今回の記事では、雪道で事故を起こしてしまった場合の対処法や雪道での事故を防ぐ方法について、詳しく解説するね。
大雪の中で車を運転すると、事故に巻き込まれるケースが非常によくあります。
積雪の多い悪天候下で事故に遭った場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?
この記事では大雪のもとでどういった事故が起こりやすいのか、事故を起こしてしまった場合の対処方法も合わせてお伝えします。
大雪の中で事故に巻き込まれてしまった方はぜひ参考にしてみてください。
目次
大雪で起こりがちな事故
まずは大雪の中で起こりやすい事故にどういったものが多いのか、よくあるパターンをみてみましょう。
スリップ事故
まずは積雪によるスリップ事故が起こりやすくなります。
地面凍結が原因でスリップしてしまうケースが少なくありません。
視界不良による追突事故
大雪が降ると、前方がほとんど見えなくなるケースもよくあります。
すると前方の車両が見えずに追突してしまいやすくなります。
大雪の中で運転するときには、ふだんよりも大きく十分な車間距離をとりましょう。
視界不良になりやすい状況
以下のような状況になると、視界不良になりやすいので注意が必要です。
- 降雪が1センチメートル以上あり、雪が降った後早い時期(おおよそ24時間以内)
- アイスバーン(氷のようになった路面)
特に冷え込む夜間や朝方の時間、日陰などの場所は凍っていると見えなくてもブラックアイスバーンになっているケースがあります。 - 信号交差点
信号交差点では、車が発進や停止を繰り返すことによって、路面が非常に滑りやすくなるケースがあります。 - 橋梁(橋げた)
ほかの路面が凍っていなくても、橋の上だけが凍結しているケースもあります。 - トンネルなどの出入口
トンネルなどの出入り口では日陰になるケースが多く、その場所だけ路面凍結している場合があります。
上記のような場所では、特にスリップ事故に注意してください。
雪による轍にはまってしまう
雪が降ると、轍ができるケースもよくあります。
すると車が轍にはまって動きを取りづらくなる可能性があります。
立ち往生、車内閉じ込め
雪が降ると、車が動けなくなって立ち往生してしまうケースがよくあります。
車から出ることもできなくなり、閉じ込めが起こってしまう事例もみられます。
大雪の中で事故に巻き込まれると、命の危険が生じるケースも少なくありません。
大雪や悪天候の中では、できるかぎり運転しない方が良いでしょう。
路面が凍結しているときの運転のポイント
路面が凍結している場合、普段よりも慎重に運転しなければなりません。
以下では凍結路面での運転のテクニックをいくつかお伝えします。
坂道を走行する場合
坂道を走行する場合、あらかじめ適切なギヤにシフトダウンしましょう。
またアクセルを一定にしてください。
急ブレーキやシフトダウンをすると尻振りやスピンを招いてしまうので、避けるべきです。
また下り坂の場合にエンジンブレーキをきかせるようおすすめします。
カーブを走行する場合
カーブを走行する場合には、カーブ手前で十分に減速してください。
カーブの中では速度を控えめにして一定に保ちましょう。
ブレーキ
雪道でブレーキをかけるときにも注意が必要です。
急ブレーキをかけるとタイヤがロックしてしてしまい、グリップを失って止まれなくなってしまう可能性があります。
ブレーキは普段より手前の段階からソフトに踏み込んで車を止めましょう。
大雪で事故を起こしてしまった場合の対処法
まずは被害者の救護をして、ハザードランプを付けたうえで、安全なところで警察を呼ぼう。
大雪の中で事故を起こしてしまったら、どのように対応すれば良いのでしょうか?
以下で事故現場での対処方法をお伝えします。
被害者がいたら救護する
事故を起こした人にはケガ人の救護義務があります。
事故を起こした際に自分以外にケガ人がいたら、必ず救護しましょう。
たとえば追突事故を起こしてしまい、相手にケガをさせたケースなどです。
応急処置をして、救急車を呼ぶなどの対応をしましょう。
ハザードランプを点灯
交通事故を起こした人は、危険を防止するための措置をとらねばなりません。
雪の中では視界が悪くなっているケースも多いので、必ずハザードランプをつけて周囲や後続車へ事故を知らせましょう。
警察に知らせる
大雪の中でも交通事故を起こしたら、必ず警察へ報告しなければなりません。
相手がいる場合の追突などの交通事故はもちろん、相手のいない自損事故でも警察への報告は必須です。
ケガ人のいない物損事故でも警察へ報告しなければなりません。
以上の事故現場でのケガ人救護義務、事故現場での危険回避措置の義務、警察への報告義務は道路交通法に定められた義務です。
(交通事故の場合の措置)
道路交通法第72条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
保険会社に連絡
交通事故を起こしたら、加入している保険会社に連絡しましょう。
自動車保険にロードサービスがついていれば、手配してくれるケースもあります。
また自分の車両が壊れた場合や自分がケガをした場合、保険会社から保険金を支払ってもらえる可能性もあります。
相手のいる人身事故や物損事故のケースはもちろんのこと、単独事故でも保険会社に連絡しましょう。
車が動かなくなってしまった場合の対処法
大雪の中で運転していると、車を動かせなくなって立ち往生してしまうケースも珍しくありません。
そんなときにはどのように対応すれば良いのでしょうか?
