目次
電動キックボードと自転車の違い
今回の記事では、電動キックボードで事故を起こしてしまった時の対応方法や使える保険について、詳しく見ていこう。
道路交通法上の分類
電動キックボードは、道路交通法上、原動機付自転車に分類されます。
それに対し、自転車は道路交通法上、軽車両に分類されます。
いずれも、車両であることに違いはありませんが、電動キックボードと自転車とを比較すると、自転車の方が交通弱者と評価されます(類型的に自転車の方が過失割合で優遇されます。)。
なお、電動キックボードは、道路交通法上、一般原動機付自転車と特定小型原動機付自転車に分類されます。
特定小型原動機付自転車は、次の要件を全て満たすものとなります。
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最高速度 |
20km/h以下 |
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定格出力 |
0.6kW以下 |
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長さ |
1.9m以下 |
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幅 |
0.6m以下 |
この要件を満たさない原動機付自転車は、全て一般原動機付自転車となります。
特定小型原動機付自転車と一般原動機付自転車の2つを合わせたものが原動機付自転車となります。
運転できる年齢
16歳未満の者は、電動キックボードを運転することができません。
それに対し、自転車の運転に年齢制限はありません。
なお、電動キックボードも自転車も運転するために免許を取得する必要はありません。
自賠責保険の加入
電動キックボードは原動機付自転車ですので、自賠責保険の加入が強制されます。
それに対し、自転車は自賠責保険の加入は強制されていません。
自転車に係る保険(個人賠償責任保険など)加入は任意となっています。
飲酒運転の禁止
電動キックボードも自転車も飲酒運転は禁止されています。
近年普及してきた電動キックボードは、交通事故数も増えてきており、飲酒運転による事故も増えているようです。
電動キックボードと事故を起こした場合の初期対応

近年、普及してきた電動キックボードですが、既に述べたとおり、道路交通法上は原動機付自転車に分類されます。
ですので、初期対応は、従来の原動機付自転車での交通事故と同じです。
警察を呼ぶ
どんなに軽微な事故であっても、警察を呼びましょう。
道路交通法上、車両の運転者等は、警察に対する事故の報告義務を負っています。
警察に事故を報告すると、自動車運転安全センターから交通事故証明書が発行されます。
病院に行く(救急車を呼ぶ)
交通事故で怪我をした人がいる場合には、救急車を呼びましょう。
交通事故で怪我人が発生した場合、運転者等は怪我人を救護する義務を負っています。
仮に、怪我人を救護せずに事故現場を立ち去った場合、救護義務違反(いわゆるひき逃げ)として、刑罰を科せられる可能性があります。
救急車を呼ぶほどの怪我でなかった場合でも、交通事故で怪我を負った場合には、きちんと病院に行っておいた方が良いでしょう。
病院に行かなかった、または、交通事故から相当期間をおいてから通院をした場合、交通事故と怪我との間の因果関係(原因と結果の関係)が認められない可能性があります。
交通事故と怪我との間の因果関係が認められないと、交通事故の相手方から適切な賠償を受けることができません。
連絡先の確認
交通事故の当事者は、交通事故後に損害賠償や保険の関係で連絡を取り合うことがあります。
また、仮に、損害賠償請求訴訟を提起する場合には、交通事故の相手方を当事者として訴訟の提起をしなければなりません。
交通事故証明書に当事者の住所や氏名等が記載されるとしても、交通事故後に連絡先の交換等ができる場合には、連絡先の交換をしておいた方が良いでしょう。
連絡先の交換の際には、免許証や学生証などを携帯などで写真撮影しておくとよいでしょう。
保険の確認
電動キックボードでは自賠責保険は強制加入となっています。
ですので、全ての電動キックボードは自賠責保険に加入しなければなりません。
交通事故の相手方が電動キックボードに乗っていた場合には、自賠責証明書を確認し、写真などを撮っておくとよいでしょう。
自動車損害賠償保障法上、電動キックボードの運転者も、自賠責証明書を携帯しなければ運転してはならないと定められているので、電動キックボードにも自賠責証明書を備え付けなければなりません。
ただ、最近は電子データの自賠責証明書もありますので、運転者の携帯に保存されている自賠責証明書の電子データを確認する必要がある場合もあります。
なお、電子データの自賠責証明書は自賠責証明書を撮影した写真とは異なりますので、注意をしてください。
交通事故後の状況や車両の写真撮影
交通事故が起きた場所や交通事故が起きた後の状況を写真撮影しておくとよいでしょう。
また、交通事故によりどのような損傷を受けたか分かるように双方の車両などの写真を撮影しておくと、後に証拠とできる可能性があります。
レンタル元などを確認しておく
電動キックボードはレンタルサービスが普及していますので、交通事故の相手方が運転していた電動キックボードがレンタルである可能性があります。
その場合は、レンタル元をきちんと確認しておく必要があります。
最近では、アプリなどの情報を確認し、写真撮影することでレンタル元を確認できることが多いと思われます。
レンタルの電動キックボードが壊れた場合、それはレンタル元の損害となり、損害賠償の交渉の相手方が電動キックボードのレンタル元となる可能性があります。
相手方の運転者が逃げた場合

