慰謝料

慰謝料(賠償金)の踏み倒しをされた!どうしたらいいの?専門家が解説

投稿日:2020年8月26日 更新日:

シカ
交通事故に遭ってしまったんだけれど、加害者が賠償金を支払ってくれないんだ。
どう対処したら良いのかな?
ミミズク
交通事故の加害者が任意保険に入っていない場合、賠償金を支払ってもらえない可能性があるね。
直接交渉をしてもうまくいかない場合には、調停をしたり、訴訟を起こしたり、ADRを利用するという方法があるよ。
まずは、直接交渉を進める場合の注意点について、チェックしていこう。

交通事故の加害者が賠償金を支払ってくれない場合には

直接交渉をする

交通事故の示談交渉も、契約における合意と実質は変わりません。

契約の場合には、契約の当事者間における諸条件を定めていきますが、交通事故の示談交渉も、交通事故によって被った損害等について交渉し、加害者等が被害者に対して、どのような形で賠償をするのかということを合意します。

賠償金を支払ってくれない相手方に対して、まず思い浮かぶ方法は直接交渉でしょう。

では、示談交渉において合意する際に、どのような点に注意をすれば良いのでしょうか。

ア.当事者

交通事故の示談交渉の当事者は、実際の交通事故の加害者と被害者に決まっていると思いがちですが、加害者以外にも、法律上、賠償義務を負う人はいます。

会社の業務中に交通事故を起こした際の会社が使用者責任(民法715条)を負う場合、交通事故を起こした車両の所有者等が運行供用者責任(自賠法3条)を負う場合などが代表例です。

加害者本人に資力がなかったとしても、会社や運行供用者に資力がある場合、適切な賠償をしてもらえる可能性が高まります。

また、加害者が未成年者であった場合、未成年者の親権者や未成年後見人との間で示談をせずに未成年者と合意をした場合、後々、取り消される可能性もあります。

示談交渉の当事者は意外と重要な事項ですので、ご注意ください。

イ.いつ示談をするのか

刑事ドラマのイメージがあるのか、交通事故が発生して、被害者が治療中であるにもかかわらず、示談交渉を始めてしまう人がいます。

しかし、治療中の時期に示談交渉を始めて合意することは、加害者等、被害者のいずれにとっても良いこととは言えません。

加害者等からすれば、適切な賠償額よりも高額な賠償をする可能性がありますし、被害者からすれば、適切な賠償額よりも少額な賠償となる可能性があります。

交通事故における被害者の損害は、症状が固定した段階でなければ確定しないので、示談交渉は、被害者の症状が固定した後にするのが適切です。

実務上は、症状が固定し、後遺障害の等級認定続を経て後遺障害の等級が確定した後に損害が確定し、その後に交渉に入ります。

なお、症状固定とは、現代の医療水準ではこれ以上の劇的な回復が望めず、一進一退の状態を繰り返している状態のことをいいます。

ウ.どのようなことを決めるのか

示談交渉といっても、どのようなことを決めるのでしょうか。

示談交渉の最終目標は、加害者等が被害者に対して、どの程度の賠償をするのかを決めることです。

その前提として、①損害、②過失割合を決めなければなりません。

交通事故によって被った損害は、公刊されている本等で一定程度確認することができると思います。

代表的な損害項目を挙げると、治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料、逸失利益、後遺障害慰謝料といったものでしょう。

それぞれの項目について、どの程度の損害を被ったのかというのを証拠によって確定していきます。

なお、損害を検討する際には、被害者だけでなく加害者の損害も検討しておくことが重要です。

過失割合も交通事故においては重要な要素です。

交通事故でどんなに大きな損害を被ったとしても、損害を被った人の全面的な過失によって交通事故が発生した場合、当該損害は賠償してもらえません。

例えば、停車している車両に追突をするという交通事故が起きた場合、追突をした人の全面的な過失で交通事故が発生した(100%の過失)と評価されます。

ですので、追突した人は、損害を被ったとしても、一切、賠償をしてもらうことはできません。

また、過失割合がA30%:B70%だった場合、Aは、BからAの損害の70%を賠償してもらえるのに対し、Bは、AからBの損害の30%しか賠償してもらえません。

ちなみに、この例からも分かるとおり、一般的に加害者と呼ばれる人も被害者が無過失でなければ一部の損害を賠償してもらうことができます。

こういった意味で、損害を検討する際には、被害者だけではなく加害者の損害も検討しておくことが重要です。

エ.支払方法

加害者等が被害者に対して賠償する金額が決まった場合、どのように支払うのかというのも問題となります。

なお、実務では、加害者等は任意保険会社と保険契約をしていることが多いので、任意保険会社から保険金が支払われる前提で、一括払いの合意をすることが多いです。

しかしながら、加害者等が自賠責保険しか契約していなかったり、自賠責保険すら契約していない場合、あるいは、任意保険の適用のない交通事故・運転者といった場合などは、加害者等との間で支払方法の合意をしておく必要があるかもしれません。

