目次
症状や通院期間によっての慰謝料の違い
様々な出来事の積み重ねが人生を形成します。
幸運ばかりであれば、良いのですが、不幸なことも存在します。
身近で遭遇する不幸といえば、交通事故が挙げられます。
予想もしない瞬間に起こりますので、怪我を負う確率が高く、治癒する期間も長期に渡ったりすることもあるでしょう。
そのため、被害者の日常生活において、生活費、仕事との兼ね合い、後遺症の問題など重大な支障が生じかねません。
仕事もそうですが、普段、何気なく行えることが出来なくなり、場合によっては、ベッドから起き上がることも出来なくなる可能性があるのです。
交通事故に遭遇し、被害者が加害者に求めるものは、慰謝料ではないでしょうか。
加害者に謝罪して欲しい、という欲求そのものより、誠意を見せて欲しい欲求の方を強く求めるのが人間ではないか、と思われます。
傷害を負った上にその治療費も加害者が支払わないとなれば、納得がいきませんし、筋が違うと思われるでしょう。
被害者が加害者に求めるものは、正しい補償という誠意なのです。
症状やそれに伴う通院期間によって、もちろん、慰謝料の金額は大きく違ってきます。
むちうちや打撲、骨折などの傷害を負った場合、短期では治癒しませんし、手術となれば、長期的に入院しなければなりません。
障害による慰謝料には、傷害による慰謝料、治療費及び関連費、休業補償費が含まれます。
通院期間が長くなると、慰謝料の金額は増えることになりますが、認定されるのは、必要とされる治療のみに限定されます。
治療による効果が存在しないにも関わらず、治療継続を望むという行動は許されません。
悪質な虚偽がある場合には詐欺罪にも該当しかねません。
治療期間が長期間に及べば及ぶほど、月々の慰謝料の料金も減っていくようになっていますが、これらの理由の主因は、治療が進むにつれ、苦痛も和らいでいくことが一般的である、ということなのです。
遠因としては、慰謝料目当てとなる、不要な治療期間の延長抑止という意味も含まれているという一面もあるでしょう。
もちろん、症状によって、慰謝料も違ってきます。
明らかに自覚症状が認められる症状には、首の痛み(むちうち)、手首の痺れやだるさ、腰の痛み、頭痛、吐き気、めまい、脱力感、などが挙げられます。
交通事故が原因で後遺症が発生した場合には、後遺障害慰謝料も発生します。
後遺障害には、等級が存在し、第1級から第14級までが存在し、この等級の数字が低くなればなるほど、後遺症の程度は重くなり、慰謝料の金額も高額になっていきます。
もちろん、事故が軽微であったり、通院実績が乏しかったり、症状に一貫性や連続性が見られない場合は、後遺障害認定がされない場合があります。
言えることは、症状においては軽症と重症、通院期間においては短期と長期によって決められるものであり、症状が異なるのに慰謝料が同額であれば、不公平感が強く残ります。
慰謝料というものは、ある意味、完治するまでの加害者側の誠意ある対応であるといえるでしょう。
症状や通院期間の差異によって、慰謝料が変化するのは当然でありますし、後遺症が残れば、人生を左右させることになりますので、慰謝料が増額されるのは、当然だと思われます。
交通事故の治療は、あくまでも、任意保険会社基準としての目安となりますが、打撲は1ヶ月、むちうちは3ヶ月、骨折は6ヶ月とされており、後遺症が存在しない場合は、180日で打ち切りとされてしまうことが現状では多くなっています。
保険会社としては、交通事故の治療期間が長ければ長いほど、被害者に支払う金額も大きくなるため、1日でも早く、治療期間を短くしたいという都合があります。
そのため、通院の頻度が低ければ、身体の痛みも少ない状態と判断されてしまい、保険会社から打ち切りをして頂き、示談のお話を進めさせて頂きたい、との旨を告げられてしまうのです。
身体が痛いのであれば、どれだけ忙しくても、痛みの証拠など「医証」を積み上げる必要性があります。
むちうちの場合
むちうちは交通事故やスポーツによって、首に不自然な力が加わり、首の動きに支障が生じる怪我の一種であり、主に首が痛い、首が回らないといった症状が生じます。
首に不自然な力が加わる際に、首がS字にしなる様が、鞭を打ったような形になるため、むちうち症と呼称されています。
正式には、頚椎捻挫が、むちうち症の大部分を占めているため、首に多大な付加が掛かることで生じた首の捻挫であることには間違いありません。
