解決までの流れ

接触事故で警察を呼ばなかった場合はどうなるの?慰謝料への影響など詳しく解説

投稿日:

ウサギ
接触事故が起きた時って警察を呼ぶ必要はあるの?
シカ
接触事故も交通事故だから必ず警察を呼ぶ必要があるんだよ。
今回の記事では接触事故で警察を呼ばないとどのようなリスクがあるのか、チェックしていこう。

車や自転車を運転していて他の車両と接触してしまった場合、被害の程度が小さければ「警察を呼ばなくてもいいか」と思ってしまいがちです。

加害者からも「警察を呼ばないでほしい」と頼まれるケースが少なくありません。

しかし交通事故が起こったら、必ず警察を呼ぶ必要があります。

警察への報告は、事故を起こした当事者の「法律上の義務」です。

今回は接触事故で警察を呼ばないリスクや後から届け出る方法について、解説します。

接触事故で警察を呼ばないリスク

ウサギ
接触事故で警察を呼ばないとどんなリスクがあるの?
シカ
交通事故は警察に通報する義務があるから、警察を呼ばないと、罰則を受けることがあるんだ。
その他にも、実況見分調書が作成されなかったり、交通事故証明書が発行されないといったリスクがあるよ。

接触事故で警察を呼ばなかったら以下のようなリスクが発生します。

罰則が適用される可能性がある!

交通事故の当事者には、警察に通報すべき義務があります(道路交通法721項後段)。

一般では「加害者に通報義務がある」と思われていますが、道路交通法は加害者か被害者かで区別していません。

被害者であっても「車両の運転者」や「同乗者」には警察への報告義務があるので注意しましょう。

違反すると「3か月以下の懲役または50万円以下の罰金刑」という刑事罰が適用される可能性もあります。

実況見分調書が作成されない

人身事故の場合、警察に報告すると現地で「実況見分」が実施されます。

その結果をまとめた書面が「実況見分調書」で、事故状況が詳しく記載されています。

後日過失割合について争いが発生したとき、実況見分調書が決め手になるケースも少なくありません。

しかし事故の報告をしないと実況見分調書が作成されないので、自分が正しい主張をしていても認められないリスクが高くなってしまいます。

交通事故証明が発行されない

警察に報告しなかったら「交通事故証明書」が発行されません。

交通事故証明書は交通事故が発生した事実を証明するための書類です。

事故証明書がないと事故があったことが明らかにならないので、自動車保険を利用しにくくなってしまいます。

たとえば人身事故の場合、交通事故証明書がないときには保険会社へ「人身事故証明書入手不能理由書」を提出しなければなりません。

その内容をみて保険会社が「事故が発生した」と認めた場合に保険金が支払われます。

事故証明書がないと、保険金を受け取るために手間がかかりますし、確実ではありません。

無駄なリスクを発生させないためにも、接触事故に遭ったらすぐ警察へ110番通報しましょう。

自転車でも警察を呼ぶ必要がある?

ウサギ
自転車で交通事故を起こしてしまった場合には、車じゃないから警察を呼ぶ必要はないよね?
シカ
自転車でも交通事故を起こしてしまったら、必ず警察を呼ぶ必要があるんだよ。
警察を呼ばないと、車の場合と同様、罰則を受けることがあるんだ。

自転車事故でも警察を呼ぶ義務があります。

道路交通法上、自転車は「軽車両」であり「車両の1種」として取り扱われるからです。

四輪車やバイクと同じように、自転車のライダーにも警察への報告義務が課されています。

 自転車に乗っていて接触事故に遭ったら、すぐに警察へ通報しましょう。

歩行者の場合

歩行者は「車両」ではないので、道路交通法によって警察を呼ぶ義務はありません。

その場合でも、実況見分調書や交通事故証明書のことを考えると、警察を呼んでおくべきといえます。

加害者が警察を呼ばないなら、自分から積極的に110番通報しましょう。

物損事故でも警察を呼ぶ必要があるのか

ウサギ
じゃあ物損事故の場合は警察を呼ぶ必要はあるの?
シカ
物損事故でも警察を呼ぶ必要があるよ。
物損事故の場合は、壊してしまった物を修理する必要があるから、保険を利用する場合には、交通事故証明書がある方が手続きがスムーズだね。

軽微な物損事故の場合「警察を呼ばなくても良いのでは?」と考える方がおられます。

これは本当なのでしょうか?

