交通事故の示談交渉を行う事になったんだけれど、注意しなければいけない事ってどんな事?
示談交渉は保険会社が有利になってしまう事がないように、慎重に進める事が大切だよ。早速チェックしてみよう!
目次
交通事故の示談交渉は誰がやるべきか?
交通事故では、病院の通院期間や、後遺障害慰謝料の問題、過失割合、損害賠償請求権など、知らない手続きが多く、どのように保険会社と交渉してよいか分からないまま、通院や仕事の休業など経済的にも追い詰められ、精神的な負担ばかりが募る方も決して少なくありません。
それらの手続きを全て一人で負担してしまうと、かなりの精神的な負担になることは間違いないでしょう。
もし、自動車保険の加入時に「弁護士特約」に加入されているのでしたら、ぜひ弁護士に一任して、これらのわずらわしい手続きを対応してもらうことを検討してみてください。
交通事故専門の弁護士ですから、状況に応じてご依頼主さまの利益を第一に各種手続きを進めてくれます。
各種手続きで不利益にならないためにも、もし少しでも交通事故の示談関連の手続きで負担を感じたら、弁護士特約に加入されている方は活用をおすすめいたします。
交通事故の示談交渉をする点において、
- 「自分で行う」
- 「弁護士に代行を依頼する」
- 「保険会社に依頼する」
の3通りに分かれます。
自分自身で示談交渉を進める場合には注意する事はどんな事?
示談交渉についてしっかりと勉強をし、保険会社に言いくるめられてしまう事がないようにしよう!
自分で示談交渉を行う
自分で示談交渉を行う場合において、いくつか注意すべき事があります。
示談は争いを止める事に加え、取り決めにて被害者側へ保険金が支払われるのが一般的です。
しかし自分で示談交渉を行う場合、正しい知識がなければ十分な補償を受けられず、不満足なまま解決へ行き着いてしまう場合があります。
和解が成立する際の証拠となる和解契約書、一般に示談書とも呼ばれますが、この内容は十分に確認しておきたい部分です。
一度和解が成立すると、その後の請求が困難となるため、被害者請求の内容は特に内容を十分に確認し、把握した上でサインを行うべきです。
実際に提示される金額は、保険会社によって算出方法も独自に計算されている場合が多く、一般的に「保険会社基準」と呼ばれています。
このほかにも、自賠責保険が提示している金額による慰謝料の算出方法の「自賠責基準」と、裁判所の判例を元にまとめられた「弁護士基準」があります。
最も慰謝料などの金額が高いのは、弁護士基準となります。
相手保険会社の言いなりになってしまいそうだな・・・
どのように保険会社と対応すると良いの?
弁護士に一任する事がお勧めだよ!
保険会社との交渉方法もチェックしてみよう!
交通事故の治療中の保険会社との対応
交通事故の治療を行っている時期は、何度か保険会社との連絡の行き来があります。
ある程度の治療期間が経過し、症状固定となると、保険会社から示談交渉に入るような連絡がきます。
この段階で治療が終わっていないのであれば、言われるままに示談交渉の手続きに入る必要はありません。
一方で示談交渉に入ると、保険会社から示談金に関する詳細を伝えられます。
その時、定時された金額が妥当と感じられたならば手続きを進めて良いものの、不満を感じる場合、専門知識のある弁護士へ、示談交渉の相談、依頼を行うと良いです。
示談交渉に弁護士を介入させると、補償金の増額という形でメリットが得られます。
ご自身で交渉を行う場合、このような増額に持ち込む事は困難です。
弁護士は過去の裁判による事例など様々な要素を参考にし、請求額の計算を行うからです。
また、弁護士に依頼すると、示談交渉において必要となる書類の作成や手続き等、手間のかかる事務作業を任せられるのもまた、大きなメリットでしょう。
精神的に保険会社と直接やり取りするのが負担となる、ということで弁護士に依頼される方も少なくありません。
怪我の状況を細かく説明を求められる、治療の打ち切りを求められる、など保険会社とのやり取りによって精神的に負担を感じる方も少なくないからです。
そのような負担を減らしたいと考えるならば、弁護士に一任することも一つの方法です。
示談交渉を自ら加入している保険会社に代行してもらう
示談交渉を進める点において、保険会社に代行をお願いする例も稀ではありません。
主に、任意保険の保険商品にて、示談代行の特約が設けられている場合がありますので、有効活用するのも一つの手段です。
保険会社の示談代行サービスは、交通事故の被害者自身に変わって、加害者に対し損害賠償金額の請求を行います。
