。

早めに弁護士に相談を

クマ
家族が賠償金を代理請求するためには、成年後見人の選任が必要になるんだね。
受け取れる慰謝料の種類や計算基準について、良くわかったよ!
ウサギ
意識不明の状態が続いている場合には、弁護士に依頼するか否かで賠償金の額が大きく変ってくるから、交通事故後、家族が意識不明になってしまったら、出来るだけ早く弁護士に相談しよう。

仮に、家族が交通事故によって意識不明となってしまった場合、後遺障害の等級認定手続に加えて、成年後見人の選任といった法的な対応が増えます。

さらには、弁護士が介入した方が慰謝料その他の賠償金が増える可能性が高まるといったメリットもあります。

そのため、まずは、早い段階で弁護士に相談をして、解決に向けて動き出すことをお勧めします。

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阿部栄一郎

阿部栄一郎

弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所所属。

早稲田大学法学部、千葉大学大学院専門法務研究科(法科大学院)卒業。2006年司法試験合格、2007年東京弁護士会登録。
交通事故、不動産、離婚、相続など幅広い案件を担当するほか、顧問弁護士として企業法務も手がける。ソフトな人当たりと、的確なアドバイスで依頼者からの信頼も厚い。交通事故では、被害者加害者双方の案件の担当経験を持つ。(所属事務所プロフィールページ

■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故の加害者・被害者には、誰でもなり得るものです。しかしながら、誰もが適切に交通事故の示談交渉をできるわけではありません。一般の人は、主婦が休業損害を貰えることや適切な慰謝料額の算定方法が分からないかもしれません。ましてや、紛争処理センターや訴訟の対応などは経験のない人の方が多いと思います。保険会社との対応が精神的に辛いとおっしゃる方もいます。
不足している知識の補充、加害者側との対応や訴訟等の対応で頼りになるのが弁護士です。相談でもいいですし、ちょっとした疑問の解消のためでもいいです。事務対応や精神的負担の軽減のためでもいいですので、交通事故に遭ったら、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。

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