成人の頭部の重さは約5kgと言われており、それを支えている首が負傷していることになります。
交通事故においても、目立った外傷は無かったけど、首が少し、痛かったという場合でも、むちうちだったというケースは多く、事故の緊張から和んだ翌日、急に痛み出すケースも多いようです。
酷い場合、神経や脊髄を傷つけているケースもあります。
交通事故の場合、むちうちが、後遺障害認定されるだけで、慰謝料が大きく変化してくるため、正しい書類を集めて正しい手続きをしてください。
むちうちの場合、首の痛みは、神経を傷つけていると、手足のしびれや倦怠感、めまいなどの症状も併発してしまいます。
しかし、レントゲンでも、異常は見られず、医師から異常がない、と診断されてしまうこともありますので、しっかりと、自己の症状と照らし合わせることが必要です。
頚椎捻挫型のむちうちは、首の捻挫ですが、首や肩、背中のコリや痛みなどの弊害が起こります。
<バレー・ルー症状型のむちうち>
衝撃が首の骨を通り越して、自律神経まで傷つけた際に発症し、めまいや耳鳴り、息苦しさが症状として現れます。
<神経根症状型のむちうち>
神経の根本が引き伸ばされたり、圧縮され、負荷を受け、身体の各部位に痺れを感じたり、力が入らなくなるのが主な特徴です。
<脊髄症状型のむちうち>
脊髄まで損傷してしまうむちうちであり、脊髄の損傷により、身体に麻痺が残り、知覚障害や歩行傷害を併発してしまいます。この場合、後遺障害として、今後も残ってしまう可能性のある非常に危険な症状を持ち合わせています。
大切なことは、自己の症状を的確に医師に伝えるこがポイントになるでしょう。
交通事故においてのむちうち症で重要なことがあります。
むちうちが後遺障害として認定されると、慰謝料が跳ね上がるということです。
後遺障害とは、治療が終了しても、身体に残る障害であり、後遺症とも呼称されますが、第1級から第14級まで存在します。
ただ、むちうちを後遺障害として、認定されることがあるか、と問われれば、むちうちではまず、無いといっても過言ではありません。
何故なら、むちうちは、目に見えにくい症状であり、医学的にも証明が難しい怪我なのです。
自覚症状が続くようであれば、医師にしっかりと、検査してもらうべきでしょう。
慰謝料というものは、加害者側の保険会社との示談が終了してから、支払われるものです。
前述したとおり、通院期間が長くなればなるほど、慰謝料は増加していきますが、相手方の保険会社に治療費打ち切りを告げられても、完治するまで通院は続けましょう。
症状固定はあくまで、医師が判断するものです。
それまで、入通院は継続すべきです。
それでなければ、慰謝料が減額されてしまうため安易な妥協はいけません。
むちうちの場合、発症から、完治まで慰謝料が支払われる事になります。
相手側の保険会社対応として、治療打ち切りの打診があっても、完治、もしくは、医師からの症状固定の告知があるまで、経済的負担もありますが、治療を続けるのが得策です。
中途半端な状態で、示談になってしまった場合、それからの治療費は自費になってしまいます。
障害が残り、慰謝料も減額されてしまえば、損をするだけです。
後悔しないように、示談はしっかりと、万全の状態で行われるべきです。
打撲の場合
交通事故における打撲は、軽症とみなされがちですが、そうとは限りません。
打撲とは、打ち身とも表現できますが、転倒やぶつけたなどして、あざが出来る状態を指します。
内出血による患部の腫れや、酷いときには、発熱をも引き起こします。
発熱が引いた後でも、患部に負荷が掛かると、強い痛みを感じるときもあります。
体質やぶつけ方により、違いますが、軽度の症状の場合、1週間から2週間で治癒することが多いとされています。
交通事故で打撲を負った場合、自己判断は危険です。
前の席にぶつけた場合、内臓損傷の恐れもありますし、転倒した場合、骨折の可能性も考えられますから、必ず、病院で医師の診察を受けるべきでしょう。
打撲は、このように、症状によって、大きな違いがあります。重度の状態を鑑みれば、完治するのに、3ヶ月の時間を要する場合もありますので、決して、軽症とは言えません。
軽症と判断できるのは、診察した医師だけなのです。
打撲には、様々な特徴があります。
