交通事故の示談は弁護士に依頼する方が良いって聞いたんだ。
だけど、弁護士に依頼するのってお金がかかるんでしょ?
そうだね。弁護士に依頼すると弁護士費用が発生する事になるね。
だけど、場合によっては弁護士費用をかけずに弁護士に依頼することができる場合もあるんだよ。
弁護士費用がかからない事もあるの?!
それってどんな方法なの?!
よし!では早速弁護士費用をかけずに弁護士に依頼する方法や、安く抑えるためのコツについて、チェックしていこう!
あなたは交通事故で弁護士に示談交渉を任せると、高額な弁護士費用がかかるイメージを持っているかも知れません。
しかし「具体的にいくらかかるの?」と聞かれると、わからないのではないでしょうか?
実は交通事故の弁護士費用は、あなたが思っている以上に安く抑えることが可能です。
今回は、交通事故で示談交渉を弁護士に依頼するときの相場の費用と安く抑える方法を解説します。
目次
交通事故の示談交渉を弁護士に頼むとかかる費用と相場
弁護士に依頼すると、どの位の費用がかかるのかな?
着手金と成功報酬が一番大きな金額になるね。
その他にも、相談料や実費、日当などもかかることがあるんだよ。
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼すると、以下のような費用が発生します。
- 法律相談料
弁護士に交通事故トラブルについて相談をしてアドバイスをもらうための費用です。 - 着手金
着手金とは、弁護士に示談交渉を依頼したとき、最初に支払う費用です。
途中解約しても基本的に返金はありません。 - 報酬金
弁護士に示談交渉を依頼して、相手から示談金を支払ってもらえたときに発生する費用です。
弁護士に依頼していくら増額されたかにより、金額が変わってきます。 - 実費
交通費や通信費など、示談交渉をするために必要な経費です。 - 日当
弁護士が遠くの現場に検証に行ったりした場合に発生する、出張手当です。
以下で、それぞれの費用の相場をご紹介します。
法律相談料
法律相談料の相場は、だいたい30分5000円となっていますが、最近では交通事故の無料相談を実施している事務所が増えています。
着手金
着手金は、10~20万円程度が相場ですが、着手金無料となっている事務所もあります。
報酬金
報酬金については、以下のような2通りの決め方があります。
- 弁護士が介入したことによって増額された金額の16~20%(パーセンテージのみによって計算)
- 固定で10万円+弁護士が介入したことによって増額された金額の10~15%(固定+パーセンテージで計算)
実費
実費は実際にかかった金額なので、ケースによってさまざまです。
示談交渉の場合には、医療情報の照会などをしない限り、高額にはなることは少なくなっています。
日当
日当は出張をしないと発生しないので、かからないケースも多くなっています。
遠くに現場検証などに行くと、1日5万円くらいの日当が必要となります。
弁護士費用の計算方法と具体例
弁護士費用ってどうやって計算するの?
交通事故の示談金や弁護士事務所の金額設定によって計算方法は変わってくるんだ。
今回は弁護士に依頼することで、500万円増額になったケースの計算方法と、100万円増額したケースの計算方法をチェックしてみよう。
弁護士費用の計算方法
弁護士費用を計算するときには、上記の法律相談料、着手金、報酬金、実費、日当のすべてを「合計」します。
そこで、「組み合わせ」が重要です。
1つの項目が安くても、別の項目が高ければ全体的に高額になる可能性があるからです。
また弁護士費用の中でも特に高額になるのが「着手金」と「報酬金」です。
以上を前提に、具体的な計算例をご紹介します。
ケース①むちうちになって弁護士に依頼し、500万円増額された事例
着手金が10万円、報酬金が10万円+10%のA事務所
法律相談料が5000円とします。
着手金は10万円、報酬金は10万円+(500万円×10%)=60万円となります。
日当や実費はかからなかったとしましょう。
この場合、合計75万5000円がかかります。
着手金が0円、報酬金が20%のB事務所
同じく法律相談料が5000円とすると、着手金は0円、報酬金が20%なので100万円となります。
そこで、合計100万5000円がかかります。
ケース②後遺障害が残らず100万円増額された事例
着手金が10万円、報酬金が10万円+10%のA事務所
法律相談料は無料、実費や日当もかからなかったとしましょう。
着手金10万円、報酬金は10万円+(100万円×10%)=20万円、合計で30万円がかかります。
着手金が0円、報酬金が20%のB事務所
同じく法律相談料は無料、実費と日当がかからなかったとします。
すると着手金0円、報酬金が20万円ですので、合計で20万円が必要です。
以上のように、ケース①ではA事務所の方が25万円も安くなるのに、ケース②ではB事務所の方が10万円も安くなります。
弁護士費用は、同じ事務所でもケースによって高くなったり低くなったりするので「自分のケースでもっとも安くなる事務所はどこか」を探すことが大切なのです。
弁護士に依頼して得になるのか?
