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後遺障害

線状痕とは?後遺障害認定されるケースと慰謝料、逸失利益について

投稿日:2019年3月27日 更新日:

  • 交通事故に遭って、顔に大きな傷跡が残ってしまった…
  •  手術によって線状の傷跡が残ったが、後遺障害認定されるのか?
  •  顔に大きな線状の傷跡が残った場合、後遺障害は何級になるのか?慰謝料はどのくらい?

交通事故でけがをしたり手術を受けたりすると、顔に大きな線状の傷跡が残ってしまうケースがあります。

こうした「線状痕」が残ったら「外貌醜状」の1種として後遺障害認定される可能性があります。

今回は線状痕の後遺障害が何級になるのか、慰謝料がいくらになるのかなど必要な知識をご紹介していきます。

線状痕とは

交通事故の「線状痕」とは一体何なのでしょうか?

線状痕は、切り傷を負った場合などに残る「線の形をした傷跡」です。

交通事故で顔に深い切り傷を負った場合、たとえ治癒しても長い線状の傷跡が残ってしまうケースがよくあります。また交通事故では直接傷を負わなくても、手術を行うために顔の皮膚を切り開き、線状の手術痕が残ってしまうケースも多々あります。

このような顔に残った線状の傷跡が一定以上の長さになっていたら「線状痕」として後遺障害認定される可能性があります。

ただし線状痕によって後遺障害認定されるのは、「顔面の日常露出する部分」に残った場合のみです。顔面以外の部分に線状痕ができても後遺障害認定はされません。

また顔の線状痕でも「見えにくい場所」や「髪の毛、眉毛などで隠れる場所」の場合には、後遺障害として認められない可能性があります。

交通事故で線状痕が残りやすい場合

交通事故の際、線状痕が残りやすいのは以下のようなケースです。

顔や頭を鋭利なもので切り裂かれた

事故時、車の部品や鋭利な破片などにより、顔の皮膚を大きく切り裂かれると、その後傷が閉じても線状痕が残ることがあります。

顔にメスを入れて大きな手術を受けた

事故で直接受傷しなくても、顔にメスを入れて大手術を受けると、その後傷が閉じても手術痕が残ってしまうことがあります。

上記のいずれのケースでも、線状痕の後遺障害認定を受けられます。

線状痕は外貌醜状の1種

実は線状痕は、交通事故の「外貌醜状」という後遺障害の1種です。

外貌醜状とは、顔や首、頭の日常露出する部分に瘢痕や線状痕、組織陥没などの傷跡が残る障害です。

外貌醜状としては、線状痕以外に「あざ」や「陥没」の傷跡も認められています。

あざや陥没の外貌醜状の場合、頭や首に残ったケースでも後遺障害認定されます。

線状痕で認定される後遺障害の等級は「外貌醜状」についての後遺障害認定基準で明らかにされています。

交通事故の線状痕で後遺障害認定される要件と等級

交通事故で線状痕が残った場合、具体的にはどういったケースで後遺障害認定を受けられるのか、認定要件をみていきましょう。

傷の大きさで決まる等級

線状痕の後遺障害が認められるには、傷跡が「一定以上の大きさ」になっている必要があります。

線状痕で認められる可能性のある後遺障害等級は、9級または12級です。

・第916号 外貌に相当程度の醜状を残すもの

顔に残った線状痕が5センチメートル以上になっている場合です。

・第1214号 外貌に醜状を残すもの

顔に残った線状痕が3センチメートル以上5センチメートル未満の場合です。

5センチ以上になると、等級が上がって9級になります。

顔に2つ以上の線状痕がある場合には、「合計の長さ」によって評価します。たとえば長さ3センチメートルの線状痕が2つある場合、合計で6センチメートルとなるので9級の認定を受けられます。

