慰謝料

無職やニートが事故に遭った場合、請求できる慰謝料相場は?専門家が解説

投稿日:

クマ
交通事故に遭った時、仕事をしていないと、慰謝料を減額されるって聞いたんだけれど本当?
ミミズク
たとえ無職であっても、交通事故による慰謝料は変わらず請求可能だよ。
だけど、無職の場合、休業損害や逸失利益の請求ができなくなってしまうんだ。
今回の記事では、無職やニートの場合に受け取れる慰謝料や、休業損害、逸失利益について、詳しく見ていこう。

一般的に、交通事故の賠償金は「収入が高いほど高額になる」と思われているケースがあります。

では無職やニートの方が交通事故に遭った場合、慰謝料は払われないのでしょうか?

実は慰謝料算定の際に被害者の年収や社会的地位は問題になりません。

子どもや無職、ニート、高齢者でも慰謝料を請求できます。 

今回は無職やニートの方が交通事故に遭った場合の慰謝料について、専門家視点から解説します。

無職やニートでも慰謝料はもらえる

無職やニートの方でも、人身事故に遭えば慰謝料を請求できます。

その理由をみていきましょう。

そもそも慰謝料とは

慰謝料とは「精神的苦痛」に対する賠償金です。

人身事故に遭うと、被害者は恐怖や痛みなどを感じて大きな精神的苦痛を受けます。

後遺障害が残ったら、今までのように自由に生活できなくなってさらに大きな苦痛を感じるでしょうし、死亡した場合の精神的苦痛は筆舌に尽くしがたいでしょう。

慰謝料は、こうした「精神的苦痛」をやわらげるため支払われます。

苦痛が大きければ大きいほど、慰謝料の金額が上がります。

無職やニートでも慰謝料を請求できる

では無職やニートでも慰謝料請求できるのでしょうか?

これに対する答えは当然「Yes」です。

無職やニートであってもケガをしたら精神的苦痛を感じますし、後遺障害が残ったら生活が不便になって苦しい思いをします。

死亡した場合の苦痛はいうまでもないでしょう。

仕事をしていなくても収入がなくても、こういった「精神的苦痛」に差はありません。

金持ちで高収入だからといって精神的苦痛が強くなるわけではないのです。

そこで無職やニートであっても、高所得者や社会的地位の高い人と同じだけの慰謝料を請求できます。

「自分ははたらいていないから慰謝料が低くなっても仕方ない」と思い込む必要はありません。

慰謝料の種類

無職やニートで交通事故に遭ったとき、請求できる慰謝料の種類は以下の3つです。

  • 入通院慰謝料
    被害者がケガをして入通院治療が必要となった場合に請求できる慰謝料です。
    治療期間が長くなると苦痛が大きくなると考えられるので、慰謝料が上がります。
  • 後遺障害慰謝料
    被害者に後遺障害が残った場合に発生する慰謝料です。
    後遺障害が重大なほど慰謝料額が上がります。
  • 死亡慰謝料
    被害者が死亡してしまったときに請求できる慰謝料です。
    被害者が扶養していた家族がいると慰謝料が高額になります。
    この意味で、亡慰謝料についてはニートや無職の場合に多少低くなる可能性があるともいえるでしょう。
    ただし請求できなくなるわけではありません。

物損では慰謝料請求できない

無職やニートの方が交通事故に遭ったとき「慰謝料を請求できないケース」があります。

それは「物損事故」のケースです。

物損事故では被害者が慰謝料を必要とするほどの精神的苦痛を受けないと考えられています。

車やバイク、スマホなどの所持品が壊れても、慰謝料は請求できません。

 ただしこれは「物損事故だから慰謝料請求できない」だけです。

「ニートや無職だから慰謝料請求できない」わけではありません。

無職やニートの場合、請求できない賠償金がある

クマ
無職やニートでも、休業損害や逸失利益がもらえる事ってあるの?
ミミズク
就労意思や就労能力があり、実際に就職できる可能性が高かった場合には、休業損害や逸失利益を請求することが可能だよ。