打撲の部位や程度に違いはありますが、目視で確認可能な青いあざが出現し、患部が紫色に変色する場合があります。
これは、内出血を引き起こしている状態です。
内出血は、打撲の大きな特徴のひとつです。
軽度の場合は、運動機能の妨げにはならない場合が多く、痛みを感じながらも、運動を行うことが可能です。
筋肉痛のよう動き回ることも可能です。
打撲を発症し、数時間で内出血になり、腫れがおおきくなってきた場合は、骨折の疑いがあります。
打撲を引き起こした際、安易に患部を温めることは回避すべきです。
腫れが引かない状態で温めてしまうと、血流が促進され、内出血の症状が促進されてしまいます。
頭部打撲は、注意しなければなりません。
頭部は、膨大な血管が張り巡らせているので、小さな傷が大きな障害を引き起こす可能性がありますので、吐き気がある場合、手足の痺れ、無気力になった場合は、早期に医師の診察を受ける必要があります。
腰の打撲は圧迫骨折の疑いもあります。
神経の痛み、自分の意思で動かせない場合は、圧迫骨折の疑いが強いのです。
自分への過信は、無防備です。
医師の的確な診断が、慰謝料の金額を左右するのです。
交通事故に遭遇し、軽度の打撲を負った場合でも、慰謝料を被害者請求とすることは、もちろん可能です。
慰謝料は、その打撲治療に要した期間によって、差異が生じます。
打撲の部位や程度によりますが、軽度の打撲であれば、入院まですることは珍しく、掛かっても、通院3ヶ月程度で終了する場合がほとんどなのです。
もちろん、打撲の怪我の治療に対する慰謝料は治療期間によって、金額は変動します。
軽度の打撲であり、レントゲンで痛みの原因が見当たらない場合、通院期間の限度で慰謝料が算定されます。
通院期間が少ない場合や通院頻度が途中から不規則に増えた場合は慰謝料が減額される場合があります。
本当に打撲を治療する必要があって、通院していても、通院の仕方が悪いと、慰謝料が減額されてしまう場合があるのです。。
そうならないためにも、弁護士と相談しながら、通院することが必要です。
そうすれば、慰謝料が減額されないで済むでしょう。
例え、打撲であっても、弁護士に相談する必要性があるのか、と問われれば、必要性はあります。
通院が長引く場合もありますし、後遺症が残る可能性があるからです。
もちろん、打撲であっても、完治や医師からの症状固定の告知があるまでの期間、慰謝料は支払われます。
その他の症状と同様に、加害者側の保険会社から、治療費打ち切りの連絡が来た場合でも、完治していないのであれば、通院すべきです。
自費となりますが、弁護士に依頼すれば、保険会社に治療の必要性を主張し、根拠を示し、その一定期間の治療費の支払いを継続してもらえるように交渉してくれます。
完治が何よりも大切なことでありますので、例え打撲であっても、自己判断せず通院し、正しい医師の判断を待つべきでしょう。
骨折の場合
骨折という症状は、日常生活においても、交通事故においても、重症の部類に位置することは、間違いありません。
日常生活においても、重大な支障が生じます。
出来ていたことが出来なくなるもどかしさも加わるわけですから、精神的疲弊が強くなります。
骨折は文字通り、骨が折れる、ということです。
肉体的にも、精神的にも骨が折れる、ということなのです。
よって、交通事故で、骨折した場合は被害者はそれなりの高額な慰謝料を受け取る、ということになります。
骨折という症状の場合、骨折が治癒するという事実は慎重に見極めなければなりません。
何故なら、後遺症が残る可能性が大だからです。
交通事故においては、加害者側の過失によって、引き起こされる可能性が大となりますから、それに起因した骨折による後遺症が長引けば長引くほど、慰謝料は高額になるのです。
骨折は、後遺症が一生、残る可能性もあるのです。
そう考えると、弁護士に相談し、交渉してもらう方法が被害者にとっては、最良であると考えます。
骨折に対する慰謝料は、大きく分別すると、骨折の治療に対する入通院慰謝料と、骨折治療後の後遺症に対する慰謝料に分別されます。
骨折の後遺症には、偽関節という症状があります。
偽関節とは、骨折した部位が上手く接合せずに、その部位が関節のように曲がってしまう症状のことを指します。
このように、骨折の治療が終了しても、何らかの後遺症が残る場合は、後遺障害の慰謝料を請求することが可能です。