タイヤの周りを除雪する
まずは車のタイヤ周りを除雪してみましょう。
スコップなどを利用して、タイヤ周辺の雪を排除すると、車を動かせるようになるケースがあります。
雪国で運転する際には、スコップなどを車に常備しておくのが良いでしょう。
また雪がやわらかすぎて車のタイヤが回らない場合、雪を足で踏みしめて固くすると動かせるようになる場合もあります。
車を前後に動かす
車が動かなくなったら、前後に動かしてみるのも一つです。
前進と後退を繰り返すとタイヤ周りの雪が踏み固められるので、車が動くようになる可能性があります。
布を使う
タイヤがスリップして動かなくなってしまった場合、布を使って対応できるケースがあります。
たとえばフロアマットなどの布をタイヤと雪の間に挟むと、すべりを減らして車を動かせるようになる可能性があります。
牽引してもらう
雪の中で立ち往生すると、自車のみの力では動けなくなってしまうケースが少なくありません。
その場合には、他車に牽引してもらうのも1つの解決方法となります。
ロードサービスを利用する
最終的にはロードサービスを利用しましょう。
自動車保険(任意保険)にはロードサービスがついているケースが多いですし、JAFなどのロードサービスも利用できます。
雪の中で動けなくなったら、ロードサービスを頼んで安全な場所に車を移動してもらいましょう。
車内で長時間過ごす場合には
車内で過ごす場合、排気管をふさいでしまわないようにすること、窓を少し開けておくことなどが必要になるよ。
大雪の中で事故に巻き込まれると、待っていても救助がなかなかこないケースが少なくありません。
車も動かせなくなって完全に移動手段がなくなるケースもよくあります。
雪崩で車を動かせなくなるケースもあるでしょう。
このように、車に閉じ込められて長時間過ごす場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?
以下では雪の中で、車内で長時間過ごす場合の対策方法をお伝えします。
閉じ込められてしまったら救助を呼ぶ
大雪が降ると、雪崩の被害が生じるケースも多々あります。
雪崩などによって雪道から抜け出せず、閉じ込められてしまったらすぐに警察やロードサービスを呼びましょう。
到着まで時間がかかる可能性もありますが、車から外へ出て歩いて自力で戻ろうとしたりすると危険があります。
車内で待つのが基本の対応です。
一酸化炭素中毒に注意
車内で過ごす場合、一酸化炭素中毒に注意が必要です。
一酸化炭素中毒になると命を失ってしまう可能性もあります。
車の排気管を雪でふさいでしまわないように注意しましょう。
窓を少し開けておく
車内で長時間過ごす場合、窓を少しだけ開けておくようおすすめします。
窓が開いていれば換気されて、一酸化炭素中毒を防げるからです。
あるいは起きているなら頻繁に窓を開け閉めして換気する方法もあります。
警察やロードサービスなどを待っている途中で寝てしまうと、換気ができない状態になってしまう可能性もあります。
寝そうな場合には窓を開けておくほうが良いでしょう。
ドアが開くか確認する
雪が積もると、車のドアが固まって開かなくなってしまうケースがあります。
事故に遭ったら、ドアが開くかどうかも確認しましょう。
雪道を運転する際の装備
万が一事故が起きてしまった場合には、救助を呼ぶ事、車内で過ごす場合には一酸化炭素中毒にならないようにすることが大切ってことが良くわかったよ。
急な天候悪化により、立ち往生となってしまったことも考えて、万全の装備を車にのせておくと安心だね。
雪国で運転する場合には、雪害に備えて車に装備を搭載しておくべきです。
以下のようなものを揃えましょう。
- タイヤチェーン
- ジャッキ
- 牽引用ロープ
- 工具
- ブースターケーブル
- スノーヘルパー
- 防寒具
- 雨具・長靴
- 作業衣類
- 手袋、軍手
- タオル
- 着替え
- 毛布
- 使い捨てカイロ
- スペアタイヤ(冬道用タイヤ)
- 滑り止め用砂
- 除雪用ブラシ
- 停止表示板、発煙筒
- スコップ
- 非常用の水や食料
- 旗(目立つ色の布)
- 懐中電灯(電池)
- ラジオ
雪道を運転する方や大雪の中で事故に巻き込まれた方は、ぜひ参考にしてみてください。
福谷陽子
京都大学在学中に司法試験に合格し、弁護士として約10年間活動。うち7年間は独立開業して事務所の運営を行う。
実務においては交通事故案件を多数担当し、示談交渉のみならず訴訟案件も含め、多くの事件に関与し解決。
現在はライターとして、法律関係の記事を執筆している。
■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故に遭うと、今までのように仕事を続けられなくなったり相手の保険会社の言い分に納得できなかったりして、被害者の方はさまざまなストレスを抱えておられると思います。
そんなとき、助けになるのは正確な法律知識とサポートしてくれる専門家です。まずは交通事故の賠償金計算方法や示談交渉の流れなどの基本知識を身に付けて、相手と対等に交渉できるようになりましょう。
お一人で悩んでいるとどんどん精神的にも追い詰められてしまいます。専門家に話を聞いてもらうだけで楽になることも多いので、悩んでおられるなら一度弁護士に相談してみると良いと思いますよ。