弁護士費用って結構大きな額になるんだね…
そんなに費用をかけても弁護士に依頼する方が良いの?
弁護士に依頼すると弁護士基準で計算することができるから、示談金が増えるんだ。
人身事故の場合や、治療が長期化する時、後遺症が残ってしまった場合には、弁護士に依頼する方が得になることが多いんだよ。
弁護士に交通事故の示談交渉を依頼すると、数十万円~数百万円以上の弁護士費用が発生するケースも多々あります。
そうなると、「果たして弁護士に依頼して得になるのか?」と不安に思うのも当然です。
実際に弁護士に示談交渉を依頼して得になるのか、足が出る危険性がないのか解説します。
弁護士に依頼して得になるケース
交通事故の示談交渉は、弁護士に依頼して得になるケースと損になるケースがあります。
得になるのは、以下のような場合です。
人身事故
人身事故では弁護士に依頼すると得になりやすいです。
人身事故の示談交渉を弁護士に依頼すると「弁護士基準」が適用されることによって慰謝料や休業損害などが大きく増額される可能性が高いからです。
数百万円以上示談金がアップする方もおられます。
治療期間が半年以上
人身事故でも、治療期間が半年以上になると慰謝料が高額になり、弁護士に依頼した場合の増額幅が大きくなります。
そこから弁護士費用を払っても利益が出ます。
後遺障害が残った
後遺障害が残ったら、高額な後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できます。
これらは弁護士に依頼することによって大きく増額されます。
後遺障害慰謝料は3倍程度になるケースも珍しくありません。
後遺障害が残った場合にも、弁護士に依頼することで得になります。
弁護士費用特約を利用できる
弁護士費用特約を利用すると、示談交渉の着手金や報酬金などの弁護士費用を保険会社が払ってくれます。
限度額は法律相談料につき10万円、その他について300万円となっていて非常に高額です。
弁護士費用特約を利用できるなら、弁護士に示談交渉を依頼して足が出る心配は不要となり、ほぼ確実に得になります。
弁護士に依頼して損になるケース
逆に弁護士に相談すると損してしまう事もあるの?
そうなんだ。軽傷の場合や、物損事故の場合には、弁護士に依頼すると、示談金が増額しても弁護士費用を補う事ができない場合があるから注意が必要だよ。
以下のようなケースでは、弁護士に依頼すると損になる可能性があります。
通常の物損事故
物損事故では、相手に請求できる損害賠償金は数万円~2,30万円程度までの修理費用であることが多くなっています。
また弁護士に依頼しても大幅な増額が期待できないケースもよくあります。
そのような場合に弁護士に依頼すると着手金を支払うだけで赤字になってしまうでしょう。
治療期間が半年未満
人身事故でも治療期間が半年未満の小さな事故の場合、弁護士に依頼してもさほど大きく示談金が増額しない例があります。
そういったケースでは弁護士に依頼すると、弁護士費用の分足が出る可能性があります。
後遺障害が残らない
人身事故で後遺障害が残らなかった場合、比較的賠償金が安くなるので、弁護士に依頼しても弁護士費用の方が高額になる可能性があります。
ただし後遺障害が残らなくても治療期間が長くなった場合や過失割合に争いがある場合、相手から支払いを否認されている場合などには弁護士に依頼するメリットが大きくなります。
こんなときには必ず弁護士に相談・依頼しよう
人身事故である程度以上の治療日数がかかったり後遺障害が残ったりすると、相手に慰謝料を請求できます。
交通事故の慰謝料の計算方法は、弁護士と保険会社とで異なります。
保険会社は「任意保険基準」という低額な基準で計算しますが、弁護士は「弁護士基準」という高額な基準で計算します。
弁護士基準は保険会社基準の1.5~3倍程度になることも多いので、示談交渉を弁護士に依頼するとそれだけで一気に示談金が上がります。
また交通事故で後遺障害が残ったら、高額な後遺障害慰謝料や逸失利益を払ってもらえるので賠償金が一気にアップします。
しかし自分で後遺障害認定の請求をすると、却下される可能性も高まります。
却下されたら慰謝料も逸失利益も0円です。
弁護士に後遺障害認定を依頼したら適切な等級認定を受けられる可能性が高まり、数百万円、数千万円の示談金を手にすることができるケースも多々あります。
人身事故に遭ったときには、軽傷でない限り弁護士に相談して、どのくらい示談金が上がりそうかを尋ねてみると良いでしょう。
弁護士費用を相手に請求することは困難
弁護士費用を、加害者側に負担してもらうことってできないの?
現実的には非常に難しいね…
弁護士費用を加害者に支払ってもらうためには、裁判を起こさなければいけないんだよ。
できるだけ弁護士費用を安く抑えたいと考えたとき、多くの方が「弁護士費用を相手に請求できないのか?」と考えます。
しかし弁護士費用を相手に請求するのは、基本的に困難です。
加害者に弁護士費用を負担させられるのは「裁判を起こして判決で支払命令を出してもらった場合」のみです。
損害賠償請求訴訟で相手に支払命令が出るときには「損害額の10%」を弁護士費用として認めてもらえます。
示談交渉では相手に弁護士費用を払ってもらうことはできません。
自分で負担することを前提に検討する必要があります。
弁護士費用を安く抑える方法
少しでも弁護士費用を安く抑えるにはどうしたら良いのかな?