骨折治療後の典型的な後遺症として、骨の短縮、変形、偽関節が挙げられるのです。
これらの症状は、レントゲンやCT画像で外観から、明らかに後遺症が残っていることが証明可能です。
よって、第三者機関の後遺障害認定の妨げになることはありません。
ただ、骨折部位は接合したけれど、その部位の関節が曲がらなく場合があります。
可動域が制限されてしまうのです。
痛みや痺れが残ったりする場合も含めて、問題が残ってしまうのです。
症状の直接の原因が骨折によるものではなく、不十分なリハビリが原因であると判断されれば、充分な等位認定が受けられない可能性があります。
交通事故で骨折という怪我を負った場合、大切なことがあります。
一つ目は、事故直後に、病院にて、レントゲン撮影、CT、MRIの検査もしてもらうようにすることです。
骨折部位周辺の組織の損傷状況や、骨の破片の有無を確認しておくことが、後々、治療終了後に自覚症状が発生した場合、原因究明が可能だからです。
二つ目は、同理由ですが、神経伝達速度検査、筋電図検査も行うことです。
三つ目は、等級認定のために、後遺症の原因と成り得る内容を主治医に依頼し、診断書に反映してもらうことです。
四つ目は、骨折事故の交渉は、弁護士に依頼することです。
弁護士に交渉を依頼すれば、慰謝料の増減に大きく影響を及ぼすことが可能なこと、そして、加害者側の保険会社との複雑なやりとりから解放されるメリットも含まれているからです。
これらの大切なことをひとつでも忘れると、被害者として、損をする可能性があります。
骨折という重症を負いながらも、損をするということは回避しなければならないことです。
骨折という重症を負った場合、慰謝料は、症状が完治、或いは、症状固定するまでの期間、支払われます。
決して、自己判断による通院打ち切りはしてはいけません。
加害者側の保険会社の通院打ち切り通告の真意は、自分の負担額の増加を懸念しているだけであり、被害者側には、何のメリットもありません。
慰謝料を諦めてしまう事が多い事例とは
交通事故に遭遇し、被害者となった場合、慰謝料が発生するわけですが、被害者にとって、慰謝料を受け取れる権利は保障されているため、慰謝料を受け取れない、となると、損な役回り、となってしまいます。
ましてや、傷害を負った際の治療費、後遺症が残った場合の治療費などを考慮すると、莫大な金額となるわけですから、慰謝料は被害者にとって、命綱となるわけです。
被害者が慰謝料を諦めてしまうことが多い例として、挙げられるのが費用倒れです。
軽症の人身事故であれば、示談金の増幅額よりも、弁護士費用の方が上回ってしまうケースが多くなるため、弁護士に依頼しない選択を取る人も少なくありません。
もちろん、この場合でも、慰謝料は入ってきますが、正当な慰謝料ではなく、ある程度満足し、相手側に折れた型の金額となってしまう事がほとんどです。
肉体的にも、傷害を負い、精神的に傷付いている状態のもと、正当な慰謝料を貰えない、ということで、更に傷付いてしまいます。
そうならないように、弁護士と相談し、費用倒れにならないように模索することが大切です。
交通事故に遭遇することは、日常生活においては、稀なことである、と考えられます。
自分が交通事故の被害者になる、ということは更に、稀な確率である、ということにも間違いはありません。
交通事故に遭遇し、傷害を負ってしまうと、日々の生活進行に支障が出てしまいます。
傷害を負い、病院に通院するだけでも、相当な労力が掛かりますし、経済的問題も発生します。
そのため、加害者側の保険会社からの提示額で和解してしまうケースも多いのです。
慰謝料請求に関する手間が煩わしく思えてくる事が多くなります。交通事故に遭遇した被害者は、事故の影響で、生活や仕事に支障が出ていたとしても、正当な慰謝料を諦め、示談で解決してしまうのです。
そのような事を避けるためにも、手間を掛け、弁護士に依頼することが得策です。
正当な慰謝料を受け取り、日常生活のリスタートとするべきでしょう。
交通事故における慰謝料請求においては、加害者と被害者の間で行われるわけですが、被害者側が加害者側の保険会社と交渉することになれば、正当な慰謝料を受け取れない可能性があります。
加害者側の保険会社的には、慰謝料が低額であればあるほど、良いわけですから、様々な手法を用いてきます。