加害者等から分割で賠償してもらう場合、どのような分割払いの方法とするのか、加害者等が分割払いを怠った際に一括払いとするのか(期限の利益の喪失といいます。)、遅延損害金はどうするのかといったことを決めておく必要があります。

オ.自身で交渉をするのは難しい

今まで、交通事故の示談交渉の概要をお話してきましたが、上記アの当事者をどうすれば良いのかというのは、一定程度、法律の知識が必要です。

上記イのいつ示談するのかということに関しては、症状固定をどうするのか、後遺障害の等級認定手続はどういったものかといった知識が必要となります。

上記ウの損害と過失割合についても、交通事故に関する法律の知識等が必要となります。

上記エの支払方法についても、期限の利益の喪失のための条項や遅延損害金といった法律の知識や合意の仕方の知識が必要となります。

こういった点を考えると、被害者自身が交渉をするというのは非常に難しいといえます。

調停をする

シカ
調停を利用すると、どんなメリットがあるの?
ミミズク
調停員が間に入ってくれるから、示談交渉をスムーズに進めることができるんだ。
だけど、支払いに対しての強制力がないから、加害者に支払うつもりがなければ、調停を起こしても無駄になってしまうんだよ。

交通事故の実務上、調停を申し立てるということは多くはありません。

ただし、加害者等が被害者を相手として、一定額以上の賠償義務はないといった形で調停を申し立てるということはあります(債務額確定調停、債務不存在確認調停などと呼ばれています。)

調停が裁判所に係属すると、申立人(調停を申し立てた人)、相手方(調停を申し立てられた人)の間に調停委員が入り、交通事故の賠償に関する調整をしてくれます。

被害者も、間に調停委員が入って賠償額の調整をしてくれるということで安心感を覚えるかもしれません。

しかしながら、損害に関する資料や過失割合に関する主張は、自身で準備をしなければなりませんし、調停委員はあくまで調整をする立場であって、加害者等に賠償を強制することはできません。

調停では、調停委員が間に入って柔軟な解決が可能となる一方、強制力がないため、一方が合意を拒否した場合に調停が成立しないというデメリットがあります。

ADRを利用する

シカ
ADRは調停とは違うの?
ミミズク
ADRの場合には、弁護士が間に入るから、適正な判断をしてくれることが多いんだ。
加害者が任意保険に加入している場合には、ADRを利用することで、保険会社へ支払いを強制することができるんだけれど、保険未加入の場合には、調停同様、加害者に支払いを強制する事は出来ないんだよ。

交通事故の示談交渉に関しては、ADRが用意されています。

代表的なものが、交通事故紛争処理センターや日弁連の交通事故相談センターでしょう。

特に、交通事故紛争処理センターは交通事故紛争処理センターが審査会において審査したうえで出した判断について、保険会社等は従わなければならないということになっています。

また、交通事故紛争処理センターでは、同センターから嘱託を受けた弁護士が当事者の間に入って調整を行います。

上記のとおり、交通事故紛争処理センターにおける解決は、調整能力のある嘱託弁護士が間に入って調整を行っており、また、保険会社等は審査会の審査を経た判断に従わなければならないため、解決の実効性があります。

実務的にも交通事故紛争処理センターに申し立てる件は多いです。

ただし、交通事故紛争処理センターは、過失割合に強い争いがある場合や医学的な争点がある場合には、解決できない場合があります。

しかしながら、交通事故紛争処理センターも万能ではありません。

加害者等が任意保険に加入していなかったり、任意保険に加入しているか否かが分からない場合には利用することができません。

また、加害者等が共済と共済契約している場合、共済によっては交通事故紛争処理センターを利用できないことがあります。

賠償金を支払ってくれないような加害者等は、任意保険に入っていないことも多く、結局のところ、交通事故紛争処理センターを利用できる可能性は低いかもしれません。

訴訟を提起する

シカ
じゃあ、加害者に確実に賠償金を支払ってもらうためにはどうしたら良いの?
ミミズク
訴訟を起こして判決が出れば、財産などの差し押さえが可能になるよ。

交通事故の賠償を請求するための手段として最も実効性があるのは、訴訟を提起することでしょう。

訴訟では、原告(訴訟提起をした人)と被告(訴訟提起をされた人。多くの場合、加害者等)との間で、主張立証を繰り返し、尋問を経て、判決が出ます。

なお、必要に応じて和解での解決を目指して調整がなされ、多くの場合、和解によって解決します。

判決が確定すると、被告は、原告に対して判決で決められた賠償額を支払う義務が生じます。

仮に、被告が原告に対して、判決で決められた賠償額を支払わなかった場合、原告は、被告の財産(預金、有価証券、給与、その他の財産)に強制執行(裁判所を経て、強制的に金銭を回収することです。)をすることができます。