日常露出する部分であることが必要

ただし線状痕で後遺障害認定を受けるには「日常露出する部分」であることが必要です。たとえ顔に傷が残っていても、人目につかない場所なら後遺障害として認められません。

たとえば影に隠れる部分や髪の毛で隠れている場合などには、日常露出していないとして後遺障害認定されない可能性があります。

顔に3センチメートルの傷跡が2つある場合でも、1つは露出するところにあってもう1つは隠れていたら、認定される等級は低い方の12級になります。

線状痕以外の外貌醜状

外貌醜状の後遺障害には、線状痕以外もあります。以下で線状痕以外の外貌醜状の後遺障害の等級認定基準をみておきましょう。

712      外貌に著しい醜状を残すもの

外貌醜状がもっとも重大な場合、7級の認定を受けられる可能性があります。

7級になるのは以下のようなケースです。

  • 頭部に手のひら大(指の部分は除く)以上の瘢痕が残った場合、頭蓋骨に手のひら大以上の陥没が残った場合
  • 顔に鶏卵大以上の瘢痕または10円硬貨の大きさ以上の陥没が残った場合
  • 首に手のひら大以上の瘢痕が残ったケース

線状痕だけでは7級の認定は受けられません。

916      外貌に相当程度の醜状を残すもの       

外貌醜状で9級になるのは先ほど説明した線状痕の場合のみです。顔に長さ5センチメートル以上の線状痕が残ると9級が認定されます。

1214    外貌に醜状を残すもの

12級はもっとも軽い外貌醜状の後遺障害です。認定されるのは、線状痕を含めて以下の通りです。

  • 頭に鶏卵大以上の瘢痕が残った場合、頭蓋骨に鶏卵大以上の陥没が発生した場合
  • 顔に10円硬貨大以上の瘢痕が残った場合、長さ3センチメートル以上の線状痕が残った場合
  • 頸部に鶏卵大以上の瘢痕が残った場合

瘢痕や組織陥没の場合には、顔ではなく頭や首に残った場合でも後遺障害認定を受けられる可能性があります。

交通事故で顔や頭、首などに大きなけがをした場合には、線状痕と瘢痕、組織陥没などが同時に発生するケースもあります。その場合には、もっとも高い等級に該当する症状によって後遺障害認定されます。

線状痕で認定される等級は男女、年齢によって異なる?

交通事故で線状痕が残ったとき、被害者の性別や年齢によって認定される等級が異なる可能性はあるのでしょうか?

男女による区別はない

実は、過去には被害者が女性の場合、男性よりも高い等級が認められていました。

しかしそのような区別的取扱いに合理性はないとされて認定基準が改定され、平成22610日以降は男女に統一した基準が適用されるようになりました。現在の基準は上記で紹介した7912級の3段階の男女共通基準です。

基本的には年齢差がないが,子供の場合考慮される可能性がある

外貌醜状について「年齢差」があるのかも問題です。

基本的に、外貌醜状の後遺障害認定基準に「年齢による区別」はありません。大人でも子どもでも同じ基準で認定されます。

ただ子どもは成長するにつれて、傷跡が広がり大きくなる可能性があります。そうであれば現在は認定基準を満たしていなくても、将来的には基準を満たした大きな傷を抱えて生きて行かねばならない可能性もあります。

子どもが顔に傷跡を負って自賠責の後遺障害認定基準を満たさないケースでも、状況次第では裁判によって後遺障害慰謝料が認められる可能性もあります(東京地裁平成141125日など)。

線状痕の後遺障害認定方法

交通事故で線状痕が残ったとき、どうやって症状を証明すれば良いのでしょうか?

交通事故の後遺障害等級認定の手続きには「事前認定」と「被害者請求」の2種類があり、どちらを利用するかで認定方法が異なります。

事前認定の場合

事前認定とは、後遺障害認定の手続きを加害者の任意保険会社に任せる方法です。この場合、基本的に任意保険会社に「後遺障害診断書」を提出すれば被害者が行うべき手続きは終了です。後遺障害診断書に傷跡の形状や長さが書いてあるので、基本的にその記載内容に従って後遺障害認定が行われます。