無職やニートであっても慰謝料は請求できますが、請求できない種類の賠償金もあるので、知っておきましょう。

それは「休業損害」と「逸失利益」です。

休業損害

休業損害は、交通事故のケガによって働けない期間が発生した場合の補償です。

仕事をしている方がケガをすると、治療のために働けない期間が発生し、収入を得られなくなるでしょう。

そこで休業期間に相当する損失分を「休業損害」として加害者は請求できるのです。

休業損害の金額=1日あたりの基礎収入×休業日数

 そもそも働いていない無職やニートの方の場合、治療を受けたことによって働けなくなったとはいえません。

休業による損失が発生しないので、休業損害は請求できないのは仕方がありません。

逸失利益

逸失利益は被害者に後遺障害が残ったり死亡したりしたときに発生する賠償金です。

被害者に後遺障害が残ると、事故前と同じようには働けなくなるケースが多いでしょう。

本来得られたはずの収入を得られなくなり、生涯収入が低下します。

そこで収入の低下分を加害者へ「逸失利益」として請求できます。

死亡事故の場合もこれと同じです。

死亡すると、被害者は一切収入を得られなくなってしまうので、生涯にわたる減収分を加害者へ請求できるのです。

【逸失利益の計算式】

  • 後遺障害逸失利益=事故前の年収×労働能力喪失率×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
  • 死亡逸失利益=事故前の年収×(1-生活費控除率就労可能年数に対応するライプニッツ係数

無職やニートの方の場合、もともと働いていないので後遺障害が残ったり死亡したりしても、減収は発生しません。

そこで逸失利益の請求は認められないのが原則です。

休職中なら請求できるケースも

実は無職やニートの方でも休業損害や逸失利益を請求できる可能性があります。

それは「失業していたけれど求職中だったケース」や「開業準備中だったケース」です。

こういった状況の方は、事故さえなければ仕事について収入を得られた可能性が高いと考えられるでしょう。

事故によって減収が発生したといえるので、休業損害や逸失利益を請求できるのです。

求職中で休業損害や逸失利益の請求が認められるには、以下の要件を満たさねばなりません。

  • 就労意思があった
    実際に働きたいという意思、意欲があったことが必要です。
    無職で働きたくない、と考えていた場合には休業損害等の請求はできません。
  • 就労能力があった
    実際に働く能力があったことも必要です。
    本人がいくら働きたくても、能力的に不可能だった場合には休業損害等が認められません。
  • 就労できる蓋然性が高かった
    実際に就労できる蓋然性が高かった事情も必要です。
    たとえば現実的に就職活動を行って内定をもらっていたなどの事情があれば、休業損害や逸失利益を認めてもらいやすいでしょう。

失業者の休業損害、逸失利益算定方法

失業者の場合、実際の収入がないので休業損害や逸失利益を計算するときの「基礎収入」を明らかにできません。

そこで以下のような金額を参考に計算するケースが多数です。

  • 前職での収入
  • 内定先での年収
  • 賃金センサスの平均賃金

 無職やニートでも真面目に就職活動していた方などは休業損害や逸失利益を請求できる可能性があるので、諦める必要はありません。

自分1人では判断に迷う場合、交通事故に詳しい弁護士に相談してみてください。

年金受給者の場合や主婦、学生のケース

クマ
年金受給者や主婦、学生の場合には、休業損害や逸失利益はもらえるの?
ミミズク
年金受給者の場合には、事故前に就労していれば、休業損害や逸失利益を請求できるし、就労していない場合には、死亡逸失利益を請求可能だよ。
主婦の場合には、仕事をしていなくても、休業損害、逸失利益どちらも請求できるし、学生の場合には、アルバイトなど仕事をしていれば、休業損害を請求可能、後遺症が残ったり死亡したりした場合には、逸失利益を請求できるんだ。