相手はプロですから、この手法によって、被害者は正当な慰謝料を諦めてしまうことが多いのです。
障害を負った場合、症状が完治するまでは待ってくれません。
症状固定の時点で、示談を持ち掛けてきます。
その場合にも、弁護士に相談するべきです。
被害者側の立場になり、被害者に好印象を与え、信用させた上で、低額で示談を成立させてしまう事になりますから、こうならないためにも、プロにはプロで対抗しましょう。
周囲の人間は心配してくれますが、被害者本人は、傷害を負っても、負わなくても、精神的疲弊が強く、冷静な判断力を持ち合わせていない、というのが真実であると思います。
被害者であるが故に、本来は、強い立場にいるべきなのですが、法律や交渉の煩雑さに矛盾を感じ、精神的弱者になってしまう事が多いのです。
加害者側は保険会社に任せておくことが多く、余裕がありますが、被害者側は弁護士に交渉を任せていても、落ち着かない日々を過ごしているのです。
この矛盾を解消しない限りは、不当な圧力のために被害者が慰謝料を諦めるという現象は、これからも多くなっていくため、安易な妥協はしてはいけません。
通院を打ち切りにされてしまう事がないようにするために
交通事故に遭遇し、負傷をした場合、まず、しなければならないことは、治療です。
加害者の特定や、慰謝料の選定は、後から出来ますが、被害者が負った怪我に関しては、早期に治療しなければ、治癒しない可能性も高まります。
ましてや、後遺症が残る可能性もありますから、治療は早期に行うべきです。
ただ、通院するにあたり、様々な支障が生じます。
仕事も休まなければならない、家事が忙しく、通院する時間を確保出来ない、軽度と思っていたが、なかなか、完治しない、など、治癒同様に焦りや苛立ちが目立つようになります。
弁護士に依頼しても、交渉が上手くいっていないとなると、焦りや苛立ちが顕著になってきます。
そうなってしまうと、何もかもが上手く循環しません。
そうならないためにも、少しずつでも良いので、前向きに考察することが大切です。
軽度の症状であっても、本人が納得するまで、通院すれば良いだけの話です。
通院を打ち切ることが出来るのは、傷害を負った本人だけです。
相手方との交渉は、選定した弁護士に任せる事で、被害者の心情を汲み取り、反映させてくれることは間違いありません。
基本的な話ですが、加害者側の保険会社は、交通事故が発生してから、約3ヶ月から4ヶ月後に治療費の打ち切りを通告してくることが多いのです。
これは、なるべく、慰謝料に含まれる金額を負担が少ない金額にしたいだけの話です。
被害者のことは念頭に置いておらず、一般的に表現すれば、事務的に処理したいだけの話です。
こうした場合、被害者自身でも交渉は可能ですが、相手方は高圧的な態度で応じてくることも多くなります。
一方、弁護士が相手方と交渉をすると、バックボーンに専門知識があるわけですから、スムーズに交渉がまとまるのです。
そうすれば、一方的に通院を打ち切りにされてしまうことはないのです。
治療中であっても、治療そのものを打ち切ると言っているわけではありません。
打ち切るというのは、治療そのものではなく、あくまでも、治療費の支払いなのです。
ですから、医師から治療継続を告げられた場合は、治療を継続すべきなのです。
治療費の打ち切りについては、相手方の保険会社は、単に打ち切ると通告してくるわけではなく、治療は完了している理由も通告してくるケースが多いです。
治療の完了とは、完治、そして、症状固定のことを示します。
完治とは、単純に、その怪我及び症状が完全に回復したという意味です。
症状固定とは、症状の回復及び改善が出来なくなった状態のことであり、これ以上、治療を継続しても、良好な状態にならない状態のことを示します。
相手方の保険会社に治療継続を納得させるならば、完治、症状固定に達していない状態であることを提示しなければなりません。
もちろん、完治、そして、症状固定を客観的かつ冷静に判断出来るのは、医師だけです。
被害者本人にも可能ですが、どうしても、主観的判断が強くなってしまいます。
もちろん、本人が完治、症状固定の判定に違和感があるのであれば、通院治療は可能です。
納得できないのであれば、通院治療は継続すべきです。
ただ、医師から完治、症状固定の通告を受けた場合、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、後遺障害等級認定の手続きをした方が安心です。
