今回の記事では、ながらスマホによる罰則や損害賠償について詳しく見ていこう。
まずは、青切符と赤切符の違いについてチェックしてみよう。
目次
自転車のながらスマホによる罰則や刑事罰

青切符と赤切符の違い
交通違反の際に、青切符や赤切符という言葉を聞いたことがある人もいると思います。
青切符の正式名称は交通反則告知書といい、交通反則通告制度において交付されるものです。
赤切符の正式名称は道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式といい、交通関係の事件について特例的に使用される簡易な形式の捜査書類です。
青切符と赤切符の大きな違いは、刑事事件になるか否かという点です。
青切符の場合、定められた期限内に反則金を納めれば刑事事件とはなりません。
それに対し、赤切符の場合、通常の刑事事件と同じ手続きで刑罰が科される可能性があります。
罰金を科された場合、前科となります。
青切符
令和8年4月から、16歳以上の者を対象として、自転車についても青切符制度が導入されました。
15歳以下の場合、自転車での交通違反があったとしても、青切符の対象とはなりません。
例えば、携帯電話使用等(保持)違反(ながらスマホ)をした場合、反則金として1万2000円を納付するよう求められます。
仮に、青切符が交付された後に、反則金を納付しない場合、赤切符と同様、刑事事件と同じ手続きで刑罰を科される可能性があります。
ながらスマホに対する刑罰
スマートフォンなどを手で保持して自転車に乗りながら運転する行為、画面を注視する行為(いわゆる、ながらスマホ)は、道路交通法上、罰則が規定されています。
交通の危険を生じさせない違反者は6か月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金が科される可能性があります。
それに対し、交通の危険を生じさせた違反者は1年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が科される可能性があります。
ここでいう交通の危険を生じさせたことの典型例は、交通事故を起こしたことです。
ながらスマホが原因で交通の危険を生じさせた場合は、青切符の対象外となり、赤切符の対象となります。
赤切符となりますので、刑事事件と同じ手続きで刑罰が科される可能性があります。
ながらスマホはどんな行為なのか
ながらスマホの禁止行為を定めた道路交通法71条5号の5は次のとおり定めています。
道路交通法71条5号の5
「自動車、原動機付自転車又は自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。
第百十八条第一項第四号において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。同号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第一項第十六号若しくは第十七号又は第四十四条第十一号に規定する装置であるものを除く。第百十八条第一項第四号において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。」
つまりは、携帯電話等を手で持って通話をしたり、携帯電話等の画面を注視することが禁止されていることになります。
携帯電話等の画面を注視することも禁じられていますので、例えば、自転車に固定した携帯電話の画面を注視する行為もながらスマホとして、道路交通法で禁止されています。この点は注意をして下さい。
なお、完全に停止している状態で携帯電話を操作したり、画面を注視する場合は、道路交通法に違反しません。
ながらスマホによる損害賠償

自転車専用の保険に加入している場合には、もちろん利用可能だよ。
近年、自転車と歩行者との交通事故が増えています。
そして、自転車が歩行者に衝突して歩行者に重傷等を負わせるなどの事故では、数千万円~1億円近い賠償額が認められる事案も出てきています。
自転車であるからといって、注意を怠って運転すると、事故を起こして高額な損害賠償をしなければならなくなるかもしれません。
なお、自転車の場合、一般的な自動車保険の適用はなく、個人賠償責任保険など自転車での事故をカバーする保険でなければ保険金が支払われません。
また、ながらスマホをして事故を起こした場合には、過失割合にも影響を与えます。
多くの場合、ながらスマホは、著しい過失として10%程度、違反者に不利に過失割合が修正されると考えられます。
自動車の免許への影響
青切符と赤切符は、前者が比較的軽微な交通違反、後者が悪質な交通違反で交付されますが、いずれも交通違反であることには変わりはありません。
行政処分として違反点数が加算されます。
ゴールド免許を保有している人が青切符や赤切符を交付された場合、次回の免許更新ではゴールド免許を失います。
また、赤切符は悪質な交通違反で適用がありますので、当該行為によって、免許停止や免許取消といった行政処分が科されることもあり得ます。
子供の乗った自転車が事故を起こした場合

自転車の青切符は、16歳以上の交通違反者が対象となりますので、中学生などの16歳未満の者の交通違反は対象となりません。
では、子供の運転する自転車による事故で他人を怪我させた場合、損害賠償義務はどのようになるのでしょうか。
一般的には、12歳前後を機に不法行為(自転車による事故も不法行為です。)における責任能力を備えます。
つまり、12歳以上の子供が自転車で交通事故を起こした場合、その子供自身が損害賠償責任を負うということになります。
当然に、親が損害賠償責任を負うわけではありません。
ただし、子供が起こした自転車の事故について、親が監督責任を果たしていないといった事情がある場合は、親が損害賠償責任を負うということもあります。
阿部栄一郎
早稲田大学法学部、千葉大学大学院専門法務研究科(法科大学院)卒業。2006年司法試験合格、2007年東京弁護士会登録。
都内の法律事務所勤務、弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所を経て、2026年四季の風総合法律事務所にパートナー弁護士として参画。交通事故、不動産、離婚、相続など幅広い案件を担当するほか、顧問弁護士として企業法務も手がける。ソフトな人当たりと、的確なアドバイスで依頼者からの信頼も厚い。交通事故では、被害者加害者双方の案件の担当経験を持つ。(所属事務所プロフィールページ)
■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故の加害者・被害者には、誰でもなり得るものです。しかしながら、誰もが適切に交通事故の示談交渉をできるわけではありません。一般の人は、主婦が休業損害を貰えることや適切な慰謝料額の算定方法が分からないかもしれません。ましてや、紛争処理センターや訴訟の対応などは経験のない人の方が多いと思います。保険会社との対応が精神的に辛いとおっしゃる方もいます。
不足している知識の補充、加害者側との対応や訴訟等の対応で頼りになるのが弁護士です。相談でもいいですし、ちょっとした疑問の解消のためでもいいです。事務対応や精神的負担の軽減のためでもいいですので、交通事故に遭ったら、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。