年金受給者

働いていたケース

被害者が年金受給者だった場合、仕事をしていれば休業損害や逸失利益を請求できます。

事故で働けなくなったら、当然休業損害が発生しますし労働能力が低下して逸失利益が発生するといえるからです。

働いていなかったケース

年金生活者が働いていなかった場合でも「死亡逸失利益」は請求できる可能性があります。

後遺障害が残っても年金は減額されないので、後遺障害逸失利益は請求できません。  

年金の逸失利益計算方法

年金受給者が死亡して年金についての逸失利益を計算するときには、平均余命に対応するライプニッツ係数をあてはめて計算します。

事故に遭わなければ平均余命の分は生きられただろうと考えられるからです。

労働の逸失利益計算方法

高齢でも働いていた方の場合、労働に関する後遺障害逸失利益や死亡利益を請求できます。

この場合「就労可能年数」に注意が必要です。

就労可能年齢は基本的に67歳までとされるからです。

しかし年金受給者の場合、67歳を超えても働いている方が多いでしょう。

そこでご本人が68歳以上の場合「平均余命の2分の1」を就労可能年数として逸失利益を計算します。

67歳以下の場合には、67歳までの年数と平均余命の2分の1を比較し、多い方の年数をあてはめます。

主婦の場合

被害者が主婦の場合にも、実際の収入を得ていないケースが多いでしょう。

働いていないので、休業損害や逸失利益を請求できないのでしょうか?

実は主婦の場合、どちらも請求可能です。

主婦が毎日行っている「家事労働」には経済的な価値があると考えられるからです。

主婦が入通院治療を受ければ休業損害を請求できますし、後遺障害が残ったり死亡したりすると逸失利益も発生します。

主婦の休業損害や逸失利益を計算するときには、賃金センサスの「全年齢の女性の平均賃金」をもとにします。

だいたい11万円程度の数字になると考えましょう。

兼業主婦、主夫の場合

パートなどの兼業主婦の場合、パート代と「全年齢の女性の平均賃金」の高い方を採用します。

男性の主夫の場合でも、女性との公平性を維持するため全年齢の「女性」の平均賃金で計算するので注意しましょう。

【注意!】保険会社の提示する休業損害は低額なケースが多い

主婦の休業損害を計算するとき、保険会社は自賠責基準をあてはめて「1日あたり5,700円」と主張してくるケースが少なくありません。

弁護士基準なら1日1万円程度で計算できて休業損害額を大幅にアップできるので、安易に受諾せずに弁護士に相談してみてください。

学生の場合には

学生が交通事故に遭ったら、休業損害や逸失利益を請求できるのでしょうか?

休業損害について

学生の場合でも、アルバイトなどをして働いていれば当然休業損害が認められます。

一方で、仕事をしていなければ休業損害は請求できません。

逸失利益について

学生が事故に遭って後遺障害が残ったり死亡したりすると、逸失利益は請求できる可能性が高くなります。

学生の場合、将来就職して収入を得られた蓋然性が高いと考えられるからです。

基礎収入としては、学歴別、男女別などの賃金センサスを適用したり、内定先の給与体系を参考にしたりして決定します。

まとめ

クマ
無職やニートでも、慰謝料を減額されてしまうことがないってわかって安心したよ。
減額されてしまうのは、休業損害や逸失利益なんだね。
ミミズク
ニートや無職であっても、交通事故に遭ってしまったら、弁護士に相談するのがおすすめだよ。
弁護士基準で計算する事で、より多くの慰謝料を受け取ることができるし、解決までサポートしてもらうことができるから、交通事故に遭ってしまったら弁護士に相談してみよう。

無職やニートの方でも交通事故でケガをしたら慰謝料を請求できます。

収入がない、あるいは少ないからといって減額されることもありません。

交通事故で正当な賠償金を獲得するには、正確な法律知識や必要です。

1人で対応に困ったときには、交通事故に積極的に取り組んでいる弁護士に相談してみてください。

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福谷陽子

福谷陽子

元弁護士・ライター。
京都大学在学中に司法試験に合格し、弁護士として約10年間活動。うち7年間は独立開業して事務所の運営を行う。
実務においては交通事故案件を多数担当し、示談交渉のみならず訴訟案件も含め、多くの事件に関与し解決。
現在はライターとして、法律関係の記事を執筆している。

■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故に遭うと、今までのように仕事を続けられなくなったり相手の保険会社の言い分に納得できなかったりして、被害者の方はさまざまなストレスを抱えておられると思います。
そんなとき、助けになるのは正確な法律知識とサポートしてくれる専門家です。まずは交通事故の賠償金計算方法や示談交渉の流れなどの基本知識を身に付けて、相手と対等に交渉できるようになりましょう。
お一人で悩んでいるとどんどん精神的にも追い詰められてしまいます。専門家に話を聞いてもらうだけで楽になることも多いので、悩んでおられるなら一度弁護士に相談してみると良いと思いますよ。

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