症状固定後の治療費は、後遺症慰謝料の中に含まれているとされており、治療費を保険請求することが難しくなってくるためです。
後遺障害認定の手続きを行えば、通院することへの妨げにはなりません。
この種類の対処も個人では、負担も多く、不可能ですから、弁護士に依頼し、交渉してもらう方が、メリットが残ります。
被害者が負った傷を完治する方法が通院治療です。
医師からの通告が無い限りは、通院し、治療に専念することが、得策です。
体調、症状に対し、常に正直であるべきです。
症状固定とならないようにするために
交通事故にて、傷害を負った場合、治療しなければなりませんが、その治療が上手くいった場合、完治となります。
この場合は問題ないのですが、それとは違う表現も聞かれる場面も多いか、と思われます。
それが、症状固定です。
症状固定とは、意味合いが二つ、存在します。
医学的意味合いとしては、一般的な治療をしても、なかなか快方しないことです。
法律的な意味合いとしては、症状を後遺障害として評価し、損害賠償額に反映させる状態になったことを意味します。
このふたつの意味合いは、全く、違いますが、慰謝料請求においては、同一方向を向きますし、非常に大切なこととなります。
医師から症状固定を告知されると、被害者側は、複雑な感情を持つかもしれません。
ただ、本人が納得していないのであれば、そのまま、通院を継続しても構いません。
後遺症が残る可能性もあります。
見逃した後遺症が、その後の人生に暗い影を落とすことだけは回避すべきです。
医学的な症状固定を説明します。
治療を続けていった場合、一定期間を経過すると、症状固定という状態になります。
医学的には、これ以上、通院しても、状態が良くならない状態のことです。
これは、事故前の状態に戻ったという意味でありません。
症状は残存しているが、これ以上は改善しない、ということになるのです。
法律的な症状固定を説明すると、これ以降は、怪我が後遺障害として、扱われる時期のことを示しますから、後遺障害認定の手続きに入っていくきっかけとなります。
それまで怪我の治療を行ってきた医師に後遺症害診断書を書いてもらうことで、症状固定となるわけです。
症状固定とならないようにするためには、医師が症状固定を告知してきても、その時点で、症状に違和感があるのであれば、素直にそのことを伝えなければなりません。
その状態のままで症状固定になってしまえば、損をするかもしれません。
遠慮は必要ないのです。
症状固定の注意点としては、まず、治療費は、個別には支払われなくなることが挙げられます。
症状固定後は、打ち切りという扱いになり、治療費は保険会社からは支払われません。
要するに、症状固定後に、手術を行っても、新たに保険金が支払われることはありませんから、注意しなければいけない事項です。
症状固定前の治療費及び慰謝料は傷害として扱われ、症状固定後は後遺症害として扱われることになるのです。
症状固定として医師から告知されても、通院してはいけない、ということではありませんが、損害賠償請求権がなくなりますから、注意しましょう。
リハビリ等の治療は続行可能です。
ただ、このリハビリ等の治療費は個別に支払われることはありません。
後々、後遺症害として、計算し、一括して支払われることになります。
このように、複雑な仕組みとなっているわけですから、慰謝料にも多大な影響が出るわけです。
症状固定を告知されても、悲観的になっても仕方がありません。
重要なことは、本当に症状が回復しているのかどうかなのです。
症状固定をする際には、医師とのやりとりが重要になってきます。
症状固定時には、医師に後遺症害診断書というものを作製してもらいます。
症状固定にならないようにするためには、医師との信頼関係の構築が不可欠です。
後遺症害診断書は認定を左右するほどの重要なものです。
医師に現状を克明に伝え、どのような内容を記載してもらうか、ということにも注意が必要です。
このような事項ですから、被害者本人が独自に動くのではなく、弁護士と相談しながら行動することも念頭に入れておかなければなりません。
決して、加害者側の保険会社の担当者の言うことに従ってはいけません。
後遺症が残ってしまった場合には
後遺症害とは、交通事故によって生じた後遺症のことを示します。