ご自身で行うのに対し、加害者や加害者側の保険会社と直接的な交渉をせずに済む点、また話し合いをスムーズに進めやすいのも大きなメリットです。
ただ、保険会社の示談代行では、裁判で認められる損害賠償額の基準の6割、あるいは7割程度である事が多いです。
裁判基準と比べて金額の差が生まれる事では、損害額の補填が十分ではないと感じる可能性もあるため、注意が必要です。
また、保険会社の示談代行サービスを受けられないケースがあります。
一例としては、自分に過失がない事故です。
例えば対向車線の車がセンターラインを超え、衝突してきた場合などがあげられます。
こういったケースでは、被害者に賠償義務がありません。
過失が無く、保険会社が賠償を行う義務が無いと、代行して示談交渉を行うための利害関係が生まれなくなります。
ここでの問題は、利害関係が無い場合で交渉を代行すると、保険会社は非弁活動となり、法律に違反してしまう事です。
従って、ご自身に過失が無い例では、保険会社にお願いする事が出来ず、自分で加害者側の保険会社と交渉を行わなければなりません。
保険会社と示談交渉を行う時の注意点
交通事故後、保険会社との示談交渉を行う際、いくつか注意したいポイントがあります。
まず交渉を行う前、さらに言うなら治療中の時期に関しても、加害者側の保険会社は、被害者の味方では無いという事を念頭においておきましょう。
かといって中立な立場でもなく、どちらというなら加害者に有利な言い分を持つ事が多いです。
なぜなら、保険会社は会社の利益を考え、保険の範囲内で賠償金額を抑えたいと考えるからです。
このような保険会社の傾向は、被害者の治療中にもみられます。
治療を目的に定期的に被害者は通院されます。
通院の回数に従って、通院慰謝料が加算されていき、最終的な示談金として支払われる形になるのですが、治療期間に保険会社から定期的に連絡がきます。
治療を始めた初期は病状の確認が大半を占めますが、ある程度の月日が経つにつれて、治療の打ち切りを迫るような内容になってきます。
ここで、症状が完全に回復していないのにも関わらず治療を打ち切り、示談交渉の手続きに入ると、補償金の額面において損をしてしまいますし、交渉後の治療は実費になります。
一度示談を行い交渉が完了してしまうと、それから保険会社に保証された上での治療は難しいですし、通院回数に対して慰謝料が増額される事もありません。
示談にはやり直しが効かないため、保険会社から圧力をかけられたとしても、我慢強く、辛抱強く治療を続けていく事が、お体のためにも非常に大切です。
保険会社の中には、被害者に不快感を与えたり、誘導的な発言をしてきたりする事もあります。
保険会社には恐れず、冷静に治療を続けていき、示談交渉まで持ち込みましょう。
治療が完全に終了していないのにも関わらず示談交渉へと進めてしまうと、その後に損をしてしまうのはご自身になるため、注意が必要です。
もし、弁護士特約に加入しているのでしたら、示談の交渉の途中からでもいつでも、弁護士に一任して任せることは十分に可能です。
結果的に弁護士に任せることによって、慰謝料や休業損害の算定基準も増額され、示談金も増額されることは珍しいことではありません。
自ら弁護士に依頼した場合と違い、弁護士費用もかからないため、結果として依頼されることによって、事務的労力や保険会社の交渉による精神的な負担も減り、受け取れる金額も大きくなるため、有利な点が多いといえるでしょう。
保険会社との示談の準備とテクニック
保険会社との示談の準備として、必要な書類は全て揃えなければなりません。傷害や死亡事故に共通して、
- 「交通事故証明書」
- 「事故発生状況報告書」
- 「診療報酬明細書」
- 「給与明細書」
- 「源泉徴収票」
- 「確定申告の控え」
- 「各種領収書」
などを揃えておくと安心です。
また、傷害事故の場合には
- 「診断書」
- 「後遺障害診断書」
- 「休業損害証明書」
が必要となり、死亡事故の場合は
- 「死亡診断書」
- 「死体検案書」
- 「除籍謄本」
- 「戸籍謄本」
が、共通の書類に追加して用意します。
治療のための通院により休業する場合には給与の一部を補填してもらう等、示談交渉に持ち込むまでに必要となる書類は様々です。
スムーズに交渉を始められるよう、これら書類の準備は考えておきましょう。
少しでも慰謝料の金額を上げたいんだけれど、コツはあるの?
示談に応じる場合には、慰謝料が少なくなってしまう事が多いから注意が必要だよ!
