慰謝料 過失割合

逆走してきた車・自転車との事故。過失割合や慰謝料相場を専門家が解説

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シカ
逆走してきた車とぶつかってしまった場合、逆走車にはどのくらいの過失割合が割り当てられるの?
ウサギ
逆走による車同士の事故の場合には、逆走車の過失割合が10割になるよ。
だけど、自転車が逆走してきた場合には、必ずしも逆走車の過失割合が高くなるわけではないんだ。
今回の記事では、逆走車との交通事故における過失割合や慰謝料について、詳しくみていこう。

逆走してきた車や自転車と接触して事故に遭った場合、お互いの過失割合はどのくらいになるのでしょうか?

「逆走」は明らかな道路交通法違反なので、もちろん相手に高い過失割合が認められます。

ただし状況によっては被害者にも過失が認められる可能性があります。

四輪車かバイクか自転車かなど「車の種類」によっても過失割合が変わるので、正しい知識を持っておきましょう。

今回は相手が逆走してきた場合の交通事故の過失割合や慰謝料相場を解説します。

逆走により交通事故が起きてしまった場合の過失割合

逆走とは

逆走とは、定められた進行方向とは反対向きに車を走らせることです。

以下のような場合、逆走になります。

  • 右側道路など反対車線の道路を走行した場合
  • 一方通行の道路で反対方向へ走行した場合
  • センターオーバーして走行した場合

四輪車だけではなく、バイクや自転車でも進行方向が決まっているため、反対方向へ走らせると逆走になります。

逆走は道路交通法違反

逆走は「道路交通法違反」の違法行為です。

一方通行道路を反対方向へ走行すると道路交通法81項違反になりますし、通行区分と反対方向へ走行すると道路交通法174項違反になり、罰則は「3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金刑」です。

自転車の逆走も道路交通法違反で処罰対象になります。

自分が注意していても相手が逆走してきて事故に巻き込まれる可能性があるため、運転の際には周辺車の動きに十分注意しなければなりません。

逆走事故と過失割合

シカ
逆走してきた車の過失が低くなることってあるの?
ウサギ
通常逆走事故の場合、逆走車の過失が10割になるんだけれど、被害者側がながら運転をしていたり、スピード違反をしているような場合には、被害者側にも過失割合が割り当てられる事になるんだよ。

車が逆走してきた場合の過失割合

四輪車同士の交通事故の場合、逆走車と非逆走車の過失割合は「逆走車が100%」となります。

バイクと四輪車の事故であっても同様で、バイクが逆走すればバイクの過失割合が100%、四輪車が逆走したら四輪車の過失割合が100%になります。

修正要素

相手の逆走によって交通事故が生じた場合の過失割合は「修正要素」によって変更される可能性があります。

修正要素とは、事故の具体的な状況により基本の過失割合を加算減算すべき事情です。

たとえば以下のような場合、被害者にも過失が認められます。

  • 被害者が時速15キロメートル以上のスピード違反、著しい前方不注視、酒気帯び運転、スマホをみながら運転…被害者の過失割合を10%程度加算
  •  被害者が酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転など…被害者の過失割合を20%程度加算

自転車が逆走してきた場合の過失割合

自転車が逆走した場合、状況によって過失割合が変わります。

自転車が道路の右側を逆走

自転車が道路の右側を逆走して反対方向から走行してきた四輪車やバイクと接触した場合の過失割合は、自転車:自動車(四輪車・バイク)=80%:20%となります。

この場合、たしかに自動車は違反行為をしていません。

しかし自転車と自動車が交通事故の当事者になる場合、自転車は自動車より車体も小さく被害が大きくなってしまいがちで「弱者」といえ、自転車の過失割合が小さくなります

自動車側は自転車に注意を払って事故を避ける努力をすべきと考えられるため、道路交通法違反がなくても20%の過失割合が認められます。

自転車がセンターオーバー

自転車がセンターオーバーして逆走し、自動車と接触した場合の過失割合は50%:50%となります。

逆走自転車との交通事故による修正要素とは

自転車が逆走して交通事故が生じた場合の過失割合も、自動車のケースと同様に「修正要素」によって変更される可能性があります。

自転車が逆走した場合に適用される可能性のある修正要素には以下のようなものがあります。

【自転車の過失割合を加算】

  • 自転車がふらふら運転…自転車の過失割合を10%程度加算
  • 自転車が2人乗り、ながら運転、無灯火、酒気帯び運転、傘差し運転…自転車の過失割合を10%程度加算
  • 自転車が酒酔い運転、ブレーキ装置が壊れた状態で運転…自転車の過失割合を20%程度加算 