しかしながら、原告が被告の財産を把握していなかったり、被告に財産がない場合には、強制執行によって賠償金を回収することはできません。

加害者に支払能力がない場合には

シカ
訴訟を起こして強制的に賠償金を回収することができる場合でも、相手に財産がない場合にはどうなるの?
ミミズク
自賠責保険により最低限の補償を受ける、もしくは人身傷害保険を利用して損害をカバーするという方法があるけれど、ほとんどの場合、全損害をカバーする事はできないね。

お金も財産もない場合には泣き寝入り

加害者を特定できたものの、加害者等に賠償金を支払う能力がない場合、どうすれば良いでしょうか。

結局のところ、ない袖は振れないということで、被害者は、泣き寝入りをするということになってしまいます。

なお、このような状況においても保険金をもらうことができる保険商品として、人身傷害保険があります。

ただし、人身傷害保険は、契約の際に決めた一定の保険金が支払われることとなっており、被害者の全損害をカバーするものではありません。

自賠責保険に加入している場合

加害者等が自賠責保険に加入しているが、被害者の損害全額を支払う能力がない場合、被害者としては、自賠責保険から保険金を受け取るしか手立てがありません。

自賠責保険は、傷害分については120万円しか保障されず、多くの場合、全ての損害をカバーすることができません。

なお、人身傷害保険は、このような状況においても、保険金をもらうことができます。

ただし、被害者の損害のうち、自賠責保険でカバーされた分については、人身傷害保険で重ねて保険金が出ることはありません。

加害者等が破産・債務整理をした場合

シカ
加害者が自己破産をした場合、賠償金の支払いはどうなるの?
ミミズク
交通事故の場合、賠償金も免責されるから、賠償金を支払う必要がなくなってしまうんだ。

交通事故における賠償金は、多くの場合、破産によって免責(支払義務を免れることです。)されます。

破産法上、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権は、非免責債権(免責とならない債権)であると定められていますが、交通事故は過失によって引き起こされるため、悪意で加えた不法行為とは評価されないことがほとんどです。

慰謝料(賠償金)が支払われない場合には弁護士に相談

シカ
賠償金を支払ってもらう事ができない場合には、どうすれば良いのかな?
ミミズク
弁護士に相談して加害者との交渉や訴訟の準備、財産調査などを依頼するのがおすすめだよ。

加害者等との交渉を任せることができる

弁護士は、被害者の代理人として、加害者等と交渉をすることができます。

これによって、交通事故にまつわる交渉による精神的なストレスを軽減することが可能となります。

また、交通事故に詳しい弁護士に委任すれば、損害や過失割合に関して被害者にとって適切な意見を述べ、適切な賠償金を得られる可能性が高まります。

訴訟を提起することができる

多くの場合、被害者自身が訴訟を提起したり、訴訟を追行するのは困難です。

その理由は、訴状等の書面の提出や的確な証拠の提出、訴訟における進行に不慣れであることなどが挙げられます。

しかしながら、弁護士に委任すれば、訴訟という最終手段による解決も選択肢に入ります。

訴訟を提起した場合、一般的には、通常の示談交渉よりも高額な賠償金となることが多いため、加害者等も交渉の姿勢等が変わってくることがあります。

ただし、事案によっては、訴訟に向いていない交通事故もあると思います。

加害者等の財産を調査できることがある

訴訟を経て判決等が出た場合、弁護士会照会や強制執行の一環として、加害者等の財産に関して調査をすることができます。

調査の結果、加害者等が賠償金を支払えるだけの財産があると判明した場合、強制執行によって、賠償金を回収することができます。

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阿部栄一郎

阿部栄一郎

早稲田大学法学部、千葉大学大学院専門法務研究科(法科大学院)卒業。2006年司法試験合格、2007年東京弁護士会登録。都内の法律事務所勤務を経て、2010年丸の内ソレイユ法律事務所入所。交通事故、不動産、離婚、相続など幅広い案件を担当するほか、顧問弁護士として企業法務も手がける。ソフトな人当たりと、的確なアドバイスで依頼者からの信頼も厚い。交通事故では、被害者加害者双方の案件の担当経験を持つ。■交通事故示談交渉の森閲覧者へのメッセージ:交通事故の加害者・被害者には、誰でもなり得るものです。しかしながら、誰もが適切に交通事故の示談交渉をできるわけではありません。一般の人は、主婦が休業損害を貰えることや適切な慰謝料額の算定方法が分からないかもしれません。ましてや、紛争処理センターや訴訟の対応などは経験のない人の方が多いと思います。保険会社との対応が精神的に辛いとおっしゃる方もいます。 不足している知識の補充、加害者側との対応や訴訟等の対応で頼りになるのが弁護士です。相談でもいいですし、ちょっとした疑問の解消のためでもいいです。事務対応や精神的負担の軽減のためでもいいですので、交通事故に遭ったら、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。

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