不利となる約束や発言をしない
保険会社で、治療期間の打ち切りや後遺障害等級認定の手続きに関して、保険会社から言われる内容に「一般的に打撲やむち打ちの治療はこの程度の期間しか費用が出せない」と提示されることがあります。
しかし、一人ひとり、症状も違えば、治療の方針も医師によって違います。
その点を同意してしまうと、後でまだ治療をして欲しくても、治療打ち切りを撤回することはとても大変なことです。
また、保険会社の担当者によっては強行な態度で治療を打ち切らせるように誘導されることもあります。
これらの対応は、保険会社の担当者や方針にも問題がありますが、民事上、違法性がある発言なのかどうかが、訴訟に発展したときに問われることになります。
当然、保険会社も営利企業である以上、出来る限り負担となる治療費の支払いについては、少なくしようとする傾向があります。
逆に、治療を受ける方にとっては、一方的な治療費の打ち切りや、不十分な状態での後遺症認定の手続きに以降されることは望ましくありません。
特に保険会社とのやり取りで注意されるべきポイントは「不利となる発言や同意をしない」ということです。
電話でのやりとりはもちろん、書類関係で捺印、書類に記入してしまうと証拠として扱われるため、のちの示談交渉で不利益になってしまうことがあります。
最終的な慰謝料を考えて対応する
交通事故は治療期間が長くなるケースや、結果的に後遺症が残ると、その受け取り金額は莫大になります。
最終的な慰謝料の金額を考えるのでしたら、自賠責基準や任意保険会社が独自に算定した基準で同意せず、弁護士に依頼した「弁護士基準」で慰謝料や後遺症による損失の認定をされるほうが良いでしょう。
ただし、弁護士に依頼せず、これらの交通事故の判例となっている「弁護士基準」を一般の方が主張しても保険会社はあまり真剣に相手をしてくれない傾向があります。
弁護士基準は、最終的に法廷で争った場合に認められる基準であり、示談はそれらの訴訟の負担を双方に軽減し、簡略化した手続きとなっているからです。
そのため、もし、慰謝料や後遺症の認定について、保険会社の提示されている金額について十分に納得していないのでしたら、最終的には、交通事故を専門とする弁護士に依頼をされるということを検討してみてください。
示談交渉を自分自身で取り入れるのは大変なんだね。弁護士特約の重要さが良く分かったよ。
弁護士に示談を依頼する事で、少しでも慰謝料アップしよう。!
弁護士特約は交通事故で絶対にお得な方法
交通事故で慰謝料や後遺症認定、過失割合などについて双方の意見が一致しない場合や、各種慰謝料請求や仮払金の手続きを進めるにあたり、相手側の保険会社と手続きをするのは、決して精神的にも事務的にも楽なことではありません。
場合によっては、これらの手続きに労力がかかるため、早期に金額が安くても示談をしてしまうということもあります。
そのような、手間や労力を一任できる方法に「弁護士特約」に加入している方でしたら、弁護士に一任してしまう、という方法があります。
弁護士特約の弁護士は、交通事故を専門としているため、後遺症の認定や休業損害の仮払金の手続きなど、クライアントが事務的に面倒な手続きを一任してくれます。
また、相手側に慰謝料などを請求するときに、弁護士基準によって請求してくれるため、結果的に請求する金額も保険会社が提示する金額よりも大きくなるというメリットがあります。
また、弁護士特約は、保険加入時にすでに特約として保険料に組み込まれているため、依頼される段階での費用は一切かかりません。
自ら保険会社に対して、各種事務手続きをするよりも、圧倒的にわずらわしい事務手続きも少なくすることができますので、ぜひ手続きを取っておくようにされることをおすすめいたします。
交通事故でのストレスでは、病院での治療のための通院や、怪我の痛みのほかにも「保険会社との手続きの対応」をストレスとしてあげる方も決して少なくありません。
そのような負担に関して、弁護士特約を加入されている方でしたら、わずらわしいことを全て一任することができますので、ぜひお任せしてみてはいかがでしょうか。
福谷陽子
京都大学在学中に司法試験に合格し、弁護士として約10年間活動。うち7年間は独立開業して事務所の運営を行う。
実務においては交通事故案件を多数担当し、示談交渉のみならず訴訟案件も含め、多くの事件に関与し解決。
現在はライターとして、法律関係の記事を執筆している。
■ご覧のみなさまへのメッセージ:
交通事故に遭うと、今までのように仕事を続けられなくなったり相手の保険会社の言い分に納得できなかったりして、被害者の方はさまざまなストレスを抱えておられると思います。
そんなとき、助けになるのは正確な法律知識とサポートしてくれる専門家です。まずは交通事故の賠償金計算方法や示談交渉の流れなどの基本知識を身に付けて、相手と対等に交渉できるようになりましょう。
お一人で悩んでいるとどんどん精神的にも追い詰められてしまいます。専門家に話を聞いてもらうだけで楽になることも多いので、悩んでおられるなら一度弁護士に相談してみると良いと思いますよ。