【自転車の過失割合を減算(自動車側の過失割合を加算)】

  • 自転車の運転者が13歳未満の児童、65歳以上の高齢者…自転車の過失割合を10%程度減算
  • 自動車が前方不注視…自転車の過失割合を15%程度減算
  • 自動車が著しい前方不注視…自転車の過失割合を30%程度減算
  • 自動車が酒酔い運転、無免許運転など重過失がある場合…自転車の過失割合を1020%程度減算

逆走が多い道路や逆走が起こる理由

シカ
なんで逆走事故が起きてしまうの?
逆走は自分では気が付かないのかな?
ウサギ
高齢ドライバーの場合、一方通行の標識を見落としてしまったり、判断能力が低くなっている事で、逆走をしてしまう事が多いよ。
だけど、若い世代でも、薬の影響受けて判断能力が低下して逆走してしまう事もあるし、高速道路でどちらが出口がわからなくなってしまって逆走してしまうという事も良くあるんだよ。

逆走は誰が考えても危険であり「あえて逆走しよう」という方は極めて少数でしょう。

それにもかかわらず逆走事故はなくなりません。

なぜ逆走による交通事故が起こるのか、理由や逆走しやすいドライバーの特徴を押さえておきましょう。

高齢ドライバー

高齢者はどうしても判断能力が低下してしまいがちです。

高速道路で進行方向を勘違いして逆走してしまったり、一般道路で一方通行標識を見落として逆走してしまったりするケースがよくあります。

認知症にかかっても運転をやめない方がたくさんいますし、認知症にまではなっていなくても判断能力が低下して逆走してしまう方が少なくありません。

精神疾患や薬の影響

てんかんなどの疾患があって車の適切な制御ができなくなり、逆走してしまうケースがあります。

服用した薬の影響で頭がぼーっとして標識を見落としたり周囲の状況を把握できなくなったりして逆走してしまう方もおられます。

マナーの悪い自転車

自転車には免許制度がないため、極めてマナーの悪いドライバーも存在します。

若者が無謀な運転をするケースもありますし、競輪用のブレーキなしの自転車(違法改造のロードバイクなど)を運転する人もいます。

また自転車は子どもや高齢者もよく利用しており、交通規範をきちんと理解・認識していないケースも少なくありません。

「急いでいる」などの私的な事情で定められた進行方向と反対方向へ平気で走行してしまう人もいます。

高速道路

高速道路では一般道以上に逆走事故が起こりやすいので注意が必要です。

複雑なインターチェンジやジャンクションで進行方向がわからなくなって反対へ進んでしまったり、サービスエリアやパーキングエリアを出るときに方向を間違えて逆走してしまったりします。

高齢者が高速道路を運転するときには特に逆走しやすく要注意です。

一方通行道路

複雑に入り組んだ住宅街などの場所では、一方通行標識の見落としも多数起こります。

気づかない間に逆走してしまう方も少なくありません。

逆走事故で請求できる慰謝料の相場

シカ
逆走で交通事故が起きてしまったら、慰謝料はどの位もらえるの?
ウサギ
慰謝料は、入院することで受け取れる入通院慰謝料、後遺症が残った場合に受け取れる後遺障害慰謝料、死亡した場合に受け取れる死亡慰謝料の3種類があるよ。
怪我をしていない場合には、どの慰謝料も受け取ることはできないから注意しよう。

相手が逆走してきたために事故になってけがをしたら、どのくらいの慰謝料を請求できるのでしょうか?

