法改正により、電動キックボードのルールはどのように変わったのかな?
運転免許を持っていなくても、16歳以上であれば、誰でも乗れるようになったんだよ。
今回の記事では、2022年4月の法改正における電動キックボードの扱い方についての変更点をチェックしてみよう。
目次
特定小型原動機付自転車という新たな区分が誕生
電動キックボードが主な対象
2022年4月に国会で決議された道路交通法の改正により、特定小型原動機付自転車という新たな区分が誕生しました。
特定小型原動機付自転車は、主に電動キックボードが区分されることが想定されており、特定小型原動機付自転車に区分される電動キックボードは、原動機付自転車と自転車の中間的な取り扱いを受けることとなります。
特定小型原動機付自転車はどのようなものか
特定小型原動機付自転車は、
- 最高速度が20㎞/h以下であること
- サイズが長さ190㎝幅60㎝以内であること
などといったことが要件となっています。
この要件は、道路交通法上の自転車と同じものとなっています。
また、今後、詳細が決まっていくと思いますが、定められる保安基準を満たすことも要件となってきます。
ちなみに、最高時速21km/h~30km/hの電動キックボードについては、現在の道路交通法と同様、原動機付自転車に区分されることとなります。
道路交通法の改正によってどのように変わったのか
その他にも、自転車を走行可能な場所であれば、電動キックボードを乗ることができるようになったんだよ。
免許不要
特定小型原動機付自転車については、免許不要で運転できることとなりました。
現在の道路交通法においては、電動キックボードは、原動機付自転車に区分されるので、免許が必要です。
16歳以上であることが必要
上記に免許不要と書きましたが、特定小型原動機付自転車の運転には、年齢制限があり、16歳以上でなければ運転はできません。
15歳以下は、特定小型原動機付自転車の運転が禁止されています。
16歳以上という年齢制限については、原動機付自転車と同様の規制となっています。
自転車走行可能な場所ならOK
特定小型原動機付自転車が走行できる場所は、車道、普通自転車専用通行帯、自転車道で、基本的には、自転車と同様です。
また、特定小型原動機付自転車の最高速度を6㎞/hに抑えている場合は、補助標識で自転車が歩道走行可能とされている歩道を、特定小型原動機付自転車も走行が可能となります。
このような規制も、基本的には自転車と同様です。
なお、原動機付自転車は、運転者が降りて手で押さない限りは、歩道を通行することはできません。
ヘルメット着用は努力義務
特定小型原動機付自転車を運転する際には、ヘルメットを着用するようにとの努力義務が課されています。
ヘルメットを着用していなくても罰則等はありませんが、事故の際の怪我等を予防するためにも、ヘルメットを着用することが好ましいでしょう。
それに対し、現在の道路交通法では、原動機付自転車に分類される電動キックボードついては、運転中のヘルメット着用義務が課されています。
道路交通法の改正はいつから施行されるのか
その施行日については、まだ正式には決められていないよ。
2022年4月に国会で議決されましたが、実際の道路交通法の改正は、議決から2年以内に施行されることになっています。
現時点(2022年5月)では、施行日は、決まっていません。
この2年間に、施行規則、政令など細かい細則を決めるとともに、ルールの周知を行っていくものと考えられます。
電動キックボードを利用する場合の注意点
反則金が発生することも
電動キックボードの運転においても、道路交通法の違反が想定されます。
そのため、道路交通法の改正では、特定小型原動機付自転車の運転者の道路交通法の違反には、交通反則通告制度及び放置違反金の制度の適用があります。
交通反則通告制度は、通称青切符制度と呼ばれているもので、運転者が反則行為をした場合、一定期間に反則金を納めると、刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けないで事件が処理されるという制度です。
放置違反金は、多くの方がご存知だと思いますが、車両の放置違反をした場合、登録上の使用者が放置違反金を支払うという制度です。
実際に登録上の使用者が車両の放置違反をしたか否かは問いません。
原動機付自転車に区分される電動キックボードに注意
道路交通法の改正によって、今後、電動キックボードは、特定小型原動機付自転車の定義に当てはまる物が流通していくものと思われます。
しかしながら、必ずしも、電動キックボードの全てが特定小型原動機付自転車に区分されるとは限りません。
例えば、既に述べたとおり、最高時速が21km/h以上の電動キックボードは、原動機付自転車に区分されることとなります。
その場合、免許も必要となりますし、ヘルメットの着用義務も課されます。
免許を持っていなければ無免許運転となりますし、ヘルメットを着用していなければ、当然、ヘルメットの着用義務違反となります。
ですので、電動キックボードを運転する際には、きちんと、特定小型原動機付自転車に区分される物であるか否かを確認するようにしてください。
交通事故に注意
特定小型原動機付自転車は、車道や歩道(法律上の要件を満たした場合)を走行することができます。
当然、車道では、自動車やバイクが走っていますし、歩道では、歩行者が歩いています。
特定小型原動機付自転車は、ヘルメットの着用義務もありませんし、身を守る何かを付けているということもありません。
ですので、車道を走行するときは、自動車やバイクの走行に十分、気を付ける必要があります。
また、歩道を走る際には、特定小型原動機付自転車が凶器となり得ることがありますので、必ず、最高時速6㎞/h以下に設定し、そのうえで、歩行者の動向に注意しながら走行するようにしてください。
阿部栄一郎
早稲田大学法学部、千葉大学大学院専門法務研究科(法科大学院)卒業。2006年司法試験合格、2007年東京弁護士会登録。
交通事故、不動産、離婚、相続など幅広い案件を担当するほか、顧問弁護士として企業法務も手がける。ソフトな人当たりと、的確なアドバイスで依頼者からの信頼も厚い。交通事故では、被害者加害者双方の案件の担当経験を持つ。(所属事務所プロフィールページ)
■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故の加害者・被害者には、誰でもなり得るものです。しかしながら、誰もが適切に交通事故の示談交渉をできるわけではありません。一般の人は、主婦が休業損害を貰えることや適切な慰謝料額の算定方法が分からないかもしれません。ましてや、紛争処理センターや訴訟の対応などは経験のない人の方が多いと思います。保険会社との対応が精神的に辛いとおっしゃる方もいます。
不足している知識の補充、加害者側との対応や訴訟等の対応で頼りになるのが弁護士です。相談でもいいですし、ちょっとした疑問の解消のためでもいいです。事務対応や精神的負担の軽減のためでもいいですので、交通事故に遭ったら、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。