物損事故でも届出を行う義務がある

道路交通法では、警察への報告義務について人身事故と物損事故を区別していません。

物損事故の場合にも警察への報告義務があり、違反すると罰則も適用されます。 

また物損事故の場合、きちんと通報すれば交通事故の罰則はありません。

しかし報告しなかったら「当て逃げ」となって罰則の対象となり、運転免許の点数も加算されてしまいます。

接触事故に遭ったら、どちらもけがをしていなくても必ず警察へ報告しましょう。

壊した物を修理しなければならない

物損事故を起こしたら、壊した物を弁償しなければなりません。

相手の車や自転車、所持品や衣類などが破損したら、修理費用を払う必要があります。

道路や街路樹、施設などの公的な物を壊してしまったら、国や自治体への損害賠償をしなければなりません。

自動車保険の「対物賠償責任保険」に入っていれば、相手や国・自治大変損害賠償金を保険会社が払ってくれますし、示談交渉にも対応してもらえます。

もし保険に入っていなかったら、全額を自己負担しなければならず、示談も自分で進めなければなりません。

こうしたリスクを考えると、自動車を運転するときには、必ず保険に加入しておくべきといえるでしょう。

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事故現場で示談してはいけない

ウサギ
加害者は何でその場で示談を進めたがるのかな?
シカ
免許の加点や、保険料のアップを嫌がる人もいるし、刑事罰を恐れている人もいるんだ。
その他にも、免停や免取になってしまう事で、職を失ってしまう事を恐れている場合もあるし、ただ単純に急いでいるという場合もあるよ。
その場で示談を進めてしまうと、後から怪我している事に気が付いても、賠償請求ができなくなってしまうから注意しよう。

接触事故に遭うと、相手方から「警察を呼ばずにこの場で示談しましょう」と言われるケースが少なくありません。

なぜそのようなことを言われるのか、もしそういった提案をされたらどうすればよいのか、みてみましょう。

相手がその場で示談を進めたい理由

交通事故の相手が「警察に届けずに示談したい」と提案するのは、以下のような理由です。

免許の加点を恐れている

交通事故を起こすと、免許の点数が加算されます。

一定の点数に達すると免許停止されたり免許取消になったりして、運転ができなくなってしまいます。

免許取消となれば再取得しなければならないので大変ですし、欠格期間が発生したらその期間中は再取得すらできません。

相手の免許の点数がぎりぎりになっている場合、これ以上の加点を恐れて「警察に言わないでほしい」と提案される可能性があります。

保険の等級が下がってしまう

交通事故を起こして対人賠償責任保険や対物賠償責任保険を適用すると、保険等級が3段階上がります。

すると次年度から3年間、自動車保険の金額が上がってしまい負担になるでしょう。

そこで事故をうやむやにして保険を使わないで済まそうと考えて、「事故を警察に届けないでほしい」と提案する加害者が存在します。

刑事罰を恐れている

人身事故を起こしたら、加害者は「刑事事件」にされる可能性が高くなります。

過失によって人身事故を起こすと「過失運転致死傷罪」が成立するからです。

立件されたら検察官から取り調べを受けなければなりません。

起訴されたら罰金刑や懲役刑が適用されて、最悪の場合には刑務所に行かねばならないのです。

罰金刑で済んでも一生消えない「前科」がついてしまいます。

そういった知識のある人は、刑事罰をおそれて「警察に言わないでほしい」と頼んでくるケースが少なくありません。

職を失うのを恐れている

相手がタクシーや宅配、トラックなどの職業ドライバーの場合、事故が発覚すると会社でペナルティが適用されます。

無事故手当がなくなって給料が下がるのはもちろんのこと、事故を繰り返していたら懲戒されるおそれもあるでしょう。

免許の点数がいっぱいになって取消になったら、仕事を失ってしまう可能性もあります。

職業ドライバーにとって警察を呼ぶかどうかは「生活がかかっている死活問題」なので、必死になって「頼むから警察を呼ばないでほしい」と言ってくるケースが多々あります。

急いでいる

警察を呼んで実況見分など行っていると、2~3時間くらいかかることも少なくありません。

急いでいる人は、面倒なので「警察を呼ばないでこの場で示談しましょう」と提案するでしょう。

以上のように、事故の加害者が警察を呼びたがらない理由はすべて加害者側の都合によるものです。

被害者が応じる必要は一切ありません。

被害者にとって、警察を呼ばないとデメリットしかないので、相手から頼まれてもかまわず警察に通報しましょう。

その場で示談するリスク

もしも加害者から「警察を呼びたくない」といわれてその場での示談に応じてしまったら、どういった不利益が及ぶのでしょうか?