慰謝料は「受傷の程度」で異なる

交通事故の慰謝料は、「相手の過失割合が高いと高額になる」ものではありません。

慰謝料は「事故でけがをしたり死亡したりしたことによる精神的苦痛」に対する賠償金です。

被害者が「けが」をしたり「死亡」したりしたら慰謝料が払われますが、受傷せず死亡もしなかったら相手が逆走した事故でも慰謝料を請求できません。

一言で「けが」といっても程度はさまざまです。

重傷であれば高額な慰謝料が発生しますが、軽傷なら慰謝料も低くなります。

たとえば3ヶ月の通院が必要になったら73万円程度、半年の通院が必要になったら116万円程度が慰謝料の相場です。

後遺障害が残って「後遺障害等級認定」を受けられたら、別途高額な後遺障害慰謝料も請求できます。

逆走車が自転車の場合の注意点

逆走してきた相手が自転車の場合、こちらが被害者でも慰謝料を払わねばならない可能性があります。

自転車と四輪車が接触すると、自転車は大怪我をしても四輪車のドライバーは無傷や軽傷、というケースがあるためです。

たとえば自転車が反対車線の右側を逆走して事故が起こり、過失割合は自転車:自動車=80%:20%になったとしましょう。

この場合、自転車が大怪我をして2,000万円の慰謝料が発生すると、自動車のドライバーは400万円(20%)払わねばなりません。

一方、自動車のドライバーが無傷であれば、被害者であるはずの自動車ドライバーは自転車のライダーへ慰謝料を一切請求できないのです。

もしも通院3ヶ月で73万円の慰謝料が発生した場合、相手に請求できるのは584,000円(80%)のみです。

このように、交通事故の慰謝料は「どちらが悪いか」だけではなく「どの程度のけがをしたか」によって算定します。

過失割合によって受け取れる慰謝料が変わる!

シカ
交通事故の過失割合って重要なの?
ウサギ
過失が割り当てられてしまうと、被害者であっても、受け取れる慰謝料が減額されてしまうから、過失割合は非常に重要なんだ。

逆走事故に遭うと、多くのケースでは逆走車の過失割合が高くなります。

ただし被害者側にも過失割合が認められるケースもあります。

被害者に過失があると、相手に請求できる慰謝料などの賠償金額が全体的減額されてしまうので、受け取れる賠償金額が減ってしまいます。

たとえば事故でけがをして慰謝料が300万円、他の項目を含めて合計1,000万円分の損害が発生したとしましょう。

その場合でも被害者に20%の過失割合が認められると相手に請求できるのは800万円に減額されてしまいます(うち、慰謝料は240万円に減額されます)。

このように、被害者側の過失割合を高くされると充分な賠償金を受け取れないリスクが高まるので、示談交渉の際には「過失割合」に注目すべきです。

過失割合に納得できない場合には

相手の保険会社が提示する過失割合は必ずしも適正とは限りません。

被害者に過大な過失割合をあてはめようとするケースが多いので鵜呑みにしないよう注意が必要です。

保険会社の提示する過失割合に納得できない場合や正しい過失割合がわからない場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談しましょう。

自分で判例タイムズなどの書籍をあたって調べる方法もありますが、弁護士の無料相談を利用する方が確実で正しい答えを導き出せるのでおすすめです。

まとめ

シカ
逆走車と交通事故を起こしてしまった場合の過失割合が良くわかったよ!
自転車との逆走事故の場合には、被害者であっても、過失が割り当てられてしまうから注意が必要なんだね!
ウサギ
過失割合によって受け取れる賠償金の額は大きく変ってくるから、過失割合に納得できない場合には、早めに弁護士に相談するようにしよう。

相手の逆走を原因とする交通事故に遭ったら、正な過失割合をあてはめて慰謝料や賠償金を正しく計算しなければなりません。

被害者が一人で対応すると不利になってしまうおそれが高まります。

特に被害者の過失割合が0の場合、保険会社は示談交渉を代行してくれません。

過失割合や慰謝料額に疑問を持った方、示談交渉をプロに任せたい方は、早めに交通事故に積極的に取り組んでいる弁護士に相談してみましょう。

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福谷陽子

福谷陽子

元弁護士・ライター。
京都大学在学中に司法試験に合格し、弁護士として約10年間活動。うち7年間は独立開業して事務所の運営を行う。
実務においては交通事故案件を多数担当し、示談交渉のみならず訴訟案件も含め、多くの事件に関与し解決。
現在はライターとして、法律関係の記事を執筆している。

■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故に遭うと、今までのように仕事を続けられなくなったり相手の保険会社の言い分に納得できなかったりして、被害者の方はさまざまなストレスを抱えておられると思います。
そんなとき、助けになるのは正確な法律知識とサポートしてくれる専門家です。まずは交通事故の賠償金計算方法や示談交渉の流れなどの基本知識を身に付けて、相手と対等に交渉できるようになりましょう。
お一人で悩んでいるとどんどん精神的にも追い詰められてしまいます。専門家に話を聞いてもらうだけで楽になることも多いので、悩んでおられるなら一度弁護士に相談してみると良いと思いますよ。

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