相手方の運転者が交通事故現場から逃げた場合、相手方の運転者の写真を撮影しておいた方が良いでしょう。
電動キックボードにはナンバープレートが付いているので、ナンバープレートを撮影できれば相手方を特定できる可能性が高まります。
仮に、レンタルの電動キックボードであったとしても、レンタルの状況等から相手方の運転者を割り出すことができる可能性があります。
とっさの写真撮影ができなかったとしても、電動キックボードの形状等(レンタルの電動ボードであれば、デザインやロゴ)を覚えておくことで相手方の運転者を割り出せる可能性もあります。
交通事故で怪我人がいるにもかかわらず、相手方の運転者が救護せずに逃げた場合、相手方の運転者は救護義務違反(いわゆるひき逃げ)となりますので、警察が捜査してくれる可能性があります。
また、相手方の運転者が交通事故現場から立ち去ってしまったとしても、必ず警察に交通事故の発生等を報告しましょう。
警察にはきちんと事情を話し、必要に応じて、交通事故を目撃していた人や防犯カメラの有無なども確認しておきましょう。
電動キックボードとの交通事故で使える保険

その他にも、自分が加入している任意保険を利用できる場合もあるから、保険内容を確認してみよう。
電動キックボードは道路交通法上の原動機付自転車なので、原動機付自転車と同様、様々な保険を使用することができます。
電動キックボードは自賠責保険の加入が必須なので、電動キックボードとの交通事故で怪我をした場合、相手方の加入している自賠責保険を利用して治療費等を支払ってもらうことができます。
また、自分で加入している保険も使用することができます。
例えば、自分の加入している人身傷害保険を利用して治療費等を賄うことができます。
車両保険を使用して、自分の車両の修理費等を賄うことができます。
電動キックボードを運転している相手方が自賠責保険に加入していなかった場合やひき逃げで相手方が不明の場合には、国の政府保障事業を活用できます。
政府保障事業の補償内容は基本的に自賠責保険に準じる形となっていますが、健康保険や労災保険などの給付があった場合には、その給付は控除された後に支払いがなされます。
阿部栄一郎
早稲田大学法学部、千葉大学大学院専門法務研究科(法科大学院)卒業。2006年司法試験合格、2007年東京弁護士会登録。
都内の法律事務所勤務、弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所を経て、2026年四季の風総合法律事務所にパートナー弁護士として参画。交通事故、不動産、離婚、相続など幅広い案件を担当するほか、顧問弁護士として企業法務も手がける。ソフトな人当たりと、的確なアドバイスで依頼者からの信頼も厚い。交通事故では、被害者加害者双方の案件の担当経験を持つ。(所属事務所プロフィールページ)
■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故の加害者・被害者には、誰でもなり得るものです。しかしながら、誰もが適切に交通事故の示談交渉をできるわけではありません。一般の人は、主婦が休業損害を貰えることや適切な慰謝料額の算定方法が分からないかもしれません。ましてや、紛争処理センターや訴訟の対応などは経験のない人の方が多いと思います。保険会社との対応が精神的に辛いとおっしゃる方もいます。
不足している知識の補充、加害者側との対応や訴訟等の対応で頼りになるのが弁護士です。相談でもいいですし、ちょっとした疑問の解消のためでもいいです。事務対応や精神的負担の軽減のためでもいいですので、交通事故に遭ったら、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。