または、事故発生から、6ヶ月が経過し、その後、症状が治る見込みがなく、医師が症状固定とした後、後遺症害と認定されることを示します。
交通事故には後遺症害と後遺症という言葉が存在しますが、後遺症害とは交通事故によって、被害者が受けた症状が将来において、今後、回復の見込めない状態の中で等級に認定されたものであります。
逆に、後遺症とは、交通事故において、怪我をし、治療の末に残ってしまった症状のことを意味します。
交通事故の後遺症害のポイントは、症状固定です。
この症状固定が何故、ポイントかと問われれば、怪我や症状が症状固定として、確定するまでは、いつまで治療が続くか、わからないため、加害者側も慰謝料を払い続けたくない、と考えるようになるからです。それだけ、後遺症害には、症状固定の宣告時期が重要な位置を占めるのです。
症状固定は実質的な治療費の打ち切りでもあります。
症状固定後に残った症状は、後遺症害として認定されることになりますので、後遺症害等級の認定手続きが必要となります。
要するに、症状固定を行わないと、後遺症害認定の申請手続きは行えないのです。
後遺症というものは、その後の人生を左右するのであり、妥協は必要ありません。
症状固定は、勝手な自己判断は回避し、医師と相談しながら、判断することが求められます。
この時点での加害者側の保険会社からの症状固定に関する話には疑いを持たなければなりません。
あくまでも、被害者側にとって、メリットがある話ではありません。
後遺症害が認定されるには、4つの条件があります。
1つ目は、交通事故との因果関係が存在するということです。
その痛みの症状が、交通事故によって、発生したものであるという証明が必要になります。
医師による診断書が重要です。
2つ目は、医学的に証明されている症状であることです。
レントゲンやMRIなどの画像所見で判断出来れば、話は進むのですが、むちうちなどの神経痛は証明が難解なのです。
そのため、医学的に何らかの方法で、医学的に証明しなければなりません。
3つ目は、医師の症状固定を受けているものということです。
医師が作製した後遺症害診断書に回復は難しい、と明記されていても、症状の詳細が明記されていなければ、後遺症害の等級の取得は難しいのです。
4つ目は、労働能力の喪失を伴うものであるということです。
交通事故によって、仕事に支障をきたす程度の怪我でなければ、後遺症害等級に該当するのは難しいのです。
等級獲得は、急がず、漏れが無いように進めていくことが非常に重要になります。
後遺症が残ってしまった場合は、個人能力では限界がありますので、弁護士に依頼するのが得策です。
保険会社との交渉前に、後遺症害等級認定を受けておくことが重要になってきます。
後遺症害等級認定は、症状がほとんど回復し、最後に行う補償金の請求になります。
等級認定には、適切な書類提出が必要です。
この最後の手間を惜しむと、補償金が変化してしまいます。
後遺症が残ってしまった場合、後悔しないように、後遺症害等級認定を行っておくことが重要になってきます。
正しい等級認定を受けることがその後の人生を左右するのです。
症状固定前に、医師と相談し、後遺症が残った場合の対策を考え、その上で、弁護士に正しい判断を仰ぐべきです。
治療同様、時間を掛け、正確な慰謝料を受け取るべきです。
示談が長引いてしまったら
交通事故において、傷害を負った場合、最終的な時期が示談ということになります。
示談とは、加害者側と被害者側において、和解をするという契約であります。
和解とは、お互いが歩み寄って、問題解決を約束する契約です。
和解が成立すると、お互いが納得したという証拠に和解契約書が作製されます。
和解誓約書はこれ以上、同じ問題で争いません、という契約書であり、一度、成立してしまうと、追加請求は困難になりますので、被害者側は、慎重さを期す必要があります。
法律的な効力が非常に大きく、裁判でも、重要視されます。
そのため、内容を正しく把握する必要性があります。
内容を正しく把握せずに和解してしまった場合、本来受け取ることが出来るはずであった慰謝料を自ら、捨ててしまう可能性がありますので、注意することが求められます。
示談を行うときは、弁護士に依頼することも必要です。
個人能力には限界がありますから、スムーズかつ正確に示談を終了させるためにも、弁護士に依頼することが必要です。