後から症状が出ても賠償金を受け取れない

接触事故に遭ったとき、その場では「無傷、軽傷」と思っても実はけがをしているケースが少なからず存在します。

たとえば交通事故で非常に多い「むちうち」は、事故の翌日に痛みが出てくることの多い症状といわれます。

その場では物損事故だと思って適当に示談金を受け取って終わらせてしまったら、後日にしつこい痛みやしびれが発生したときの治療費や慰謝料を受け取れません。

相手の連絡先が分からない

交通事故時、きちんと警察へ報告すれば、相手の氏名、住所、電話番号や加入している保険会社名、自動車の登録番号などがすべて明らかになります。

その場でメモしなくても「交通事故証明書」に明記されるので、簡単に確認できます。

しかしその場で警察を呼ばず示談した場合、相手の連絡先を確認しないケースも多いでしょう。

適当にお金を払ってもらって終わらせてしまったら、後日痛みなどの症状が出たときに連絡手段すらなく、完全に泣き寝入りを強いられてしまいます。

後から保険会社に報告するとスムーズに保険金が出ない

人身事故に遭った場合には、自分の保険の「人身傷害補償保険」や「搭乗者傷害保険」を適用して保険金を受け取れる可能性があります。

ただ、これらの保険を受け取るには「事故の証明」が必要です。

事故当時にきちんと警察に報告しないと事故証明書が発行されないので、スムーズに保険金を受け取れません。

「人身事故証明書入手不能理由書」を提出し、保険会社が了承するまで保険が適用されないので、無駄なリスクを背負うことになってしまいます。

以上のように、被害者が接触事故で警察に報告しなかったら不利益しかないので、必ず通報しましょう。

後から事故の届出ができる?

ウサギ
接触事故の後、警察に届け出なかったんだけれど、後から交通事故が起きた事を警察に届け出る事ってできるの?
シカ
罰則を受ける可能性もあるけれど、ほとんどの場合、後から交通事故の届出が可能だよ。

もしも交通事故現場で加害者から説得されて警察へ届け出なかった場合、後日でも受け付けてもらえるのでしょうか?

後日の交通事故の届出も可能

警察への報告は、本来事故現場でしなければなりません。

ただ大けがをして病院へ緊急搬送された場合など、どうしても報告できないケースもあるでしょう。

そのような場合、後日の届出も可能です。

事故現場で相手から説得されて届出を怠ってしまった場合にも、後日届出を受け付けてもらえる可能性はあります。

特に人身事故であれば、受理してもらいやすいでしょう。

受け付けてもらえない可能性がある

後日の届出の場合、警察に受け付けてもらえない可能性もあります。

特に物損事故の場合には「詳細がわからない以上、受け付けられない」といわれたり、「報告しなかったら罰則が適用される可能性もありますよ、いいんですか?」などとクギをさされたりして結局受け付けられない可能性も高くなります。

こういったリスクを考えると、やはり事故に遭ったら「その場で報告する」ことが重要です。

罰則が適用される可能性

交通事故の報告は事故を起こした当事者の義務です。

すぐに届けなかった場合、後日届け出たとしても罰則が適用される可能性があります。

まとめ

ウサギ
接触事故を起こしてしまったら、加害者でも被害者でも必ず警察に通報する必要があるんだね。
当事者だけで解決してはいけないという事が良くわかったよ。
シカ
警察を呼ばないのはリスクしかないから、交通事故を起こしてしまったら、どんな事故でも必ず警察を呼ぶようにしよう。

接触事故に遭ったら、加害者の立場でも被害者の立場でも「すぐに警察を呼びましょう」。

相手から「警察を呼ばずにこの場で示談したい」といわれても、決して応じてはなりません。

交通事故後の対応でトラブルになってしまったときには、弁護士に相談すればあなたの状況に応じてアドバイスしてもらえるでしょう。

相手の保険会社や相手方本人、保険会社や警察への対応を任せることもできて安心です。

自分1人でできることは限られています。

困ったときには一度交通事故に積極的に取り組んでいる弁護士に相談してみてください。

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福谷陽子

福谷陽子

元弁護士・ライター。
京都大学在学中に司法試験に合格し、弁護士として約10年間活動。うち7年間は独立開業して事務所の運営を行う。
実務においては交通事故案件を多数担当し、示談交渉のみならず訴訟案件も含め、多くの事件に関与し解決。
現在はライターとして、法律関係の記事を執筆している。

■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故に遭うと、今までのように仕事を続けられなくなったり相手の保険会社の言い分に納得できなかったりして、被害者の方はさまざまなストレスを抱えておられると思います。
そんなとき、助けになるのは正確な法律知識とサポートしてくれる専門家です。まずは交通事故の賠償金計算方法や示談交渉の流れなどの基本知識を身に付けて、相手と対等に交渉できるようになりましょう。
お一人で悩んでいるとどんどん精神的にも追い詰められてしまいます。専門家に話を聞いてもらうだけで楽になることも多いので、悩んでおられるなら一度弁護士に相談してみると良いと思いますよ。

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