認定を受けるためには病院できっちり傷跡の大きさを測り、医師に正確に後遺障害診断書内に傷跡の状況を書いてもらう必要があります。

被害者請求の場合

被害者請求とは、被害者が直接加害者の自賠責保険へと後遺障害認定の申請をする手続きです。

この場合、自賠責の調査事務所で調査員と被害者との直接面談を行います。その際傷跡の長さを実際に測り、後遺障害認定基準を満たしているか判断します。

1ミリでも足りていなかったら後遺障害認定されません。また調査員が目視した結果「髪の毛やまゆ毛などに隠れているので日常露出する部分ではない」と判断されると、外貌醜状にしてもらえない可能性もあります。

線状痕による慰謝料の相場

交通事故で後遺障害等級が認められたら、認定された等級に従って後遺障害慰謝料を支払ってもらえます。

線状痕が残った場合の慰謝料相場は以下の通りです。

  • 9級の場合…690万円
  • 12級の場合…290万円

等級が落ちると慰謝料に2倍以上の開きが出るので、5センチメートルぎりぎりの方は慎重に計測する必要があります。

また上記の慰謝料の相場は「弁護士基準」で計算した金額です。自賠責保険が慰謝料を支払うケースで利用される自賠責基準の場合、以下の金額となります。

  • 9級の場合…245万円
  • 12級の場合…93万円

被害者が自分で任意保険会社と示談交渉するときには、「任意保険基準」という独自の基準が適用されます。その場合、上記の自賠責基準より多少高くなる程度で法的な弁護士基準には遠く及びません。

線状痕の後遺障害が残ったとき、弁護士に依頼するだけで賠償金額が2倍、3倍になる可能性もあるので、自分で示談するより弁護士に任せた方が得になるケースがほとんどです。

線状痕の場合、逸失利益が否定される可能性がある

交通事故前に働いていた人や主婦、子ども、学生などの場合、一般的に後遺障害認定を受けられたら「逸失利益」を相手に請求できます。

逸失利益とは後遺障害のせいで働けなくなったことにより、失われた将来の収入です。事故前の年収や平均賃金を使って計算します。

ただし線状痕の場合、傷跡が残っても労働能力が低下しないとの理由で保険会社が逸失利益を否定するケースが多々あります。

事故前から継続して同じ会社で働いている方の場合などには、実際に減収が発生していないこともあり、逸失利益の請求が難しくなりがちです。

逸失利益が認められる場合

被害者の職業がモデルや接客業、営業などの場合、顔に目立つ線状痕が残ると直接的に仕事に支障を来します。また顔に大きな傷跡が残ることによって将来の転職活動が難しくなる可能性もあります。

そういったケースでは裁判をすると、線状痕などの外貌醜状でも一定の労働能力喪失率が認められ、逸失利益を認めてもらえるケースがあります(神戸地裁平成251128日など)。

ただし労働能力喪失率は一般の同等級のものより低めにされることが多数です。

逸失利益が認められない場合

線状痕の後遺障害では、裁判をしても労働能力喪失率が認められず逸失利益を支払ってもらえない可能性もあります。

そのようなケースでも、被害者は外貌醜状によって一生消えない傷を抱えていかねばならないので大きな精神的苦痛を受けます。

そこで、裁判では逸失利益が認められない分、後遺障害慰謝料が多めに認められるケースが多数です。

実際に増額される後遺障害慰謝料の金額は数十万円程度となることが多くなっています。

まとめ

交通事故で線状痕が残ったら、まずは傷跡を正確に計測してきっちり後遺障害認定を受けましょう。

そして交通事故に積極的に取り組んでいる弁護士に示談交渉を依頼して、弁護士基準を適用してなるべく高額な慰謝料や逸失利益を勝ち取ることが大切です。
泣き寝入りをせず、正確な知識をもって対応していきましょう。

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福谷陽子

福谷陽子

京都大学在学中に司法試験に合格し、多重債務(債務整理)、離婚問題や交通事故、相続などの案件を担当し、自身で弁護士事務所を運営。その後体調不良により弁護士事務所を一時閉鎖し、現在は10年間の弁護士経験を元に執筆に専念。

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