交通事故から示談まで至るには、5つの流れがあります。
- 交通事故発生
その交通事故が発生した当日に、怪我や痛みが軽症であっても、後日、痛みが現れることがありますので、必ず、人身事故として、警察に届けるべきです。
警察や加害者から物損事故として処理したい、と言われても、断らなければなりません。
物損事故として、処理されれば、事故状況についての詳細な資料を作成してもらえないのです。 - 入院もしくは通院による治療です。
整骨院ではなく、整形外科を受診するようにしましょう。
この時点で、完治への入口が始まるのです。 - 症状の安定及び後遺症害の等級認定です。
怪我が完治する、もしくは、これ以上の治療を行っても症状の軽減が無い、と判断されると、症状固定と判断が行われます。
そして、症状固定後も後遺症が残った場合は、後遺症害後遺症害の認定を申請します。 - 保険会社との示談交渉です。
症状固定、もしくは後遺症害の等級認定が終了した直後から、示談交渉を行うことが望ましいです。 - 示談成立です。
相手側の保険会社から提示された慰謝料に納得したら、サインをし、示談は成立します。
和解の契約書ですから、後から請求しても、支払ってはくれません。
被害者の立場からすれば、示談内容は、後遺症害の補償も含まれていますので、急ぐのは得策ではありません。
長期間に渡り、示談交渉を続けても、相手側から充分な慰謝料を受け取れない可能性もあります。
相手側からの慰謝料提示に納得が出来ない場合は、示談交渉を意識的に長引かせるのではなく、当事者同士や保険会社との話し合いを諦めて、交渉や調停、もしくは訴訟の場に移すことを検討した方が良いかもしれません。
まず、示談が成立しないことには、慰謝料の額が定まりませんので、加害者は支払い開始が出来ません。
被害者としては、慰謝料を受け取ることが出来ない状態が続くわけですから、示談が長引いてしまったら、もしくは、示談が不成立になると、本当に困るのは、被害者自身なのです。
それでも、示談成立が見出せない場合は、裁判所に調停を申し立て、そこでの合意がされなければ、最終的に民事訴訟ということになり、自賠責保険基準や、任意保険基準ではなく、裁判基準にて慰謝料が支払われます。
裁判基準は、自賠責基準などに比べ、高額な慰謝料となりますから、裁判になることで、慰謝料アップを望める可能性もあります。
訴訟となると、費用が掛かりますが、事故当事者が直接争うことはまず、ありません。
示談においては、加害者側と被害者側に違いが存在します。
交通事故においての加害者は、示談の合意を急ぐ傾向が見られます。
加害者側の保険会社も支払う慰謝料の額が少額になるように、示談の早期成立を急がせるのです。
逆に、交通事故においての被害者は、示談の合意をゆっくり、と行いたい、という傾向が見られます。
事故後、発生するかもしれない後遺症害もありますので、慌てて、示談を成立させることを望みません。
このように、交通事故は、加害者や被害者の運命を変化させてしまうものです。
安易な保険会社との妥協はその後の慰謝料や後遺症認定などに多大な影響を与えかねません。
もし、ご自身で全て保険会社との示談交渉をすることが難しいと考えている方は、ぜひ交通事故専門の弁護士に相談をされることをおすすめいたします。
福谷陽子
京都大学在学中に司法試験に合格し、弁護士として約10年間活動。うち7年間は独立開業して事務所の運営を行う。
実務においては交通事故案件を多数担当し、示談交渉のみならず訴訟案件も含め、多くの事件に関与し解決。
現在はライターとして、法律関係の記事を執筆している。
■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故に遭うと、今までのように仕事を続けられなくなったり相手の保険会社の言い分に納得できなかったりして、被害者の方はさまざまなストレスを抱えておられると思います。
そんなとき、助けになるのは正確な法律知識とサポートしてくれる専門家です。まずは交通事故の賠償金計算方法や示談交渉の流れなどの基本知識を身に付けて、相手と対等に交渉できるようになりましょう。
お一人で悩んでいるとどんどん精神的にも追い詰められてしまいます。専門家に話を聞いてもらうだけで楽になることも多いので、悩んでおられるなら一度弁護士に相談してみると良いと思いますよ。