着手金無料、相談料無料の弁護士事務所に相談してみよう。
いくつかの弁護士事務所に見積もりを出してもらって比較するのがお勧めだよ。
自分が加入している自動車保険のオプションに、弁護士特約がついていれば、無料で弁護士に依頼することができるから、まずは保険契約を見直してみよう。
交通事故の示談交渉にかかる弁護士費用を安く抑えるにはどのようにしたら良いのでしょうか?
以下のような方法を試してみましょう。
相談料無料の弁護士を利用する
まず法律相談料を節約しましょう。
無料相談を実施している事務所や法テラスの無料相談を利用すれば、法律相談料を払わずに済みます。
このことで、1万円程度(1時間分)を節約できます。
なお法テラスとは、国が行っている法律援助事業であり、経済的に余裕のない人に向けての法律支援をしています。
収入が少ない人は全国各地にある法テラス事務所で弁護士の無料相談を受けられます。
弁護士事務所の料金を比較して安い事務所を選ぶ
弁護士の費用の中でも特に高額になりやすい「着手金」と「報酬金」を安くするには、いくつかの事務所の料金を比較して、安いところを選ぶ方法が効果的です。
たとえば先に挙げた例では、ケース①の被害者はA事務所の方が安くなっていますが、ケース②の被害者はB事務所の方が安くなります。
このようなことは、具体的に各弁護士事務所から見積もりをもらい、比較しない限りわかりません。
多少面倒でも、いくつかの事務所を訪ねて見積もり内容を比較検討する方が弁護士費用を安く抑えることが可能です。
弁護士費用特約を利用する
弁護士費用を安く抑えるために非常に有効な方法が「弁護士費用特約の利用」です。
弁護士費用特約は自動車保険の特約の1種であり、保険会社が交通事故の示談交渉や訴訟などにかかる弁護士費用を負担してくれるものです。
弁護士費用特約を利用できれば、多くのケースで依頼者の負担額が0円になります。
ただ、せっかく加入しているのに弁護士費用特約を利用しない被害者の方が多数おられます。
自分が保険契約者となっていない家族の保険の弁護士費用特約を利用できるケースなどもあり、見落としが発生してしまうのです。
特に別居の親の弁護士費用特約を利用できる場合や、自転車事故、歩行中に事故に遭った場合などに特約を利用できると思わず、保険会社に連絡を入れない方がおられます。
火災保険に弁護士費用特約がついている例もあります。
交通事故に遭ったら、自分が加入している自動車保険はもちろんのこと、家族や同乗者の保険、火災保険や傷害保険などの損害保険会社にも「弁護士費用特約を利用できないか」確認しましょう。
まとめ
弁護士費用ってどこの弁護士事務所でも同じではないんだね!
まずは自動車保険のオプションをチェックして、弁護士特約に入っていなければ、弁護士事務所の費用を比較することで費用を安く抑えることができるんだね!
弁護士費用を安く抑えるコツがバッチリ理解できたみたいだね!
重症の場合や、後遺症が残ってしまった場合には、出来るだけ早く弁護士事務所へ相談するのがお勧めだよ。
交通事故の示談交渉にかかる弁護士費用は安くはありませんが、工夫次第で想像以上に安く抑えることが可能です。
悩んだときには「弁護士費用特約」が適用されないか確認して、ダメなら無料相談を利用したり各事務所の料金を比較したりしてみましょう。
弁護士費用特約についてよくわからないときには、交通事故に積極的に取り組んでいる弁護士に聞くと教えてもらえるケースもあるので、遠慮なく無料相談を利用されることをお勧めします。
福谷陽子
京都大学在学中に司法試験に合格し、弁護士として約10年間活動。うち7年間は独立開業して事務所の運営を行う。
実務においては交通事故案件を多数担当し、示談交渉のみならず訴訟案件も含め、多くの事件に関与し解決。
現在はライターとして、法律関係の記事を執筆している。
■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故に遭うと、今までのように仕事を続けられなくなったり相手の保険会社の言い分に納得できなかったりして、被害者の方はさまざまなストレスを抱えておられると思います。
そんなとき、助けになるのは正確な法律知識とサポートしてくれる専門家です。まずは交通事故の賠償金計算方法や示談交渉の流れなどの基本知識を身に付けて、相手と対等に交渉できるようになりましょう。
お一人で悩んでいるとどんどん精神的にも追い詰められてしまいます。専門家に話を聞いてもらうだけで楽になることも多いので、悩んでおられるなら一度弁護士に相談してみると良いと思いますよ。